融資・補助金に通る飲食店開業の事業計画書とは?書き方とコツ

出店・開業

飲食店を開業する際、避けて通れないのが「資金調達」です。特に個人で小規模な店舗を開業する場合、自己資金だけでは足りず、日本政策金融公庫などから融資を受けたり、補助金を活用したりするケースが多くあります。

その際に重要となるのが「事業計画書」です。

この記事では、飲食店開業に必要な事業計画書の基本から、融資・補助金に強い計画書の作り方、具体的な記載項目まで、わかりやすく解説します。

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そもそも事業計画書とは?飲食店開業での役割

事業計画書とは、「どんなお店を、どこで、誰に向けて、どのように運営していくか」を文書でまとめたものです。

飲食店における事業計画書の主な役割

  • 融資や補助金申請時の提出書類(審査において重要)
  • 開業後の経営指針・経営計画の明確化
  • 物件オーナーや仕入先との信頼関係構築にも有効

金融機関や自治体の審査担当者は、事業計画書を通じて「この人にお金を貸して大丈夫か?」「このビジネスは本当に成功しそうか?」を判断します。つまり、事業計画書は“融資や補助金の通過率”を大きく左右する書類なのです。

融資・補助金申請に必要な事業計画書の構成とは?

融資先や補助金の種別によりフォーマットに若干の違いはありますが、基本構成は共通しています。以下に、主な提出先ごとの違いを簡単に紹介します。

日本政策金融公庫

  • 開業資金の融資において最も一般的
  • 独自の「創業計画書」フォーマットあり
  • 店舗の概要や資金の内訳、収支計画の具体性が重要

銀行系融資

  • より詳細で精緻な事業計画が求められる傾向
  • 創業者の経験や信用、収益性の見込みが重視される

補助金(例:小規模事業者持続化補助金)

  • 事業の目的、地域経済への貢献度などが重要
  • 定められた応募要項やフォーマットを厳守する必要あり

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飲食店向け|事業計画書に盛り込むべき7つの必須項目

事業計画書に盛り込むべき内容は多岐にわたりますが、以下の7つは特に重要です。

【1】事業の概要(基本情報・店舗の全体像)

審査担当者がまずチェックするのは、事業の「輪郭」が明確かどうかです。曖昧な内容は信用を損なう原因となるため、以下のポイントを具体的に記載しましょう。

  • 店舗名と所在地(住所)
  • 店舗形態: 居酒屋、カフェ、テイクアウト専門店、キッチンカーなど
  • 営業スタイル: フルサービス、セルフサービス、ランチ特化など
  • 営業時間・定休日・想定営業日数
  • 店舗面積と席数: 例)12坪、カウンター6席+テーブル4卓

◆ポイント◆
「住宅街のテイクアウト専門店」「ランチ特化型で高回転を狙う」など、ビジネスの全体像がイメージできるような記載を心がけましょう。

【2】開業の目的と理念(ストーリー+信念)

開業の動機や理念は、審査側が創業者の熱意・継続性を判断するうえで重視する項目です。ただの「夢」ではなく、具体的な経験や背景とセットで書くと説得力が増します。

  • なぜ飲食店を始めるのか
  • どんな課題やニーズを解決するお店なのか
  • この地域にとってどんな価値を提供するのか

◆ポイント◆
「5年間ラーメン店で修行し、地元に本格的な味を届けたい」「共働き世帯向けに、夕食を安心して持ち帰れる総菜店をつくる」など、社会性や地域性も加えると好印象です。

【3】メニュー・サービスの特徴と差別化ポイント

商品(メニュー)の魅力と、競合との差別化が伝わることが重要です。単に「おいしい」ではなく、「なぜ選ばれるか」を数値や具体例で示しましょう。

主力メニューと価格帯
 例:日替わり定食750円、クラフトバーガー980円

調理スタイルや素材のこだわり
 例:無添加スープ/地元野菜の使用/ベジタリアン対応

他店との違い・独自性
 例:「ラーメン×スパイス」専門/居酒屋+ボードゲーム体験

◆ポイント◆
メニュー構成表を添付、他店との違い・独自性を説明、写真付きのプレゼン資料があると、審査側により明確に伝わります。

【4】想定する顧客層と市場調査の内容

市場ニーズを分析し、「誰に向けて何を売るのか」を明確にすることが大切です。根拠あるターゲティングは、計画の信頼性を高めます。

主な顧客層
 例:オフィス街で働く20〜40代/子育て世代のファミリー層

立地と商圏の特性
 例:最寄駅から徒歩3分/周辺に競合店は2軒

競合比較と差別化ポイント
 例:近隣はチェーン店中心、自店は地場食材使用で差別化

◆ポイント◆
現地での人流調査(1時間あたりの通行人数など)、Googleマップでの競合マッピングなど、数字を用いた簡易調査が効果的です。

【5】集客・販促戦略(認知からリピートまで)

「どうやって集客し、リピーターを育てていくか」は、事業の持続性に直結する要素です。開業時だけでなく、長期的な販促も盛り込みましょう。

開業前後の施策
 例:SNS告知、開店チラシ2,000部配布、プレオープン実施

初回来店の促進策
 例:Instagramでフォロワー限定クーポン発行

リピート促進策
 例:スタンプカード/LINE公式アカウント/メールマガジン

◆ポイント◆
特にSNSの活用計画は、無料でできる施策として審査員にも好印象です。フォロワー数の目標や更新頻度も記載すると具体的です。

【6】売上・収支計画(数字の裏付け)

「売上見込み」と「必要経費」を明確にし、黒字化までの道筋を論理的に説明することが重要です。根拠のある数字が評価されます。

【収支計画で書くべき内容】

  • 想定客数 × 客単価 × 営業日数 = 月間売上見込

 例:30人 × 900円 × 26日 = 702,000円

  • 原価率(例:35%)、人件費率、家賃比率など
  • 損益分岐点(売上ベース)
  • 年間収支シミュレーション

◆ポイント◆
Excelなどで簡単な「月次収支表」を作成し、根拠となる単価や仕入先見積を添えると信頼性が高まります。

【7】資金調達計画と資金の使い道(用途別内訳)

「いくら必要で、そのうちいくら借りるのか」「何に使うのか」を明確に示す必要があります。融資や補助金の申請において、最もチェックされる項目です。

【資金計画の記載内容例】
総資金必要額: 例)700万円
内訳
 - 自己資金:200万円
 - 融資希望額:400万円
 - 補助金想定:100万円

使い道の明細(用途別)
 - 内装工事:300万円
 - 厨房機器:150万円
 - 広告費:50万円
 - 運転資金:200万円(2ヶ月分)

◆ポイント◆
機器類や内装費については、見積書の写しを添付して、実際に検討が進んでいることをアピールしましょう。

関連記事:飲食店開業に向けての事業計画とは?準備と作成方法について

事業計画書のテンプレート・フォーマット紹介

事業計画書を初めて作成する場合、「どこから手を付けていいか分からない」という方も多いはずです。そこで、ここでは小規模な飲食店に適したフォーマット例をご紹介します。

【A4・1枚〜3枚でまとめる場合】

開業資金の少ない個人事業主であれば、簡易的なA4・1〜3枚の事業計画書でも十分です。前述いたしました以下の構成で整理しましょう。

【A4簡易フォーマット例(項目構成)】
1.店舗の基本情報・事業概要
2.開業の動機・理念
3.提供するメニュー・サービスの特徴
4.想定するターゲット層と立地分析
5.開業スケジュール
6.売上・収支計画
7.資金調達の内訳と使い道

◆ポイント◆
全体で3枚以内におさめ、箇条書きや表形式で「見やすさ」を重視しましょう。

【金融機関・補助金向け(日本政策金融公庫など)】

日本政策金融公庫や自治体の創業補助金制度では、所定の様式を使うことが求められるケースが多いでしょう。以下のようなテンプレートを活用しましょう。

【主なテンプレート提供元】
◦日本政策金融公庫|創業計画書フォーマット(PDF/Excel)
https://www.jfc.go.jp/n/service/dl_kokumin.html

◦中小企業庁「ミラサポPlus」|補助金申請の計画書雛形
https://mirasapo-plus.go.jp/

◦地方自治体の創業支援サイト(例:東京都、大阪市など)

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審査に強い事業計画書を作る5つのコツ

金融機関や自治体の補助金担当者が見るのは、単なる熱意ではなく「事業の実現可能性」や「再現性」「収益性」です。以下の5つのコツを押さえることで、審査を通過する確率をグッと高めることができます。

【1】数字に根拠を持たせる「収支計画をリアルに組む」

審査で最も見られるのが「収支計画」です。ここが甘いと、いくら事業内容が魅力的でもマイナス評価を受けます。

また、審査担当者は「どれだけ儲かるか」よりも、「本当に利益が出るのか」を重視します。特に飲食店の初年度は、認知獲得やリピーター確保に時間がかかるため、短期間で黒字化する計画はむしろ疑われることもあります。

審査員は多数の事業計画書を読んでいます。抽象的・曖昧な表現では伝わりにくいため、誰が読んでも内容がイメージできるレベルの具体性が必要です。

以下のように根拠のある数字を盛り込みましょう。

  • 客単価・回転率・客数の根拠:周辺競合店の価格帯から算出、周辺の人通りや同業店の混雑状況を観察、立地データを参考にする
  • 原価率の設定:一般的な飲食業の目安(30〜35%)を逸脱しない
  • 家賃・人件費・光熱費の実データ:物件の見積書、近隣テナント情報を参照、人件費の相場をもとに計算

【例】
「月商150万円を想定。平均客単価は1,200円で、平日30名、休日50名の集客を目指す」
  ⇒ 客数 × 単価 × 営業日数の計算式が明確で納得感があります。

◆ポイント◆
◦開業から3〜6ヶ月の赤字は想定してOK。その後徐々に回復するストーリーに
◦固定費(家賃・人件費)と変動費(材料費など)を分けて明示
◦売上予測と支出項目を月単位で記載すると具体性が増す
◦月次の売上・費用推移をグラフで可視化するのも効果的
◦「自己資金がいくらあり、どの時点で回収見込みか」を記載

【2】差別化ポイントを明確にする

「どこにでもある店」では、金融機関も支援しづらくなります。だからこそ、「なぜこの店が選ばれるのか?」を明確に伝えることが大切です。

【差別化の例】
◦独自のメニュー(例:地元野菜を使ったヘルシー定食)
◦ターゲット層を絞ったコンセプト(例:40代女性向けのカフェ)
◦テイクアウト・デリバリーに強みがある
◦接客や店内設計に独自の工夫がある

× NG:「こだわりの料理で集客を図る」
 OK:「出汁から毎日仕込む関西風うどんを500円台で提供し、価格と品質のギャップでリピーターを狙う」

また、「ターゲット」や「競合との差別化ポイント」なども数字や地名、客層のペルソナ情報を添えることで、信頼性が高まります。

◆補足◆
競合店の調査結果(立地・価格帯・混雑度)を添えると説得力がUPします。
差別化のポイントは「強み+ニーズの合致」がキーワードです。

自分のこだわりが、ターゲットのニーズと一致していることを論理的に説明しましょう。

【3】ストーリー性のある構成で「想い」と「ロジック」を両立

感情だけでは融資は下りません。しかし一方で、単なるデータの羅列も読み手を引き込めません。重要なのは、「なぜこの事業を始めるのか」→「どう実現するのか」→「どう収益を生み出すか」というストーリー性のある流れです。

【書き方の一例】
◦【導入】なぜ飲食店をやるのか(自己紹介+動機)
◦【展開】どうやって顧客に選ばれるか(メニュー、サービス、接客)
◦【裏付け】それが実現可能な理由(経験、協力者、物件、資金)
◦【結論】収支計画・資金の使い道・今後の見通し

ストーリーに“人間味”を盛り込むことで、共感と信頼が生まれます。

【4】書類の構成と見た目にも配慮する(写真や図表を活用して視覚的に伝える)

文章だけの事業計画書は、読み手にとって理解しづらくなります。そこで、簡単な図表や写真を差し込むことで、審査官の印象に残りやすくなります。
審査員が短時間で内容を理解できるように、書類の構成やデザインも工夫しましょう。

【有効なビジュアル素材の例・レイアウトのコツ】
◦出店予定地周辺の地図+競合店舗の位置関係
◦店舗レイアウト図(簡単な手書きでも可)
◦提供予定メニューの写真(試作料理など)
◦売上・費用の推移グラフ(月次・年間)
◦見出しと段落で、1項目ごとに整理
◦箇条書きや表でポイントを視覚的に伝える
◦文字サイズは読みやすく(10.5pt〜12pt)、余白をしっかり取る

◆ポイント◆
デザイン性よりも、「伝わるかどうか」が重要です。

【5】専門家や第三者のチェックを受ける

完成した事業計画書は、第三者の目でチェックすることが必須です。自分では気づけない矛盾点や過剰な見積もりなど、外部の視点が大きな助けになります。

【チェックしてもらうべき相手】
◦商工会議所や商工会(無料相談あり)
◦中小企業診断士や税理士(創業支援経験者)
◦金融機関の創業支援窓口(事前相談が可能なことも)
◦経営経験のある知人や業界の先輩
◦補助金サポートに強い行政書士

◆チェックのポイント◆
◦数字に無理がないか
◦論理の流れが破綻していないか
◦審査員の立場で見たときに説得力があるか

「通る事業計画書」は、“自分だけで完結しない”ことがポイントです。

まとめ|融資・補助金を得るための第一歩は「伝わる事業計画書」

飲食店開業を成功させるには、情熱と同時に準備力が求められます。
事業計画書は、資金を得るためだけの書類ではありません。あなたのビジネスを形にする「設計図」であり、開業後の方向性を示す羅針盤でもあります。

融資や補助金の獲得を目指すなら、

  • 数字に基づく説得力のある内容
  • 自分の強みや市場性を活かした戦略
  • 実現可能性の高い計画

を盛り込んだ事業計画書を作成しましょう。

関連記事:飲食店開業を成功するための事業計画書の作成方法

 

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