飲食店開業、スタッフの採用や育成は?~採用編

経営ノウハウ

アルバイト、従業員といったスタッフ採用は思ったよりも難しいのが現状です。飲食チェーンやその他業種との間で人材の取り合いになりますので、募集の方法についてしっかりと考え、対策をとっておきましょう。

求人をはじめるのはオープン1ヶ月前と言われています。早すぎて待機する期間が長いと辞退されてしまう可能性がありますし、直前だと充分なトレーニングが出来ません。

※正社員採用の場合は、在職中の申込みが大半だと思います。その場合、前職を辞めるための調整期間があるため、早めに募集を開始し(3ヶ月前くらい)、求人広告上には勤務開始日を記しておくようにしましょう。

採用の必要性は?

オープンしたて売り上げの見込みがたちにくいものです。また、できるだけ人件費を抑えたいという気持ちも働きます。

ですが、9割以上の飲食店は、店長1人での運営は困難です。

飲食店では、営業中最低1人は店にいる必要があります。また、店舗規模によってはホールでの接客担当や厨房での調理担当がそれぞれ必要となるでしょう。家族の力を借りない場合は、スタッフの募集が必須となります。

売上に応じたスタッフを構えれば、多くのお客様にさらによいサービスと料理を提供できるようになります。かならず売上アップにも繋がります。

採用するメリット

1.回転率が高まる

商品の提供時間が短縮され結果回転率が上がります。特にランチタイムなど回転率が売上直結となる場合はなおさらです。

2.教育コストがそれほどかからない

下ごしらえや清掃など技術を要しない単純な作業はどんどんスタッフにやってもらいたいものです。調理についても工程をマニュアル化することにより任せることが可能となります。

採用したその日から戦力にできます。

スタッフの人件費

あなたのお店に必要な人材

人材は「正社員」「パート(主婦)」「アルバイト(若年)」の3通りです。
主婦と学生は勤務時間の応じて採用仕分けます。

これから事業を拡大させていくためには「正社員」も必要です。
ご自身が店主となられる場合、同じ仕事ができて、店舗運営を任せる人がいることで、ご自身のお休みも確保でき、トラブル発生の場合でも営業を続けることができます。

ではスタッフを雇った場合、どれくらいの人件費が必要になるのか考えていきましょう。

雇用形態別賃金目安

1.アルバイト・パートの場合(目安)

平均時給は900円~1,100円ほど。 ※地域によって最低賃金が異なるため、地域差があります。
週5日、1日8時間働いた場合は、月給14万~16万円ほど。
深夜に営業では時給1,250円~1,400円ほどにアップするため、月給にしておよそ20万~22万円ほど。
年収で換算すると190万~230万円ほどになります。

2.社員の場合(目安)

月給22万~30万円が相場とされています。
年収はお店の規模や地域によりますが、300万円前後。
正社員の場合、ボーナスは平均で50万円ほどのことが多いようです。

飲食店の人件費の考え方

コストでメインになるのは食材費と人件費です。人件費は売上の3割以内でまかなうのが理想とされています。
この割合は業種にもよります。サービス主体のナイト系などは高くなりますし、食材勝負の鮮魚や肉を扱う業態では低くなります。

目安は食材費+人件費で6割が目安になります。
一般的な採用コストは(月)
アルバイト:数万円~10万円程度
社員:25万~50万円程度

スタッフ採用のスケジュール

開店日が近づいてくると、どうしてもバタバタしてしまうものです。多店舗展開しているオーナーでさえバタバタされるのですから初めてお店を持たれる方なら尚更です。

オープン日から逆算しながらスタッフの研修期間を決め、研修スタート日までに人材が揃うようにスケジュールを組みましょう。

募集開始の目安

1.アルバイト・パートの場合

オープニングスタッフの募集はオープン日の30日前くらいを目安とします。
なかなか人が集まらなかったり採用者が少ない場合は、途中で計画を見直して再度募集を掛けてみてください。

早めにスタッフが決定した場合は、オープンまでの研修期間や研修場所の情報をきちんと伝える配慮が必要です。アルバイトやパートの方にとって無収入の期間があるのは辛いものです。研修期間や開店準備手伝いなどで少しでも手当をつけてあげるとよいでしょう。

なお、すでにお店がある場合は、オープン準備期間にも研修場所が確保できるため、早めに採用しても構いません。

2.正社員の場合

正社員の採用はさらにタイミングに注意しましょう、目安は2~3ヶ月前ほどでしょう。

在職中の方を採用する場合は、退職時期の調整期間が発生するため、採用直後に入社というわけにはいきません。求人広告上には勤務開始日を書いておくと採用活動がスムーズに進むでしょう。

飲食業界は人手不足と言われています。求人の募集期間には余裕を持って、一定期間を過ぎても決まらない場合は、条件を良くするなどの再考も必要です。

募集方法

求人を出す際は働き手の目線に立ち、どのような職場なら働きたいかを考えて掲載する必要があります。
時給以外にも店舗の持つイメージ、制服、まかない(特に学生にとっては)なども決め手となります。
スタッフの募集は思ったよりも難しいかもしれません。

雇用条件や雇用形態の決定

1.時給や月給の決定

スタッフの給与は、各都道府県の最低賃金をクリアしておく必要があります。周辺の店舗よりも低い給与ベースにしてしまうと、他店に応募を奪われてしまうことになります。同エリア・同業態の飲食店の給与レベルをチェックした上で、給与額を決めるようにしてください。

正社員の場合、給与は低めですが休日数が多めの勤務スタイルも人気があるため、給与だけではなく採用条件も検討します。

事前準備

・地域の給与の相場を調べる
・売上予測や利益予測から時給や月給を決める
・シフトのシミュレーション
 平日、休日の昼と夜に何名必要か
・採用基準を決めておく
 お店のコンセプトやターゲットとする客層に合うかどうかの採用基準

求人手段

採用すべき職種や人数が決まったら次は求人広告を出します。
アルバイト募集の手段は店頭チラシ、求人誌への掲載などもあります。

都道府県、エリアによって求人掲載サイトの向き不向きが分かれますので、資料請求や打ち合わせを行い求人掲載費用と効果を比較しましょう。

募集広告の種類

1.店頭掲示

費用:無料
特徴:広く訴求はできないが、すぐにできる

店舗の工事が始まったタイミングで、「オープニングスタッフ募集!」の告知をして募集します。
手書きでも良いので、ポスターを1枚用意するだけですので手間や費用が掛かりません。
しかし、この手段だけでは必要な期限までに応募がない可能性があります。
他の方法と併せて実施するのがよいでしょう。

オープン後は、店舗入り口、トイレやレジ付近など目に触れやすい場所に貼りましょう。お客様の場合は店の雰囲気をある程度知った上で募集されるので欲しい人材が見つけやすいです

2.ソーシャルメディアの活用

費用:無料
特徴:求人率は低いが、すぐにできる

SNS(フェイスブックやツイッター、インスタグラムなどの)もオープン前にお店のアカウントを作り拡散する事で有効な手段となります。店頭にQRコードを貼りだすなど露出していきましょう。

無料で利用できるメリットもあり、若いスタッフの求人募集には向いています。

3.求人情報誌・求人アプリへの掲載する

費用:期間やプラン次第
特徴:地域、サイトによって効果はまちまち

求人情報誌には、新聞折込、フリーペーパー、インターネットサイト、求人アプリなど多種多様な媒体があります。アルバイトやパートの募集には、不特定多数の人に情報を届けられる求人情報誌や求人アプリは効果が大きいと言えます。

地域やサイトによって効果が出やすい媒体が異なってきます。資料請求や打ち合わせを行い求人掲載費用に関しての費用対効果を考え比較検討しましょう。

無料掲載のものもありますが、有料掲載の求人誌の掲載費用は、マスの大きさなどにもよりますが数万円から10万円以上かかる場合もあります。

社員募集の場合は、掲載が長期間になる分、費用がかさみがちです。

ここ最近ではWEB媒体、スマホアプリ、LINEなどを通じての応募の比率がとても高くなってきています。
アルバイトは若い人が応募してくる可能性が高いので、前述の媒体を上手く活用しましょう。

学生向け、主婦向け、飲食業界希望者向けなど、さまざまな特性に特化した求人情報誌・求人アプリがあるので、欲しい人材のターゲットに応じて使い分けると良いでしょう。

4.公共職業安定所 (ハローワーク)

費用:無料
特徴:競争率が高い

社員募集に向いているのはハローワークや人材紹介会社です。ハローワークでの募集申し込みは、店舗住所を管轄するハローワークで行います。希望すれば、ハローワークのWEBサイト上にも公開してもらえます。

ハローワークは公共サービスですので、なんといってもメリットは利用料金が無料というところです。
デメリットは、求人費用がかからないため利用する会社が多く、競争率が高い点があります。

また、掲載や選考に時間がかかることや、掲載できる情報が少ないため希望する人材が集まらない可能性もあります。
近くにない場合は難しいかもしれませんが、頻繁に行って担当者に相談してみるのも手法のひとつです。

5.人材紹介会社

費用:採用した月収の2~4か月分
特徴:職人さんなど経験者の採用時に有効

社員募集には人材紹介会社の利用も有効です。人材紹介会社は求人側の希望に合わせた人材を探して紹介してくれるというメリットがあります。成功報酬型なので紹介された人材を採用したときに料金が発生します。料金の相場は、採用した人材の月収の2~4か月分です。

正社員や店長候補など、コストを掛けてでも良い人材が欲しいポストを募集する場合は利用を考えてみるとよいでしょう。良い人材が取れれば決して高い募集費ではないはずです。

6.オープンの告知チラシに募集の案内を入れる

費用:枚数や配布方法、掲示場所によって様々
特徴:多くの目には留まりやすいが効果はまちまち

駅や街中に掲出する広告や、地域に配布するチラシに、「オープンニングスタッフ募集!」の文字を加えてみるのも一つの方法です。

たくさんの方の目につくので、求める条件にあてはまる人材からの応募が期待できます。デメリットは、広告の制作や掲載に費用がかかることと、オープン直前の募集ですので時間的なリスクがあることです。

7.近隣の学校などに協力を仰ぐ

ホールのスタッフなど学生でも始めやすい仕事内容であれば、近隣の学校に求人の情報を掲示させてもらうことも考えましょう。学校に貼りだされている求人なので学生側も信用でき、応募率がかなり高いのがメリットです。
ただしテスト期間などシフトを調整する必要もあります。

8.知人から紹介してもらう

知人などから直接紹介してもらう方法もあります。よく知っている人からの紹介であれば、経歴や人柄などを事前に知ることができるという大きなメリットがあります。

求人する際の工夫

募集要項には、興味を持った人へどんなお店なのかをイメージしてもらう必要があります。

募集要項に必ず記載したい項目

・店名
・開店予定日(工事などで遅れそうな場合は注意書きを追加)
・募集する人材(社員/アルバイト/パート・・・)
・職種(接客〇人/調理〇人・・・)
・労働時間(10:00~14:00・・・)
・給与/時給(〇〇〇〇円以上/22時以降〇〇〇〇円以上・・・)
・待遇(ユニフォーム貸与、まかない付・・・)
・住所
・面接場所
・電話番号
・募集受付期間
・担当者名
・店舗の外観orイメージ写真

そのほか、掲載すると良いこと

・経験の有無や年齢の幅
・お店の特徴をアピール
・オーナーや一緒に働くスタッフの写真
・年末年始の休暇や夏季休暇などの勤務条件(帰省で人数確保が難しい時期ですが、優遇すると集まりやすいです)など情報はできるだけ詳しく記載
求職者に店をイメージしてもらうため、情報はなるだけ詳しく記載しましょう

 例としては
「調理スタッフ〇人、接客スタッフ〇人」
「22時以降 〇〇〇円時給UP!」 
「未経験者歓迎!」
 などです。

オープンスタッフ募集時の工夫

オープン前には、内装工事が終わっていなかったり、メニュー撮影が完了していなかったりと、求人広告に掲載する画像が用意できない場合がほとんどです。

その場合は、以下のような対策をとりましょう。

・内装の完成予想図(デザインのラフなど)を掲載する
・姉妹店があればその店の写真をイメージとして掲載する
・店のコンセプトやメインとなるメニューを紹介する
・制服があればデザインの掲載する
・オープニングならではの魅力をアピールする
・同期スタッフが多いので、みんな同じスタートラインから仕事をはじめることができる
・イチからつくりあげていくクリエイティブな喜びがある
・オープニングを体験することは将来独立する時に役立つ

なかなか決まらない場合の対策

なかなか応募がなかったり、採用が決まらない場合は、途中で追加募集をかけましょう。

ある程度期間を過ぎても決まらない場合は、求人掲載を増やしたり、採用条件を良くするなどの検討も必要です。

まとめ

オープニングの採用活動についてまとめましたが、いかがでしょうか?

「あの仲間と楽しく働きたい。」「この店での経験が自分の人生にとってプラスになるかもしれない。」と感じて応募してきてくれるスタッフとの関係を築くことができれば、簡単にはお店を辞めることはありません。

そういったスタッフは、お客様からの評価も高く、結果として売上も利益も伸ばしてくれます。店が軌道に乗ってからはスタッフを辞めさせないことが最大の採用活動と言えます。

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