揚げ物を扱う飲食店では、フライヤーが「単なる調理機器」以上の役割を持ちます。
油温の安定性、立ち上がり時間、メンテナンスのしやすさ、ランニングコスト……こうした要素の積み重ねが、味・作業効率・収益性に直結します。
特にガス式フライヤーには、メーカー・型式によって差が出やすく、どれを選べばいいか悩む方も多いでしょう。
そこで今回は、テンポスドットコムの「ガスフライヤー性能比較」ページをベースに、主要5機種を“性能・コスト・使い勝手”の視点から徹底比較します。
さらに、実際にメニューを想定した調理シナリオ想定性能比較とコストシミュレーションを交えて、「選ぶときの判断軸」を明快に提示します。

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目次
■ 比較対象5機種と基本仕様一覧

今回はテンポス掲載の主要モデルから、実勢で比較しやすい5機種を選びました。
各機のポイントを簡潔に示します。
▽マルゼン MGF-13K
油槽容量約13L、消費ガス約6.4kW。
コンパクトで省スペース設置に向き、少量多回転の店舗でも使いやすい設計です。
MGF-13K 【マルゼン】 ガスフライヤー 13L 幅330×奥行600×高さ800(mm) 【業務用/新品】【送料無料】

▽コメットカトウ CF3-GA13-L12
油槽容量約12L、消費ガス約6.4kW。
低油量設計で油使用を抑えたい小規模店に適しています。
CF3-GA13-L12 【コメットカトウ】 涼厨ガスフライヤー 12L オイルセービング 幅350×奥行600×高さ800 (mm) 【業務用/新品】【送料無料】

▽マルゼン MGF-CE12
油槽容量約12L、消費ガス約6.4kW。
遮熱や熱効率に配慮した「涼厨」設計で厨房の熱負荷を抑えたい現場に向きます。
MGF-CE12 【マルゼン】 涼厨フライヤー 12L 幅350×奥行600×高さ800(mm) 【業務用/新品】【送料無料】

▽タニコー TGFL-B43C-U
油槽容量約18L、消費ガス約10.0kW。
火力に余裕があり、連続投入やピーク対応が必要な業態に強いモデルです。
▽マルゼン MGF-18K
油槽容量約18L、消費ガス約8.72kW。
中〜大容量のバランス型で、定食屋や惣菜店など汎用性の高い選択肢です。
MGF-18K【マルゼン】ガスフライヤー 18L 430×奥行600×高さ800(mm)【業務用/新品】【送料無料】


補足:ガス消費量は各機種都市ガス換算値(kW表示)で、型式により LPガス換算値も併記されていることがあります 。
また、ガスフライヤーには「据え置き型(スタンダードタイプ)」と「卓上型」の2つの設置形態があります。
スタンダード型は油排出に油缶を本体下部から引き出す方式が一般的で、油交換作業が楽になる利点があります。
卓上型は設置自由度や設置スペース制約に強いですが、油の排出方法で工夫が必要な場合があります
■ 業種別使用性能比較

カタログスペックでは見えにくいのが、「実際の営業シーンでどう使えるか」という点です。
ここでは、定食屋・カフェ・居酒屋・惣菜店などの業態を想定し、それぞれの機種の使い勝手や効率を比較します。
▽ 定食屋・ランチ中心の中規模店舗
昼ピーク時に短時間で大量の揚げ物を出すケースでは、タニコーTGFL-B43C-UやマルゼンMGF-18Kが力を発揮します。
タニコーは火力が強く油温の戻りが早いため、連続投入してもムラが出にくく、揚げ上がりのタイミングを安定化できます。
マルゼンMGF-18Kは容量バランスが良く、串カツから唐揚げまで幅広く対応可能です。
大量調理でも油の温度管理がしやすく、厨房の回転効率を高めます。
▽ カフェ・軽食業態
少量をこまめに揚げたいカフェや軽食メニュー中心の店舗では、マルゼンMGF-13KやコメットカトウCF3-GA13-L12が最適です。
いずれも油槽容量が小さく、油の立ち上がりが早いため、注文に応じてすぐ調理が始められます。
特にCF3-GA13-L12は低油量設計により油コストを抑えつつ、酸化を防ぎやすい点が魅力です。
毎日少しずつ多品目を揚げる運用に向いています。
▽ 居酒屋・夜間営業店舗
営業時間が長く、一定ペースで揚げ物を提供し続ける居酒屋では、マルゼンMGF-CE12のような涼厨タイプが有効です。
遮熱構造によって周囲温度の上昇を防ぐため、厨房の快適性を保ちやすく、夏場の作業環境改善にもつながります。
また、熱効率が高く、省エネ運転を維持しながら火力を安定させることができます。
▽ 惣菜店・テイクアウト中心店
長時間連続で揚げ物を作り続ける惣菜店では、油の持ちと温度安定性が重要です。
この点で、タニコーTGFL-B43C-Uの高火力モデルは、揚げ上がりが一定で、衣の色味が揃いやすいという利点があります。
高頻度での投入にも油温がブレにくく、仕込みの効率を大きく向上させます。
▽ 総評
それぞれの機種は一見似ていますが、火力や油槽容量、設置形態の違いによって最適なシーンが明確に分かれます。
まとめると、「タニコー=パワー重視」「マルゼン=バランス・省エネ型」「コメットカトウ=軽量・省油タイプ」という棲み分けです。
自店のメニュー構成とピーク時のオペレーションを踏まえて、どの特性を優先するかを明確にすることが、最も効率的な選定につながります。
比較項目と予測傾向

このような予測比較をもとに、実際の厨房運営を想定して選ぶ指針が見えてきます。
■ コストシミュレーション:1年間での差を出してみる

機器選びで見落としがちなのが、「導入コスト」よりも運用コスト(ランニングコスト)です。
ガスフライヤーの場合、ガス代と油の使用量が年間コストの大部分を占めます。
ここでは、テンポス掲載モデルをベースに、1日6時間稼働・月25日営業と仮定して試算してみましょう。
前提条件
稼働時間:1日6時間 × 月25日営業
ガス単価:都市ガス 150円/m³ 相当換算
各機種の消費量:一覧表の都市ガス kW値を用いて簡易換算
▽年間ガス代(概算)

(注:この表はあくまで目安で、ガス単価換算、熱効率のロス、運用条件変動によって実際コストは前後します)
この試算から見えてくるのは、高火力モデルを選ぶとガス代で明確に差が出るという点です。
ただし、火力が高いと調理時間が短くなるため、回転率・人件費に与える影響も加味すれば、「ガス代だけが高い=損」ではありません。
▽ 油の使用量:低油量設計で約20〜30%削減
油の交換頻度を仮に週1回、1回あたりの使用油量を満水容量で算出すると、次のような差が出ます。

この差は年間で最大50万円以上。特に低油量設計のコメットカトウ機は、油代の節約効果が明確です。
油交換時の廃棄コストや労力も抑えられるため、トータル運用コストで見れば大きな差になります。
▽ トータルコストの考え方
ガスと油を合わせた年間コストの概算では、
高火力モデル(タニコー)
約163万円前後
標準モデル(マルゼン18K)
約162万円前後
小型モデル(マルゼン13K・CE12・コメットカトウ)
約110〜120万円前後
という結果になります。
火力重視型は効率とスピードで利益を支えますが、省エネ・低油量タイプは日々のランニングを大幅に抑えます。
どちらが得かは、店舗の営業スタイルと調理量次第です。
つまり、ガスフライヤー選びでは「初期投資より、年間運用コストで回収できるか」を見極めることが、最終的な収益差につながるのです。
総合評価と“あなたの業態に合う1台”を探すヒント
上記の性能比較・コストシミュレーションを踏まえ、以下のような選び方ガイドを提案します。

ガスフライヤーは、一見どれも似たように見えますが、実際には「業態」「提供スピード」「厨房スペース」によって最適解が異なります。
ここでは、今回比較した5機種を総合的に評価しながら、どんなお店にどのモデルが向いているのかを整理してみます。
◆ コンパクト重視なら「マルゼン MGF-C18K」
限られた厨房スペースでも効率よく揚げ物をこなしたいなら、マルゼンの小型モデルが最適です。
ガス消費量が少なく、省スペース設計ながら立ち上がりが早いのが魅力。
ランチ中心のカフェや定食屋など、1日あたりの揚げ物量が中程度の店舗に向いています。
◆ 大量調理・スピード勝負なら「タニコー TGFL-45」
業務用らしいパワーと安定感を求めるなら、タニコーのTGFLシリーズが優秀です。
油温の回復が早く、ピークタイムでも揚げムラが少ないのが強み。
天ぷらや唐揚げを中心に扱う専門業態や、揚げ置きをせずに提供する居酒屋などにおすすめです。
◆ コスパと使いやすさのバランスで選ぶなら「ニチワ GF-18」
ランニングコストを抑えながらも業務用として十分な性能を確保したい場合、ニチワのGFシリーズが堅実です。
中火力でガス消費量が控えめなうえ、清掃がしやすい設計が魅力。
スモールダイニングやビストロのような“厨房の見える店”にも向いています。
◆ 省エネ重視派には「マルゼン MGF-C18K(ECOタイプ)」
同じマルゼンでもECO仕様モデルは、燃焼効率の高さと安全設計が特徴です。
1日数十回の揚げ調理を行う店舗でもガス代を抑えられ、油の温度を自動で安定させる制御が精度高く、省エネ運用を実現します。
長期的なランニングコストを重視するオーナーに最適です。
◆ 最後に:選定のコツ
比較してみると、「どれが一番いいか」ではなく、「どれが自店の運用に合うか」が重要であることがわかります。
厨房の広さ、営業スタイル、ピーク時間の回転率、油交換の頻度などを具体的にイメージして選ぶことが、失敗しない導入の第一歩です。
店舗の成長ステージに合わせて、最初は省スペース型から始め、繁忙期や増席に合わせて大型機に切り替えるのも一つの戦略です。
フライヤーは“揚げるだけの機械”ではなく、提供スピードと原価率を左右する重要な投資といえます。
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