飲食店の開業準備で、意外に迷うのが「冷蔵庫の選び方」です。
同じ“業務用冷蔵庫”でも、ドア数・幅・奥行きの違いで、使い勝手も電気代も大きく変わります。
特に小規模店舗や居酒屋のように厨房スペースが限られている場合、「とりあえず大きめを買う」と後悔するケースも少なくありません。
この記事では、業態別におすすめの冷蔵庫モデルを整理しながら、導入前に確認しておきたい失敗防止チェックリストも紹介します。
(記事中に掲載の商品は、2025年11月現在の情報です。ご了承ください)

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目次
■業態別おすすめモデルとサイズの目安
● テイクアウト中心の小型店:限られたスペースで“効率と冷却力”を両立するには

テイクアウト専門店や小規模な惣菜店では、厨房スペースが非常に限られています。
そのため、まず意識したいのは「占有面積をできるだけ抑えること」と「必要な冷却性能を確保すること」の両立です。
この条件を満たすのが、2ドアタイプの縦型冷蔵庫(幅600〜900mm・奥行650mm前後)です。
背が高くスリムなため、通路を圧迫せず、限られた厨房にもすっきり収まります。
扉を開けた際の開閉スペースも最小限で済むため、スタッフ同士の動線を妨げにくい点も利点です。
〇 省エネと価格のバランスを見極める
テイクアウト業態では、仕込みや開店準備の時間を除けば冷蔵庫の開閉回数は比較的少なくなります。
そのため、冷気保持力を重視する必要はあまり高くなく、インバーター非搭載モデルでも十分対応可能です。
価格も抑えられるうえ、シンプル構造のため故障リスクも少なく、初期投資を抑えたい開業初期には非常に現実的な選択といえます。
ただし、冷却スピードや温度安定性には多少の差が出るため、生ものやデリ系メニューを扱う場合は庫内温度の安定性を重視することをおすすめします。
定期的な庫内温度チェックと、夜間の扉開閉を減らす工夫で、十分に安定運用が可能です。
〇組み合わせで“収納力”を補う
厨房面積が狭い場合、1台の縦型冷蔵庫で全ての食材をまかなうのは現実的ではありません。
そこで活躍するのが、作業台下冷蔵庫(コールドテーブル)や小型冷凍ストッカーの併用です。
例えば、上段のコールドテーブルには仕込み済みの具材を、下段の縦型には調味料やドリンクを保管するといった使い分けをすることで、作業効率が格段に上がります。
冷蔵庫自体の出し入れ回数が減るため、冷気ロスも防げます。
〇 導入時の注意点
小型店舗でよくある失敗が、「搬入経路を確認せずに発注してしまった」というケースです。
ビル1階でも通路幅やドアの高さが狭いと、設置できないことがあります。
購入前には必ず搬入ルートの寸法と扉の開き方向を確認しましょう。
また、壁際に設置する際は放熱スペースを5cm以上確保しないと、冷却効率が落ちやすくなります。
〇 代表的なおすすめモデル
ホシザキHR-63Z:コンパクトながら庫内容量が大きく、小規模店での使い勝手が良い人気機種。
パナソニックSRR-LV961S:冷却ユニットは取り外しが可能で、入口が狭い場所への搬入・設置も容易です。
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限られた空間でも、レイアウトと機種選びを工夫すれば“狭くても回る厨房”をつくることは十分可能です。
冷蔵庫は「収納家具」ではなく、「調理効率を左右する設備」として位置づけて選ぶことが、成功する小型店の共通点です。
● カウンター多めの居酒屋・バル:限られた動線で“回せる”冷蔵庫選び

カウンター席中心の居酒屋やバルでは、厨房スペースが細長く、スタッフのすれ違いも多くなります。
そのため冷蔵庫選びで重視すべきは、「容量」よりも動線との相性と使いやすい開閉構造です。
料理やドリンクの提供スピードに直結する部分なので、機種選定を誤るとピークタイムのオペレーションが一気に滞ります。
〇 4ドア・幅1200〜1500mm・奥行800mmが“黄金バランス”
カウンター裏や通路沿いに設置する場合、4ドアタイプの縦型冷蔵庫が最も扱いやすいサイズ感です。
1枚扉よりも開閉範囲が狭く、スタッフ同士が同時に作業してもぶつかりにくい構造になっています。
さらに、上段・下段で仕込み食材やドリンクを分けて管理できるため、「誰が・どこを開けるか」が明確になり、混雑時のミスが減るのもポイントです。
幅は1200〜1500mm程度が標準的で、居酒屋のように多品目を扱う店舗でも十分な収納力を確保できます。
奥行きは800mm前後を選ぶと、ドリンクボトルや仕込み容器を無理なく収納できます。
〇 “インバーター仕様”で静音&省エネ
カウンター越しにお客様と会話をする業態では、冷蔵庫の稼働音が意外に気になるものです。
静かな店内づくりを意識するなら、インバーター仕様モデルを選ぶのがおすすめです。
インバーター機能付きなら、庫内温度が安定しているときにはコンプレッサーが自動で低速運転になるため、音が静かで電力消費も抑えられるのが特長です。
結果的にランニングコストの削減にもつながります。
また、開閉回数が多い業態でも温度変化が少なく、刺身や仕込み済み食材の品質維持にも有利です。
〇 設置位置と“扉の開き方向”が命
狭い厨房では、扉の開き方向を誤ると作業効率が激減します。
壁側に設置する際は、右開き・左開きを必ず選定段階で確認しましょう。
開けた際に通路をふさがない構造にすることで、スタッフのストレスを減らせます。
また、カウンター背面設置の場合は、開閉時にお客様側へ冷気が流れない位置に調整するのもポイントです。
少しの配慮で、快適な客席環境を維持できます。
〇 代表的なおすすめモデル
ホシザキHR-120Z:4ドア構造で取り回しやすく、静音性にも優れたスタンダード機。
フクシマガリレイGRD-150RX:インバーター搭載で省エネ性能が高く、長時間稼働に強いモデル。
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限られたスペースの中でも、“効率的に回せる厨房”をつくるには、冷蔵庫を単なる保管機器ではなくオペレーションの一部として考えることが重要です。
ドアの数・開閉方向・設置位置を現場動線と照らし合わせて選ぶことで、忙しい時間帯でもスムーズな提供と省エネを両立できます。
● 仕込みを多く行うキッチン併設店(洋食・定食系など):大量仕込みに対応する“余裕の収納力”

洋食店や定食屋のように、日々の仕込み量が多い業態では、冷蔵庫は「食材を保管する場所」というより、仕込み作業を支える“作業基盤”のような存在になります。
朝から下ごしらえを行い、ランチ・ディナーと続けて提供する店舗では、庫内容量の不足がオペレーション全体を圧迫します。
十分な収納力と、バットや鍋をそのまま入れられる“作業向き構造”を備えた機種を選ぶことが大切です。
〇 6ドア・幅1500〜1800mm・奥行800mmが基本ライン
仕込み量が多い店舗では、6ドアタイプの縦型冷蔵庫(幅1500〜1800mm・奥行800mm前後)が最も使いやすい構成です。
複数人が同時に出し入れしても扉が干渉しにくく、上・中・下段を仕込み前後の工程別に分けて管理できます。
また、バットやコンテナを多用する場合には、奥行800mmクラスが必須です。
奥行が浅いと、食材を詰め込みすぎて冷気の循環が悪くなり、結果的に冷却ムラや傷みの原因になってしまいます。
〇 “センターフリータイプ”で大物も楽々収納
仕込みの多い店舗では、鍋ごと冷やす・大皿をそのまま保管する、といった使い方が日常的です。
その際に便利なのが、センターフリータイプ(中央の棚板を外せる構造)です。
内部を広く使えるため、寸胴鍋やソースパン、漬け込み容器などを無理なく入れられます。
また、棚ピッチを自由に変えられるモデルを選んでおくと、食材の種類やメニュー変更にも柔軟に対応できます。
〇 耐久性とメンテナンス性も重要
長時間稼働が前提の業態では、冷却ユニットの耐久性やメンテナンス性も見逃せません。
油煙が発生しやすい厨房では、フィルターの清掃性や背面の放熱構造をチェックしておくと安心です。
インバーター仕様モデルを選べば、長時間の稼働でも温度が安定し、電力効率も高まります。
厨房が高温になりやすい夏場でも、仕込み食材の品質を安定して保てます。
〇 代表的なおすすめモデル
パナソニックSRR-LV1883C2:庫内容量が大きく、清掃性が良く、省エネ性能を両立したハイエンドモデル。
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フクシマガリレイGRN-180PM:インバーター制御で省エネ設計。汚れが付きにくいクリアコーティング
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仕込みを多く行う業態では、冷蔵庫の容量不足が生産性を大きく左右します。
“食材が入るかどうか”だけでなく、“誰がどの工程で使うか”までを設計に組み込むことが大切です。
冷蔵庫は単なる保管庫ではなく、厨房全体の作業効率を底上げするための“生産設備”として選ぶことが、長期的な利益につながります。
■導入前にチェック!失敗しないためのポイント
●冷蔵庫導入チェックリスト

冷蔵庫選びでよくある失敗の多くは、「スペックを見て決めてしまい、現場との相性を確認していない」ことにあります。
いざ搬入してみたら通路を通らなかったり、扉が壁に当たって開かなかったり──そんなトラブルは実際によくある話です。
ここでは、導入前に必ず確認しておきたい5つのチェックポイントを整理します。
● 搬入経路の寸法を確認する
最初に行うべきは、搬入ルートの幅・高さの確認です。
店舗入口や通路、厨房ドア、曲がり角などの最も狭い部分を実測しましょう。
特に商業ビルの地下や2階にある店舗では、エレベーターや階段の幅がボトルネックになりがちです。
設置予定スペースに収まるかだけでなく、「そこまで運べるか」を確認することが重要です。
● 電源容量とプラグ形状をチェック
業務用冷蔵庫には、単相100Vタイプと三相200Vタイプがあります。
どちらに対応しているかを事前に確認し、ブレーカー容量に余裕があるかも要チェックです。
とくに既存店舗の居抜き利用では、以前のテナントが使用していた電源仕様と異なる場合もあります。
延長コードでの対応は火災リスクがあるため、必ず専用回路で接続できるかを確認しましょう。
● 扉の開き方向に注意
冷蔵庫の扉は「右開き」「左開き」があります。
壁際やコーナーに設置する場合、開けた扉が壁に当たって全開できないケースが非常に多いです。
その結果、棚の奥に手が届かず、使い勝手が悪くなることも。
導入前に現場で実際の開閉方向をシミュレーションしておくと安心です。
● 放熱スペースを確保する
冷蔵庫の背面や側面は、放熱用の空気が流れるように最低5cm以上のスペースを空ける必要があります。
壁にぴったり付けて設置してしまうと、冷却効率が下がるだけでなく、コンプレッサーの過熱や故障の原因にもなります。
特に厨房が高温になりやすい夏場は、放熱スペースが狭いと冷却能力が極端に低下するため注意が必要です。
● 動線と清掃性を意識する
最後に確認したいのが、作業動線と清掃のしやすさです。
開閉時にスタッフがすれ違えるか、仕込み台やフライヤーなど他の機器との距離に余裕があるかを確認しましょう。
また、キャスター付きモデルを選ぶと、床掃除や背面のメンテナンスが格段にしやすくなります。
排水溝の位置との関係も忘れずにチェックしておくと安心です。
● まとめ:図面上の「寸法確認」が最初の一歩
冷蔵庫選びは“設置できるかどうか”からスタートします。
カタログ上の容量や見た目に気を取られるより、現場寸法と動線設計の確認が最優先です。
導入前の10分の確認が、搬入トラブルや無駄な再購入を防ぎ、結果的にコスト削減にもつながります。
■まとめ:業態×厨房動線で選ぶのが正解です
冷蔵庫は「大きいほど安心」「容量が多ければ多いほど便利」と思われがちです。
しかし、実際は業態や厨房の動線に合っているかどうかが、使い勝手と利益効率を左右します。
どんなに高性能でも、扉が開きにくい・動線を塞ぐ・温度が安定しないなどの問題が起きると、日々の作業効率が低下してしまいます。
● “収納力”よりも“取り出しやすさ”を優先
特に小規模店では、冷蔵庫内の「取り出しやすさ」が調理スピードに直結します。
ドアの数や開く方向、棚の高さなどは、スタッフの身長や配置動線に合わせて検討することが大切です。
背の高い縦型よりも、下台冷蔵タイプを作業台と一体化させた方が効率的な場合もあります。
● 電力・設置・搬入の“現場条件”を軽視しない
厨房は電源容量や通気スペースなど、設置環境が限られています。
冷蔵庫は定格電力が大きいため、他機器との併用でブレーカーが落ちるケースも少なくありません。
設置予定場所の寸法を「数センチ単位」で確認し、搬入経路や扉の開閉方向まで想定しておくと安心です。
● 「将来のメニュー拡張」も見据える
飲食店は開業後にメニューが増えることが多く、結果的に“冷蔵スペースが足りない”という悩みがよく発生します。
現時点の仕込み量+20〜30%の余裕を持たせて選ぶのがおすすめです。
特に仕込み中心の業態では、冷蔵庫を増設しにくいレイアウトになることも多いため、最初の導入時に中長期を見越した容量設計が重要です。
● 最適な冷蔵庫選びが、利益を守る
「業態×厨房動線×作業人数」という3つの軸で考えると、冷蔵庫は“置く機械”ではなく、“厨房の流れを整える要”であることが分かります。
冷蔵庫を最適化することで、作業のムダや食材ロスを防ぎ、ひいては利益率の向上にもつながります。
数字だけでなく、厨房でのリアルな動き方をイメージして選ぶ――これが、冷蔵庫選びで失敗しない最大のポイントです。

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