ラーメン店開業成功の鍵!保健所対策10のポイント

飲食店まめ知識

ラーメン店開業に向けて着々と準備を進めていらっしゃる経営者の皆様、お疲れ様です。
夢の実現に向けて、期待とともにさまざまな不安もあるのではないでしょうか。
特に、保健所の許可取得は、お店をオープンする上で避けて通れない重要なステップです。

そこで今回は、ラーメン店開業における保健所対策として、特に重要な10個のポイントをまとめました。スムーズな許可取得と、その後の安心した店舗運営のために、ぜひ参考にしてください。

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目次

事前相談は必ず行う

法規制や基準の正確な理解

食品衛生法をはじめ、飲食店に関する法規制や基準は多岐にわたります。
これらの内容は複雑で、自己解釈だけでは誤ってしまう可能性も。
事前相談を通じて、あなたの店舗計画に合わせた具体的なアドバイスを受けることができます。

スムーズな申請準備

事前相談で指摘された点や確認事項を踏まえて準備を進めることで、申請書類の不備や修正の手間を大幅に減らすことができます。
結果的に、許可取得までの時間の短縮につながります。

無駄なコストの削減

レイアウトや設備投資を行う前に保健所の意見を聞くことで、後から基準に合わないことが判明し、手直しが必要になるような事態を防ぐことができます。
これは、時間だけでなく、無駄なコストの削減にも繋がります。

担当者との良好な関係構築

事前に顔合わせをし、相談することで、保健所の担当者との良好なコミュニケーションを築くことができます。これにより、申請後のやり取りもスムーズに進みやすくなります。

不安の解消と安心感の獲得

開業に関するさまざまな疑問や不安を、専門家である保健所の担当者に直接相談することで解消できます。これにより、安心して開業準備を進めることができるでしょう。

事前相談前に準備しておくべきこと

より実りある事前相談にするために、事前に以下の情報を整理しておくと良いでしょう。

店舗の概要

・店舗名(予定)
・所在地(予定)
・連絡先
・開業予定時期

店舗の平面図(できるだけ詳細に)

・厨房、客席、トイレ、従業員用スペース、倉庫などの配置
・各スペースの広さ
・主要な設備(シンク、調理台、冷蔵庫、換気扇など)の配置

提供するメニューの案

・主なラーメンの種類
・サイドメニュー、ドリンクなど
・テイクアウトやデリバリーの予定があればその内容

食品衛生責任者の資格

・資格の種類と取得年月日
・未取得の場合は、今後の取得予定

その他気になること、質問事項

事前にリストアップしておくと、聞き忘れを防げます。

事前相談の流れ

一般的な事前相談の流れは以下の通りです。
管轄の保健所によって異なる場合があるので、事前に電話などで確認しておくと良いでしょう。

保健所への連絡・予約

まずは管轄の保健所に電話などで連絡を取り、事前相談の予約をします。
その際に、持参すべき書類などを確認しましょう。

保健所への訪問・相談

予約日時に保健所を訪問し、担当者に準備してきた書類や情報をもとに相談します。
店舗のレイアウト図面を見ながら、設備の配置や衛生管理の方法などについて具体的なアドバイスを受けましょう。

質疑応答

疑問点や不明な点は遠慮せずに質問しましょう。
担当者は、あなたの質問に丁寧に答えてくれます。

今後の手続きの説明

申請に必要な書類や手続きの流れ、許可取得までの期間などについて説明を受けます。

事前相談をより有意義にするためのポイント

積極的に質問する

わからないことや不安なことは、遠慮せずに質問しましょう。

メモを取る

相談内容や担当者からのアドバイスは、必ずメモを取り、後で見返せるようにしましょう。

図面や資料を具体的に示す

口頭だけでなく、図面やメニュー案など具体的な資料を見せることで、より的確なアドバイスを得られます。

担当者のアドバイスを尊重する

保健所の担当者は、衛生管理の専門家です。そのアドバイスを真摯に受け止め、店舗計画に反映させることが大切です。

店舗のレイアウトは衛生管理を最優先に

店舗のレイアウトは、日々のオペレーションにおける衛生管理のしやすさに大きく影響します。
不衛生な動線や清掃しにくい構造は、食中毒のリスクを高めるだけでなく、従業員の作業効率の低下にも繋がります。

保健所の許可基準を満たすことはもちろん、その後の安全な店舗運営のためにも、衛生管理を最優先に考えたレイアウト設計が不可欠なのです。

一方通行の原則

食材の搬入から調理、提供、そして食器の洗浄・廃棄までの流れが、交差することなく一方通行になるように設計します。これにより、生の食材や調理前の食材が、調理済み食品や清潔な食器と接触するリスクを減らします。

区域分けの明確化

厨房内を、食材の保管エリア、下処理エリア、調理エリア、盛り付けエリア、洗浄エリアなど、明確に区分けします。それぞれのエリアで異なる衛生レベルが求められるため、物理的に分離することが重要です。

汚染作業と非汚染作業の分離

生の食材を扱う作業(下処理など)と、加熱調理後の食品を扱う作業(盛り付けなど)の場所を明確に分けます。これにより、二次汚染のリスクを低減します。

清掃・消毒の容易性

床、壁、調理台、シンクなど、厨房内のあらゆる場所が清掃・消毒しやすい構造、材質である必要があります。角がなく丸みを帯びたデザインや、水はけの良い床材などを選定しましょう。

適切な換気

厨房内の熱気、湯気、油煙などを効率的に排出し、清潔な空気を保つための換気設備は不可欠です。排気口と吸気口の位置関係も考慮し、汚染された空気が調理エリアに逆流しないように設計します。

十分な広さの確保

各作業エリアに必要な広さを確保することで、従業員がスムーズに作業でき、衛生的な管理が行き届きやすくなります。狭すぎる空間は、作業効率の低下だけでなく、清掃や消毒の妨げになることもあります。

各エリアにおける衛生管理のポイント

具体的なエリアごとに、衛生管理を考慮したレイアウトのポイントを見ていきましょう。

食材の保管エリア

冷蔵庫、冷凍庫は適切な温度管理ができる容量のものを選び、食材の種類ごとに整理整頓しやすい配置にします。
床や壁から少し浮かせて設置し、清掃しやすいようにします。
直射日光や高温多湿を避けられる場所に設置します。

下処理エリア

生肉、魚介類、野菜など、食材ごとに専用のシンクや調理台を設けることが理想的です。
使用済みの食材やゴミを一時的に保管する場所も、清潔なエリアから離して設けます。

調理エリア

加熱調理器具(コンロ、オーブンなど)の配置は、作業動線を考慮し、火傷などの事故を防ぐように配置します。
調理中に発生する油煙や蒸気を効率的に排出できる換気設備を設置します。
調味料や調理器具の保管場所は、清潔で使いやすい場所に設けます。

盛り付けエリア

調理済みの食品を扱うため、清潔な状態を保てるように、他のエリアから区切られた場所に設けることが望ましいです。必要に応じて、紫外線殺菌灯などを設置することも有効です。

洗浄エリア

食器や調理器具を効率的に洗浄・消毒できるシンクの数と配置を検討します。
手洗い専用のシンクを設け、石鹸や消毒液、ペーパータオルを設置します。
洗浄後の食器を清潔に保管できるスペースを確保します。

客席

テーブル間隔を適切に保ち、清掃がしやすいように配慮します。
ゴミ箱は蓋付きのものを用意し、定期的に清掃します。

トイレ

厨房や客席から独立した場所に設置し、清潔に保ちます。
手洗い設備(石鹸、消毒液、ペーパータオルまたは乾燥機)を完備します。
清掃用具の保管場所も設けます。

レイアウト設計時の注意点

保健所との事前相談を必ず行う

設計段階で保健所に図面を見てもらい、アドバイスを受けることが重要です。

清掃動線を考慮する

日々の清掃がスムーズに行えるように、物の配置や通路幅などを検討します。

将来的な拡張や変更の可能性も考慮する

事業拡大やメニュー変更に対応できるよう、ある程度の柔軟性を持たせた設計にしておくと良いでしょう。

清掃・消毒がしやすい構造と材質を選ぶ

ラーメン店は、油汚れやスープの飛び散りなど、どうしても汚れやすい環境です。
清掃・消毒がしにくい構造や材質を選んでしまうと、汚れが蓄積しやすく、細菌が繁殖する温床となりかねません。

これは、食中毒のリスクを高めるだけでなく、お客様からの信頼を損なう原因にもなります。
日々の清掃・消毒を楽に行える構造と材質を選ぶことは、衛生的な店舗運営の基本中の基本と言えるでしょう。

床面

継ぎ目が少ない素材

タイルやシート状の床材など、継ぎ目が少なく、汚れが入り込みにくい素材を選びましょう。
継ぎ目がある場合は、シーリング材などでしっかりと埋めることが重要です。

滑りにくい素材

安全性を考慮しつつ、清掃しやすい滑りにくい素材を選びましょう。

排水性

厨房など水を使う場所では、適切な勾配をつけ、排水溝への水の流れをスムーズにすることが重要です。

角を丸くする

壁との接地面など、角の部分は汚れが溜まりやすいため、できる限り丸みを帯びた構造にするのが理想的です。

壁面

平滑な素材

タイル、パネル、塗装など、凹凸が少なく平滑な素材を選びましょう。
汚れが付着しにくく、拭き取りやすいのが特徴です。

耐水性・耐油性

水や油に強く、洗剤などを使用しても劣化しにくい素材を選びましょう。

腰壁の設置

床から一定の高さまで、耐久性・清掃性の高い素材(タイルなど)を設置することで、壁全体の汚れを防ぎやすくなります。

天井

汚れにくい素材

軽量で、油煙などが付着しにくい素材を選びましょう。

清掃のしやすさ

定期的な清掃が可能な素材、または交換が容易な素材を選ぶと良いでしょう。

厨房内の設備配置

壁や床からの浮かせ設置

調理台やシンク、冷蔵庫などは、可能な限り壁や床から少し浮かせて設置することで、下部の清掃が容易になります。

移動可能な設備の導入

作業台など、頻繁に移動させない設備でも、清掃のために移動できるキャスター付きのものなどを検討するのも有効です。

配管の露出を避ける

配管は汚れが溜まりやすいため、できる限り壁の中やカバーで覆うなど、露出を避ける工夫をしましょう。

排水溝

清掃しやすい構造

蓋が簡単に取り外せ、内部のゴミや汚れを容易に取り除ける構造を選びましょう。

定期的な清掃

排水溝は細菌の繁殖しやすい場所なので、定期的な清掃を徹底することが重要です。

清掃・消毒に適した材質の選び方

店舗の各部分に使用する材質も、清掃・消毒のしやすさを大きく左右します。

ステンレス

特徴:耐食性、耐久性に優れ、汚れが落ちやすく、消毒にも強い素材です。調理台、シンク、作業台など、厨房内の多くの場所に適しています。
注意点:指紋や水垢が目立ちやすい場合があります。

ホーロー

特徴:耐熱性、耐薬品性に優れ、汚れが付きにくく、落としやすい素材です。壁材などに用いられることがあります。
注意点:衝撃に弱い場合があります。

タイル

特徴:耐水性、耐久性に優れ、さまざまなデザインがあります。床や壁に広く用いられます。
注意点:継ぎ目に汚れが溜まりやすい場合があります。適切なシーリング処理が重要です。

メラミン化粧板

特徴:耐水性、耐摩耗性に優れ、比較的安価です。テーブルの天板などに用いられます。
注意点:高温には弱い場合があります。

ガラス

特徴:汚れが落ちやすく、透明感があります。ショーケースなどに用いられます。
注意点:割れやすく、指紋が目立ちやすい場合があります。

フッ素加工

特徴:油汚れが付きにくく、落としやすい加工です。換気扇のフィルターや調理器具などに用いられます。
注意点:傷つきやすい場合があります。

材質選びの注意点

用途に合わせた材質を選ぶ

各場所の使用頻度や汚れやすさを考慮し、最適な材質を選びましょう。

耐久性も考慮する

日常的な清掃や消毒に耐えられる、耐久性の高い材質を選びましょう。

予算とのバランス

清掃性・耐久性に優れた材質は高価な場合もあります。
予算とのバランスを考慮しながら、適切な選択をしましょう。

保健所の基準を確認する

材質によっては、保健所の基準を満たさない場合もあります。
事前に確認しておきましょう。

適切な換気設備の設置

ラーメン店の厨房は、高温多湿になりやすく、油煙や湯気が充満しやすい環境です。
適切な換気設備がないと、以下のような問題が発生する可能性があります。

衛生環境の悪化

油煙や湯気は、壁や天井に付着しやすく、カビや細菌の繁殖を招く原因となります。
また、空気中に浮遊する油分は、食材への二次汚染のリスクを高めます。

従業員の労働環境の悪化

高温多湿な環境は、従業員の体力を消耗させ、作業効率の低下や健康被害を引き起こす可能性があります。

近隣への迷惑

油煙や臭いが近隣の住宅や店舗に流れ込むと、苦情の原因となることがあります。

防火上のリスク

油煙が排気ダクト内に蓄積すると、火災の原因となることがあります。

保健所の許可基準

適切な換気設備は、保健所の営業許可を得るための重要な基準の一つです。
基準を満たしていない場合、許可が下りない可能性があります。

換気設備の基本的な仕組み

一般的な換気設備は、「排気」と「給気」の2つの要素で構成されています。

排気

厨房内で発生した油煙、湯気、熱気、臭いなどを屋外へ排出する役割を担います。

給気

排気によって減少した厨房内の空気を、外部から新鮮な空気を取り込む役割を担います。
この2つのバランスが重要で、どちらか一方だけでは十分な換気効果は得られません。

換気設備の種類と特徴

ラーメン店の厨房で一般的に使用される換気設備には、主に以下のようなものがあります。

換気扇(プロペラファン、シロッコファンなど)

プロペラファン:一般的な換気扇で、比較的安価で設置も容易ですが、風量が比較的少なく、ダクト配管には不向きです。小規模な店舗や、直接屋外に排気できる場合に適しています。
シロッコファン:筒状の羽根を持つファンで、風量が大きく、ダクト配管に適しています。中規模以上の店舗や、複雑なダクト配管が必要な場合に適しています。静音性に優れているものもあります。
軸流ファン:プロペラファンよりも風量が大きく、直線的な排気に適しています。

レンジフード

調理台の上部に設置され、発生する油煙や湯気を効率的に吸引します。
フィルターが内蔵されており、油分をある程度除去することができます。
排気ファンと一体になっているものや、別途排気ファンと接続するものがあります。
ラーメン店では、強力な吸引力を持つ業務用のレンジフードが推奨されます。

排気ダクト・給気ダクト

ファンで吸引した汚れた空気や、外部から取り込んだ新鮮な空気を効率的に輸送するための管です。材質や形状、断熱処理などが重要になります。
排気ダクトは、油分が付着しにくい材質を選び、定期的な清掃がしやすい構造にする必要があります。

グリスフィルター

レンジフードや排気ダクトの入り口に設置され、油分を捕集するフィルターです。
定期的な清掃や交換が必要で、怠ると換気効率の低下や火災の原因になります。
不燃性の素材を選ぶことが重要です。

エアーカーテン

出入り口などに設置し、空気の流れを作り出すことで、外部からのホコリや虫の侵入を防ぎ、室内の空調効率を高める効果があります。厨房の出入り口に設置することで、客席への臭い漏れを軽減する効果も期待できます。

適切な換気設備を選ぶためのポイント

ラーメン店の厨房に適切な換気設備を選ぶためには、以下の点を考慮する必要があります。

厨房の広さと形状

厨房の広さや天井の高さ、レイアウトによって必要な換気量やダクトの長さなどが変わってきます。

熱源の種類と数

ガスコンロやIHクッキングヒーターなど、熱源の種類や数によって発生する熱量や油煙の量が異なります。

調理方法

炒め物や揚げ物など、油煙が多く発生する調理が多い場合は、より強力な排気設備が必要です。

排気経路

排気ダクトの長さや曲がり具合によって、必要なファンの性能が変わってきます。

給気方法

自然給気だけでなく、機械的な給気設備(給気ファンなど)の設置も検討しましょう。
適切な給気は、排気効率を高めるために重要です。

騒音対策

ファンの運転音は、従業員の作業環境や近隣への影響を考慮する必要があります。
静音性の高いファンを選ぶなどの対策が必要です。

メンテナンス性

定期的な清掃やフィルター交換が容易な設備を選びましょう。

予算

設備の導入費用だけでなく、ランニングコスト(電気代など)も考慮して選びましょう。

保健所の基準

管轄の保健所の換気に関する基準を事前に確認し、適合する設備を選定する必要があります。

設置とメンテナンスの注意点

専門業者への依頼

換気設備の選定、設置、ダクト工事などは、専門的な知識と技術が必要です。
必ず信頼できる専門業者に依頼しましょう。

定期的な清掃とメンテナンス

グリスフィルターや換気扇の清掃、ダクトの点検などを定期的に行い、換気性能を維持することが重要です。

防火対策

排気ダクト内の油分は火災の原因となるため、定期的な清掃を徹底し、防火ダンパーの設置など、防火対策をしっかりと行いましょう。

手洗い設備の充実

手指は、さまざまな細菌やウイルスが付着する可能性のある場所です。
調理前、食材に触れる前後、トイレの後、清掃後など、適切なタイミングで手を洗うことは、食中毒を予防するための最も基本的で重要な対策です。

手洗い設備が不十分だと、従業員が適切なタイミングで手を洗うことが難しくなり、結果として食品を汚染し、お客様に健康被害を与えるリスクを高めてしまいます。

手洗い設備の設置場所と数の基準

保健所は、衛生的な店舗運営のために、手洗い設備の設置場所と数について明確な基準を設けています。一般的には、以下の場所に手洗い設備の設置が求められます。

厨房内

調理作業を行う場所の近くに、必ず手洗い設備を設置する必要があります。
食材に触れる前や、汚染された可能性のある作業の後すぐに手を洗えるように、複数個設置することが望ましいです。

トイレ内

トイレ内にも必ず手洗い設備を設置します。
これは、排泄後に手指に付着した可能性のある細菌を洗い流すために不可欠です。

従業員用スペース

休憩室や更衣室など、従業員が利用するスペースにも手洗い設備があると、より衛生的な環境を保てます。具体的な設置数については、店舗の規模や従業員数、作業動線などによって異なりますので、必ず管轄の保健所に確認するようにしましょう。

手洗い設備の種類と選び方

適切な手洗い設備を選ぶためには、以下の点を考慮する必要があります。

シンクの材質と形状

材質:ステンレス製など、耐久性があり、清掃しやすい材質を選びましょう。
形状:深さがあり、水が飛び散りにくい形状が望ましいです。
サイズ:作業スペースや従業員の数に合わせて、適切なサイズのシンクを選びましょう。

水栓

自動水栓(センサー式):手で触れることなく水を出せるため、二次汚染のリスクを減らすことができます。衛生的で節水効果も期待できます。
フットペダル式水栓:足で操作できるため、手を汚すことなく水を出すことができます。
レバー式水栓:操作が簡単で、比較的安価ですが、使用後に水栓自体を洗う必要があります。

保健所の推奨としては、非接触型の水栓(自動水栓またはフットペダル式水栓)が望ましいとされています。

給湯設備

温水で手を洗うことは、油汚れや細菌をより効果的に洗い流すために重要です。
給湯器を設置し、適切な温度のお湯が出るようにしましょう。

手指消毒設備

手洗いの後に、さらに手指を消毒するための設備(消毒液ポンプなど)を設置します。
アルコール消毒液や次亜塩素酸ナトリウム水溶液など、適切な消毒剤を選びましょう。

手指乾燥設備

洗浄後の手を清潔に乾燥させるための設備も重要です。

ペーパータオル:使い捨てなので衛生的ですが、ランニングコストがかかります。ゴミの処理も考慮する必要があります。
エアータオル:電気代がかかりますが、ペーパータオルのようにゴミが出ません。ただし、メンテナンスを怠ると不衛生になる可能性があります。

保健所によっては、エアータオルの設置について指導がある場合があるので、事前に確認しましょう。

石鹸・洗浄剤

液体石鹸など、泡立ちが良く、しっかりと汚れを落とせる洗浄剤を選びましょう。
詰め替え式のディスペンサーを使用する場合は、定期的な清掃と補充を忘れずに行いましょう。

手洗い設備の設置場所における注意点

作業動線を考慮した配置

従業員がスムーズに手を洗えるように、作業場所から近い場所に設置しましょう。

十分なスペースの確保

手を洗う際に邪魔にならないよう、十分なスペースを確保しましょう。

排水設備の整備

洗い終わった水が適切に排水されるように、排水設備をしっかりと整備しましょう。

清掃のしやすさ

手洗い設備自体も、定期的に清掃しやすい材質と構造を選びましょう。

従業員への衛生指導の徹底

手洗い設備を充実させるだけでなく、従業員一人ひとりが正しい手洗いの方法とタイミングを理解し、実践することが最も重要です。

正しい手洗いの方法の周知

厚生労働省などが推奨する正しい手洗いの手順を掲示するなどして、従業員に周知しましょう。

手洗いタイミングの指導

調理前、食材に触れる前後、トイレの後、清掃後など、手を洗うべきタイミングを具体的に指導しましょう。

定期的な確認と指導

従業員の手洗いの状況を定期的に確認し、必要に応じて指導を行いましょう。

温度管理の徹底

食品には、さまざまな細菌やウイルスが存在している可能性があります。
これらの微生物の多くは、適切な温度帯で活発に増殖し、食中毒の原因となります。

特に、ラーメンのスープや具材は、調理後も適切な温度で管理しなければ、細菌が増殖しやすい状態に置かれてしまいます。徹底した温度管理は、お客様に安全で美味しいラーメンを提供するための生命線と言えるでしょう。

管理すべき危険な温度帯(デンジャーゾーン)

細菌が最も活発に増殖する温度帯は、一般的に10℃から60℃とされています。
この温度帯は「デンジャーゾーン」と呼ばれ、この温度帯に食品を長く置くことは、食中毒のリスクを著しく高めます。

したがって、食品をこのデンジャーゾーンにできるだけ長く置かないように、適切な温度管理を行うことが非常に重要です。

温度管理の対象となる食品と場所

ラーメン店における温度管理の対象は多岐にわたります。

冷蔵・冷凍保管が必要な食材

生肉、魚介類、卵、乳製品、一部の野菜など

調理済みの食品

ラーメンスープ、チャーシュー、メンマ、味玉など

提供前の食品

茹でた麺、温野菜など

調理に使用する設備

冷蔵庫、冷凍庫、加熱調理器具など

提供に使用する設備

スープウォーマー、保温ジャーなど
これらの食品や設備について、適切な温度帯で管理することが求められます。

具体的な温度管理対策

ラーメン店で実施すべき具体的な温度管理対策は以下の通りです。

冷蔵庫・冷凍庫の温度管理

・冷蔵庫は5℃以下、冷凍庫は-18℃以下に保つことが基本です。
・温度計を設置し、1日に複数回温度を確認し、記録しましょう。
・庫内に食品を詰め込みすぎると、冷却効果が低下する可能性があるため、適切な収納量を守りましょう。
・定期的に霜取りを行い、冷却効率を維持しましょう。
・扉の開閉は必要最小限にし、冷気が逃げないように注意しましょう。

加熱調理の徹底

・食中毒の原因となる細菌を死滅させるために、中心部まで十分に加熱することが重要です。
・食材の種類や厚みに応じて、適切な加熱時間と温度を守りましょう。
・中心温度計を使用し、食品の中心温度が75℃で1分以上(または同等以上の殺菌効果のある温度と時間)になっていることを確認することが望ましいです。

調理後の冷却を迅速に行う

・加熱調理した食品を常温でゆっくりと冷ますと、デンジャーゾーンに長く留まることになり、細菌が増殖するリスクが高まります。
・冷却する場合は、急速冷却を心がけましょう。具体的には、小分けにする、浅い容器に入れる、氷水で冷やすなどの方法があります。
・冷却後の食品は、速やかに冷蔵庫または冷凍庫で保管しましょう。

提供時の温度管理

・温かい料理は65℃以上に保ち、冷たい料理は10℃以下で提供することが基本です。
・スープウォーマーや保温ジャーなどを使用する場合は、定期的に温度を確認し、適切な温度が維持されていることを確認しましょう。
・提供時間が長くなる場合は、温度管理に十分注意しましょう。

解凍方法の注意

・冷凍食材を解凍する際は、常温での解凍は避け、冷蔵庫内解凍、流水解凍、電子レンジ解凍など、安全な方法で行いましょう。
・解凍した食材は、速やかに調理し、再冷凍は避けましょう。

使い残りの食品の管理

・調理済みの食品や、開封済みの食材は、適切な温度で保管し、早めに使い切るようにしましょう。
・一度提供した食品の再利用は、絶対に避けましょう。

温度計の適切な使用と管理

・複数の温度計を用意し、定期的に精度を確認しましょう。
・中心温度計、冷蔵庫・冷凍庫用温度計、調理用温度計など、用途に合わせた温度計を使用しましょう。
・温度計は清潔に保ち、定期的に消毒しましょう。

温度管理記録の重要性

日々の温度管理の記録は、以下の点で非常に重要です。

異常の早期発見

定期的な記録により、温度の異常を早期に発見し、適切な対策を講じることができます。

原因究明

万が一、食中毒が発生した場合、記録をさかのぼることで原因を特定しやすくなります。

従業員の意識向上

記録をつけることで、従業員の温度管理に対する意識を高めることができます。

保健所の確認

保健所の立ち入り検査の際、温度管理の記録は重要な確認事項となります。
記録する項目としては、以下のようなものが挙げられます。

・確認日時
・確認者
・冷蔵庫・冷凍庫の温度
・加熱調理後の食品の中心温度
・提供時の食品の温度

異常があった場合の対応

記録用紙を作成し、毎日欠かさず記録するようにしましょう。

従業員への教育と意識向上

徹底した温度管理を行うためには、従業員一人ひとりの理解と協力が不可欠です。

温度管理の重要性の周知

なぜ温度管理が重要なのか、食中毒のリスクなどを具体的に説明し、従業員の意識を高めましょう。

正しい温度測定方法の指導

温度計の使い方や、食品の中心温度の測り方などを丁寧に指導しましょう。

異常時の報告体制の確立

温度異常を発見した場合の報告ルートを明確にしておきましょう。

定期的な研修の実施

温度管理に関する知識や技術を定期的に再確認するための研修を実施しましょう。

衛生的な調理器具と食器の管理

調理器具や食器は、食材や調理済みの食品に直接触れるため、細菌やウイルスによる汚染のリスクが常に存在します。不適切な管理は、食中毒の原因となるだけでなく、お客様に不快感を与え、お店の信頼を大きく損なうことにも繋がりかねません。

衛生的な調理器具と食器の管理は、お客様に安全で美味しいラーメンを提供するための根幹となる部分です。

調理器具の衛生管理:洗浄・消毒・保管の徹底

調理に使用する器具は、使用するたびに適切な洗浄、消毒、保管を行うことが重要です。

使用後の速やかな洗浄

調理に使用した器具は、できるだけ早く洗浄しましょう。
時間が経つほど汚れが落ちにくくなり、細菌も増殖しやすくなります。
固形物や油汚れは、事前にヘラやブラシなどで取り除いてから洗浄します。

適切な洗浄方法

手洗いの場合:食器用洗剤を使用し、スポンジやブラシで丁寧に洗いましょう。油汚れがひどい場合は、熱湯を使用するのも効果的です。
食器洗浄機を使用する場合:洗浄機の取扱説明書に従い、適切な洗剤と温度設定で使用しましょう。洗浄能力を最大限に引き出すために、器具の並べ方にも注意が必要です。

確実な消毒

洗浄後、さらに消毒を行うことで、残留している可能性のある細菌を死滅させることができます。

熱湯消毒:80℃以上の熱湯に5分以上浸すか、蒸気消毒を行います。
塩素系消毒剤:食品に使用可能な濃度の塩素系消毒剤に一定時間浸した後、流水で十分にすすぎます。使用する際は、換気を十分に行い、ゴム手袋などを着用しましょう。
アルコール消毒:70%程度のアルコールを噴霧または拭きかけます。熱に弱い器具に適しています。

消毒方法は、器具の材質や用途によって適切な方法を選ぶようにしましょう。

衛生的な保管

洗浄・消毒後の器具は、水気をよく切り、清潔な場所で保管しましょう。むき出しのまま保管するのではなく、蓋付きの容器に入れたり、清潔な布巾をかけたりして、ホコリや異物の付着を防ぎます。
吊り下げて保管できるものは、吊り下げることで水切れが良くなり、省スペースにも繋がります。

まな板は、使用する食材(生肉用、魚介類用、野菜用など)ごとに使い分け、洗浄・消毒後に立てかけて乾燥させましょう。
包丁などの刃物は、刃先を保護するように保管しましょう。

食器の衛生管理:洗浄・消毒・保管の徹底

お客様に提供する食器も、調理器具と同様に徹底した衛生管理が求められます。

使用後の速やかな洗浄

お客様が使用済みの食器は、速やかに回収し、洗浄しましょう。
放置すると汚れが固まり、落ちにくくなります。
残飯はできるだけ取り除いてから洗浄します。

適切な洗浄方法

調理器具と同様に、手洗いや食器洗浄機を使用して適切に洗浄します。
口をつける部分は、特に丁寧に洗いましょう。

確実な消毒

食器についても、必要に応じて消毒を行います。
特に、使い捨てではない食器を繰り返し使用する場合は、消毒を徹底することが望ましいです。
熱湯消毒や塩素系消毒剤による消毒が有効です。

衛生的な保管

洗浄・消毒後の食器は、水気をよく拭き取るか、自然乾燥させます。
清潔な棚や戸棚に、重ねすぎないように保管し、ホコリや異物の付着を防ぎます。
提供前に再度、清潔な布巾などで拭いてから使用すると、より安心です。

使い捨て容器や箸の導入

衛生管理の観点から、使い捨ての容器や箸などを導入することも有効な手段の一つです。
使い捨てのものを使用する場合でも、保管場所は清潔に保ち、適切な管理を行いましょう。

衛生管理を徹底するためのポイント

洗浄・消毒マニュアルの作成

器具や食器の種類、材質に応じた適切な洗浄・消毒方法をマニュアル化し、従業員に周知徹底しましょう。

定期的な点検と交換

スポンジやブラシ、布巾などは、定期的に新しいものと交換しましょう。ひび割れや破損のある器具や食器は、使用を中止し、交換しましょう。

従業員への衛生教育

調理器具や食器の衛生管理の重要性とその方法について、定期的に従業員に教育を行い、意識の向上を図りましょう。

洗浄設備の適切な維持管理

食器洗浄機などの設備は、定期的にメンテナンスを行い、常に正常な状態で使用できるようにしましょう。

保管場所の清掃

調理器具や食器の保管場所は、定期的に清掃し、清潔な状態を保ちましょう。

色分け管理の導入

まな板や包丁、タワシなどを、食材の種類(生肉用、魚介類用、野菜用など)ごとに色分けして使用することで、交差汚染のリスクを減らすことができます。

色別に分けて調理を行うことが出来るまな板をご紹介。

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従業員の衛生教育の実施

どんなに優れた設備や衛生的な環境を整えても、そこで働く従業員の衛生意識が低ければ、食中毒のリスクを完全に排除することはできません。

従業員一人ひとりが衛生管理の重要性を理解し、正しい知識と行動を身につけることこそが、お客様に安全で美味しいラーメンを提供するための最も重要な要素と言えるでしょう。

衛生教育の目的

従業員に対する衛生教育の主な目的は以下の通りです。

食中毒予防

細菌やウイルスによる食品汚染を防ぎ、お客様への健康被害を未然に防ぐこと。

衛生意識の向上

従業員一人ひとりの衛生管理に対する意識を高め、主体的な行動を促すこと。

正しい知識と技術の習得

手洗いの方法、消毒の仕方、温度管理の重要性など、衛生管理に関する正しい知識と技術を習得させること。

法令遵守

食品衛生法をはじめとする関係法規を遵守し、安全な店舗運営を行うこと。

お客様からの信頼獲得

従業員の衛生的な行動を通じて、お客様に安心感を与え、信頼を獲得すること。

衛生教育の主な内容

従業員に教育すべき主な内容は以下の通りです。
店舗の規模や提供するメニュー、従業員の役割などに応じて、教育内容を調整する必要があります。

手洗いの重要性と正しい方法

・なぜ手を洗う必要があるのか(細菌やウイルスの付着と感染経路)。
・手を洗うべきタイミング(出勤時、調理前、食材に触れる前後、トイレ後、清掃後、休憩後など)。
・正しい手洗いの手順(石鹸の使い方、洗い残しやすい部分、流水でのすすぎ、清潔なタオルやペーパータオルでの拭き取り)。
・手指の消毒方法(消毒液の種類と使い方)。

衛生的な身だしなみ

・清潔な制服の着用(定期的な洗濯、着替えのタイミング)。
・帽子やヘアネットの着用(毛髪の落下防止)。
・マスクの着用(飛沫感染の防止)。
・指輪やアクセサリーの禁止(細菌の付着や落下のリスク)。
・爪は短く清潔に保つこと。
・作業中の喫煙、飲食の禁止。

食品の取り扱い

・食材の適切な保管方法(温度管理、整理整頓)。
・生の食材と加熱済みの食材の区分け(交差汚染の防止)。
・加熱調理の重要性と加熱方法(中心温度の確認)。
・冷却・再加熱の注意点。
・賞味期限・消費期限の確認と管理。
・異物混入防止対策。

調理器具・食器の衛生管理

・使用後の速やかな洗浄・消毒の徹底。
・洗浄方法、消毒方法(熱湯、塩素系消毒剤、アルコールなど)。
・清潔な保管方法。
・まな板、包丁などの使い分け。

清掃・消毒

・店舗内の清掃・消毒の重要性と頻度。
・清掃用具の適切な使用と管理。
・消毒剤の種類と使い方(希釈方法、使用上の注意)。
・ゴミの適切な処理方法。

健康管理

・体調不良時の報告義務(下痢、嘔吐、発熱など)。
・健康診断の受診。
・感染症予防対策(ワクチン接種など)。

食中毒・異物混入発生時の対応

・発生時の報告ルートと対応手順。
・お客様への適切な対応。
・保健所への連絡。

関連法規

・食品衛生法など、店舗運営に関わる基本的な法規制の理解。
・衛生教育の実施方法。

効果的な衛生教育を実施するためには、さまざまな方法を組み合わせることが重要です。

新規採用時の教育

新しい従業員が入社した際には、必ず衛生教育を実施しましょう。基本的なルールや手順を丁寧に説明し、理解度を確認します。

OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)

日常業務の中で、先輩従業員が指導しながら衛生管理の知識や技術を習得させます。

集合研修

定期的に従業員を集めて、衛生管理に関する講義や実習を行います。ビデオ教材や資料を活用するのも効果的です。

eラーニング

オンラインで衛生管理に関する知識を習得できるシステムを導入するのも有効です。時間や場所にとらわれずに学習できます。

朝礼・終礼時の注意喚起

毎日の朝礼や終礼時に、衛生管理に関する重要なポイントを再確認します。

ポスターや掲示物の活用

手洗いの手順や注意点などを分かりやすくまとめたポスターを掲示し、従業員の意識を高めます。

定期的なテストや確認

教育内容の理解度を確認するために、定期的にテストを実施したり、口頭での確認を行ったりします。

外部講師の招へい

必要に応じて、食品衛生に関する専門家を招いて講習会を実施するのも有効です。

衛生教育を継続するためのポイント

一度教育を実施したら終わりではありません。衛生管理に関する知識や意識を維持・向上させるためには、継続的な教育が不可欠です。

定期的な再教育

半年に一度、あるいは年に一度など、定期的に衛生教育を実施し、知識の定着を図ります。

法改正や新たな情報への対応

食品衛生法が改正されたり、新たな食中毒事例が発生したりした場合は、速やかに従業員に情報を共有し、教育内容を更新します。

従業員の意見交換

衛生管理に関する問題点や改善案などを従業員間で話し合う機会を設けることで、意識の向上や新たなアイデアの創出に繋がります。

記録と評価

衛生教育の実施状況や、従業員の理解度などを記録し、効果を評価しながら改善を図ります。

経営者の率先垂範

経営者自身が衛生管理の重要性を理解し、率先して衛生的な行動を示すことで、従業員の意識向上を促します。

メニューに応じた設備と対策

ラーメン店と一口に言っても、提供するラーメンの種類やサイドメニュー、調理工程は多岐にわたります。

例えば、豚骨ラーメンをメインとする店と、あっさりとした醤油ラーメンをメインとする店では、スープの仕込みに必要な設備や、注意すべき衛生管理のポイントが異なります。

また、餃子やチャーハンなどのサイドメニューを提供する場合は、それらの調理に必要な設備や、追加の衛生対策が必要になります。

メニューに応じた適切な設備と対策を講じることは、効率的な調理、安定した品質の維持、そして何よりも食中毒のリスクを最小限に抑えるために不可欠です。

メインメニュー(ラーメン)の種類と必要な設備・対策の例

提供するラーメンの種類によって、特に注意すべき設備や衛生対策の例を以下に示します。

豚骨ラーメン

必要な設備:大型の寸胴鍋(複数)、骨を炊き出すための強力な加熱設備、撹拌機、スープの冷却設備(急速冷却機など)、骨粉やアクを取り除くための漉し器など。
衛生対策:豚骨スープは、長時間高温で炊き出す必要があるため、温度管理を徹底し、冷却時も急速に行うことが重要です。骨髄からの雑菌の繁殖を防ぐため、適切なアク取りを丁寧に行いましょう。使用する寸胴鍋は、定期的に徹底洗浄し、衛生的な状態を保つ必要があります。

醤油ラーメン・塩ラーメン

必要な設備:スープを仕込むための寸胴鍋、出汁をとるための設備(羽釜など)、タレを仕込むための容器、香味油を作るための設備など。
衛生対策:豚骨ラーメンに比べると比較的短時間でスープが仕上がる場合が多いですが、出汁の温度管理や、タレの保管にも注意が必要です。特に、香味油は酸化しやすいため、適切な保存容器を使用し、早めに使い切るようにしましょう。

味噌ラーメン

必要な設備:スープを仕込むための寸胴鍋、味噌を炒めるための鍋や中華鍋、野菜を炒めるための設備など。
衛生対策:味噌は比較的保存性が高いですが、開封後は冷蔵庫で適切に保管しましょう。味噌を炒める際に使用する油の管理や、炒めた野菜の冷却にも注意が必要です。

家系ラーメン

必要な設備:豚骨スープと鶏油を別々に仕込むための設備、ほうれん草を茹でるための設備など。
衛生対策:豚骨スープと同様の温度管理に加え、鶏油は酸化しやすいため、適切な管理が重要です。ほうれん草などの茹で野菜は、加熱後速やかに冷却し、適切な温度で保管しましょう。

自家製麺を提供する場合

必要な設備:製麺機、小麦粉などの保管庫、麺を茹でるためのゆで釜、麺を冷やすための冷却機など。
衛生対策:小麦粉は湿気や害虫に注意して保管しましょう。製麺機は使用後、丁寧に清掃し、乾燥させて保管します。茹でた麺を冷却する際は、清潔な水を使用し、迅速に冷却することが重要です。

サイドメニューを提供する際の必要な設備と対策の例

ラーメンに加えて、餃子やチャーハンなどのサイドメニューを提供する場合は、以下の点に注意が必要です。

餃子

必要な設備:餃子焼き機、冷凍庫(冷凍餃子を提供する場合)、餃子の餡を作るための調理台やミキサーなど。
衛生対策:餃子の餡は、生の肉や野菜を使用するため、調理前の食材の温度管理、調理時の十分な加熱が重要です。冷凍餃子を提供する場合は、適切な温度で保管し、解凍せずに調理しましょう。

チャーハン

必要な設備:中華鍋、炒め台、米飯を保温するジャーなど。
衛生対策:炒飯に使用する米飯は、適切な温度で保温し、長時間放置しないようにしましょう。卵を使用する場合は、十分に加熱することが重要です。

唐揚げなどの揚げ物

必要な設備:フライヤー、油切り、揚げカスを除去する網など。
衛生対策:油は定期的に交換し、揚げカスをこまめに取り除くことで、油の劣化を防ぎます。揚げ物の中心部まで十分に加熱されていることを確認しましょう。

ご飯物(白米、丼ものなど)

必要な設備:炊飯器、保温ジャー、丼の具材を調理するための鍋やフライパンなど。
衛生対策:炊いたご飯は、適切な温度で保温し、長時間放置しないようにしましょう。丼の具材は、種類に応じて適切な加熱調理と温度管理が必要です。

その他考慮すべき設備と対策

アレルギー対応

アレルギーを持つお客様のために、アレルギー物質を含む食材の使用状況を明確に表示するだけでなく、調理器具や食器の使い分け、専用の調理スペースの確保など、可能な範囲での対策を講じることが望ましいです。

テイクアウト・デリバリー

テイクアウトやデリバリーを行う場合は、容器の選定、温度管理、衛生的な梱包方法など、店内飲食とは異なる対策が必要になります。特に、スープなどの液体は漏れないような容器を選び、温度変化のリスクを考慮した提供方法を検討しましょう。

食券機・自動精算機

現金に触れる機会を減らすことで、間接的な接触感染のリスクを低減できます。定期的な清掃・消毒も重要です。

保健所との連携

メニューの種類や提供方法によっては、保健所から特別な指導や設備の追加が必要となる場合があります。事前にしっかりと相談し、アドバイスを受けるようにしましょう。

関係法規の遵守と最新情報の収集

ラーメン店を経営する上で、食品衛生法をはじめとするさまざまな法律や条例を遵守することは、事業を行う上での基本的な義務です。

これらの法規は、お客様の安全を守り、健全な食文化を維持するために定められています。
法規を遵守しない場合、営業許可の取り消しや罰金、最悪の場合には刑事罰を受ける可能性もあります。

また、食品に関する法規制や基準は、社会情勢や科学的知見の進歩に伴い、改正や新たな情報が発表されることがあります。常に最新の情報を把握し、適切な対応をとることは、安全な店舗運営を維持するために不可欠です。

ラーメン店が遵守すべき主な関係法規

ラーメン店が特に遵守すべき主な関係法規には、以下のようなものがあります。

食品衛生法

食品の安全性確保を目的とした最も基本的な法律です。
営業許可、施設基準、衛生管理基準、食品表示、食中毒対策など、飲食店営業に関わる広範な事項が定められています。

食品衛生法施行条例(各都道府県・市区町村条例)

食品衛生法に基づき、各自治体が地域の実情に合わせて定める条例です。
施設基準や衛生管理に関する具体的な内容が、法律よりも詳細に規定されている場合があります。

食品表示法

消費者が食品の内容を正しく理解し、選択できるよう、食品の名称、原材料名、アレルギー物質、添加物、栄養成分表示などを義務付ける法律です。

計量法

取引や証明に使用する計量器の管理や、内容量の表示などについて定める法律です。
ラーメンの麺量やスープ量などを表示する際に注意が必要です。

消防法

火災の予防と消火、人命の安全確保を目的とした法律です。
消火設備の設置、避難経路の確保、防火管理者の選任などが義務付けられる場合があります。

建築基準法

建物の安全性や衛生環境などについて定める法律です。
店舗の構造や設備が基準に適合している必要があります。

都市計画法・ゾーニング規制

店舗の所在地によっては、用途地域による営業制限を受ける場合があります。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)

事業活動に伴って生じた廃棄物(生ゴミ、廃油など)の適切な処理方法について定める法律です。

労働基準法

従業員の労働時間、休日、賃金、安全衛生などについて定める法律です。
従業員を雇用する場合は遵守する必要があります。

健康増進法

受動喫煙対策など、国民の健康増進を目的とした法律です。
店内の喫煙に関する規制があります。

著作権法

店内で音楽を流したり、メニューに他者の著作物を使用したりする場合に注意が必要です。

上記以外にも、地域の条例や業種によっては関連する法規が存在する場合があります。

最新情報を収集するための主な情報源

法規は改正されたり、新たな情報が発表されたりするため、常に最新の情報を収集する体制を整えておくことが重要です。主な情報源としては、以下のようなものが挙げられます。

管轄の保健所

食品衛生に関する最新の情報や、地域の条例に関する情報を提供してくれます。
定期的にホームページを確認したり、講習会などに参加したりすることが有効です。

厚生労働省

食品衛生法に関する情報や、食中毒に関する注意喚起などが掲載されています。

消費者庁

食品表示法に関する情報や、食品に関する注意喚起などが掲載されています。

各都道府県・市区町村のウェブサイト

地域の条例や、飲食店向けの支援情報などが掲載されています。
食品衛生協会: 食品衛生に関する講習会や情報提供を行っています。

業界団体

ラーメン業界の団体などが、関連法規や最新情報を提供している場合があります。

弁護士や行政書士などの専門家

法的なアドバイスや手続きのサポートを受けることができます。

新聞やニュース

食品に関する事件や法改正の情報を把握することができます。

最新情報を収集・管理するための具体的な方法

情報源の定期的なチェック

上記の情報源を定期的に確認する習慣をつけましょう。
ウェブサイトの更新情報をRSSリーダーなどで購読するのも有効です。

関係機関からのメールマガジン登録

保健所や業界団体などが配信するメールマガジンに登録し、最新情報を自動的に受け取れるようにします。

講習会やセミナーへの積極的な参加

関係機関や団体が主催する講習会やセミナーに積極的に参加し、専門家から直接情報を得る機会を作りましょう。

情報の共有体制の構築

得られた最新情報を、従業員全体に共有する仕組みを作りましょう。回覧板や社内SNSなどを活用できます。

記録と整理

法改正や重要な情報を記録し、いつでも確認できるように整理しておきましょう。

顧問弁護士や行政書士との連携

法的な判断が必要な場合や、手続きが複雑な場合は、専門家のサポートを受けることを検討しましょう。

法規遵守と情報収集における注意点

自己判断をしない

法規の解釈や対応に迷う場合は、必ず関係機関や専門家に確認しましょう。

曖昧な情報の鵜呑みに注意

インターネット上の情報には誤りや古い情報が含まれている可能性もあります。信頼できる情報源から情報を得るように心がけましょう。

従業員への周知徹底

法改正や新たなルールが定められた場合は、速やかに従業員に周知し、理解を求めましょう。

記録の重要性

法規遵守の状況や、情報収集の履歴などを記録しておくことは、万が一のトラブル発生時に役立ちます。

まとめ

ラーメン店の開業は、多くの準備と手続きが必要となりますが、保健所の許可取得はその中でも特に重要なステップです。

今回ご紹介した10個のポイントを参考に、しっかりと対策を行い、スムーズな開業を目指してください。皆様のラーメン店が、地域のお客様に愛される素晴らしいお店になることを心より応援しております。

テンポスでは開業を目指す方へ向けてさまざまな情報を発信しています。
是非ご参考になさって下さい。

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