開業まであと少し――。
ワクワクする気持ちと同時に、「本当に間に合うのかな…?」と急に不安が押し寄せてくる時期でもあります。
とくにパン屋は“毎日の仕込み量”“開店までの逆算スケジュール”“販売時間帯のピーク”など、考えるべきことが一気に押し寄せるため、直前期はまさに小さな地獄のような忙しさになります。
この回では、これから初めてお店を持つ人に向けて、開業直前に起こりやすい混乱の正体を、会話形式で分かりやすく解説します。
「仕込みって何時から?」「朝はどれくらいバタつく?」「パートさんは何人必要?」といったリアルな疑問に、師匠が一つひとつ丁寧に答えながら、開業後の“実際の1日の流れ”がイメージできるようにしていきます。
開業前のドタバタを知っておくことは、“後悔しない準備”そのもの。
あなたの未来のお店がスムーズに回り始めるためのコツ、しっかりつかんでいきましょう。

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目次
■ パン屋の1日の動きが丸わかり

● 朝は“生地と時間との戦い”
ユミ「師匠…朝って何時に起きればいいんですか? パン屋さんって早いって聞きますけど、まさか夜中とかじゃ…?」

師匠「まあ、夏と冬で変わるけど、一般的には2時〜4時起きだね。冬は生地の発酵が遅いから、もうちょい早くなることもあるよ」

ユミ「ひぇぇ…。2時って、ほとんど夜じゃないですか…」
師匠「パン生地は待ってくれないからね。じゃあ、ざっくり1日の流れを見てみようか」
● ざっくりタイムライン
師匠「例えばこんな感じだよ」
2:30 出勤・仕込み開始(計量、生地こね、発酵管理)
4:00 成形・焼成(ハード系は早め、菓子パン系は細かく時間がかかる)
7:00 開店準備(陳列、レジの立ち上げ、追加焼き)
8:00 開店(朝のピーク。レジと補充が忙しい)
12:00 昼ピーク(調理パンが一気に出る)
14:00 売れ残りの調整・翌日分の仕込み準備
16:00 片付け・仕込みの続き
18:00 閉店・清掃
19:00〜19:30 退勤
ユミ「……え、ほぼ1日仕事じゃないですか?」
師匠「そう。開業直後は慣れてないから倍疲れる。でも、この流れを理解しておくと“何に時間を使うべきか”が見えてくるんだよ」
● 忙しい時間帯を想像してみる
ユミ「朝と昼のピークって、どんな感じなんですか?」
師匠「朝は焼き立てを狙うお客さんが一気に来るから、陳列しながらレジを回し、補充も同時進行。昼はサラリーマンや学生が一度に来るから、調理パンが一瞬でなくなる。その間も次の生地を成形しているから、休む暇はほとんどない」
ユミ「想像しただけで息が切れそうです…」
師匠「でもね、この忙しさを事前に知っておくと“どの時間帯に人を置くか”“どの作業を先にするか”の判断ができる。準備さえ整えておけば、開業直後の混乱はかなり減らせるんだよ」
ユミ「なるほど…理解しておくかどうかで、全然違うんですね」
師匠「そう、パン屋の1日は“時間管理と人の配置の勝負”。ここを押さえておくと、後の計画も立てやすくなるんだ」
■ メニュー数を欲張る初心者の落とし穴

● 種類を増やすと“首が締まる”理由
ユミ「師匠、売上を伸ばすには、パンの種類は多いほうがいいですよね?クロワッサンも、あんパンも、フォカッチャも…全部出したい!」
師匠「その気持ちはわかるけど、メニューを増やせば増やすほど、首が締まると思っておいたほうがいいよ」
ユミ「えっ、どうしてですか?」
師匠「まず、種類が多い=原材料の種類も増える。在庫管理が大変になるし、ロスも増えやすい。そして、仕込み作業が増えるから労働時間もどんどん長くなるんだ」
ユミ「あ…なんだか嫌な予感がします」
● 生地の同時進行は初心者の天敵
師匠「さらに複数の生地を同時に発酵・成形すると、初心者はほぼ確実にパンクする。焼きムラ、発酵過多、ロスの連鎖だね」
ユミ「パンクするパン屋…笑えないですね」
師匠「経験者でもミスするのに、初めての人が全種類を同時進行でやると、朝のピークでテンパるのは必至だよ」
● 人員教育も倍増する
ユミ「じゃあ、人を雇えば大丈夫なんですか?」
師匠「種類が多い店ほど、新人が覚えることも増える。開業直後は教育に時間がかかるし、結局バタバタするだけになる。だから最初は少数精鋭が鉄則だね」
ユミ「じゃあ、何種類くらいが現実的なんですか?」
師匠「10〜15種類くらいで十分。看板商品を3つ明確にして、それを中心に回せば、開業直後でも安定しやすいよ」
ユミ「なるほど…まずは焦らず、売れるものに集中するんですね」
師匠「その通り。種類を欲張るより、“作業が回る体制を作る”ことが、開業直後の成功につながるんだ」
■ 人員は“開店直後が一番キツい”

● ワンオペは開業直後には無理
ユミ「師匠、人って何人くらい雇えばいいんでしょう? 私、ワンオペも憧れるんですけど…」
師匠「ワンオペはね、“憧れ”でやるもんじゃないよ。開業直後は仕込みも接客も全部手探りだから、一人で全部回すのはほぼ不可能だ」
ユミ「確かに…朝の開店とレジと補充が同時に来たら、絶対無理ですね」
師匠「そう。パン屋は開店直後が一番忙しい。お客さんは焼き立て狙いで一気に来るから、レジ+袋詰め+補充だけでパンクするんだ」
● 最低限必要な人員の目安
ユミ「じゃあ、最初は何人くらい必要なんですか?」
師匠「最低でも“店主+アルバイト1人”。できればレジ専任の人を1人確保したいね。焼き場とレジを兼任すると、どっちも中途半端になってしまう」
ユミ「なるほど…。でも、採用ってすぐ集まるんですか?」
師匠「正直、飲食業界は“来ない時は全然来ない”。特にパン屋は朝が早いから採用難易度が高い。だから2〜3か月前から募集して、早めに教育を始めるのが鉄則だよ」
● 教育には時間がかかる
ユミ「教育って、具体的に何を教えるんですか?」
師匠「レジ操作はもちろん、焼き立ての補充位置、トングやトレーの管理、袋詰めのスピード…細かいけど大事な作業が山ほどある。新人の教育には3週間くらいはかかると思っておいたほうがいい」
ユミ「開店準備って、もうすでに大変ですね…」
師匠「でもここを理解しておけば、無理な人数で回そうとしてパンクすることは避けられる。開業直前の“地獄のような忙しさ”も、準備次第で乗り越えられるんだ」
■ まとめ:開業直前の“地獄”を知れば、不安は武器に変わる
● 現実を知ることが準備の第一歩
ユミ「今日の話を聞いて、正直めちゃくちゃ大変だと思いました。でも、“知らずに突っ込むよりは100倍マシ”って気もします」
師匠「それが一番の収穫だよ。パン屋の毎日は時間との戦いだし、メニュー、仕込み、人員…全部がつながって回る。どれか一つでも軽く考えると、必ずどこかで無理が出るんだ」
ユミ「タイムラインも、人の配置も、テレビで見るパン屋とは全然違いますね」
師匠「そう。リアルを知ることで、“何を減らすか”“どこに人を置くか”“どの作業を優先するか”の判断ができるようになるんだ」
● 小さく始めるのが勝利のコツ
ユミ「つまり、メニューを絞る、レジを分ける、採用を早める…全部、やっておかないと後で泣く、ってことですね」
師匠「その通り。開業直前は“地獄”と言われるけど、事前に設計しておけば、ただの忙しい期間に変わる。乗り越えた頃には、お店はちゃんと回り始めるよ」
ユミ「大変だけど、ちょっと楽しみになってきました!」
師匠「現実を知れば知るほど、不安は武器になる。準備した分だけ自信がつくんだよ。次回は、開業後に待っている“リアル”と続けるためのポイントを話すから、ここを押さえれば店が長く続く力になる」

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