開業予定の店舗、「家賃が安かったから」「駅に近かったから」という理由だけで選ぼうとしていませんか?
飲食店の開業準備で「店舗物件選び」は最重要項目のひとつです。しかし実際には、安易に決めてしまい、あとから排気設備の問題や営業許可の制限に悩まされるケースも少なくありません。
特に注意すべきは、「重飲食と軽飲食の違い」や「スケルトンと居抜きの初期費用差」。これらを理解せずに物件を選ぶと、追加工事やトラブルによる大きな損失を招く恐れがあります。
本記事では、業務用厨房機器のプロの視点から、飲食店開業に最適な物件選びのコツや、失敗しないチェックポイント、費用シミュレーション、物件タイプの選び方までをわかりやすく解説します。
これから店舗を探す方、物件選定に迷っている方は、ぜひ参考にしてください。

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目次
はじめに:なぜ店舗選びで失敗すると開業後がうまくいかないのか
飲食店の開業において、どんな業態にするか、どの地域で営業するか、どんなメニューを出すかといった計画はもちろん重要です。しかし、その計画を実現する「店舗物件の選定」こそが、成功・失敗の分かれ道になることをご存知でしょうか?
店舗の立地や条件によって、開業資金は大きく変わり、できる業態に制限がかかることもあります。さらには、排気や防火設備が原因で営業許可が下りないケースも。
本記事では、飲食店開業時の物件選びで押さえるべきポイントを、業務用厨房機器のプロの視点から徹底解説します。
飲食店に適した店舗立地・物件条件とは

まずは、飲食店向け物件を選ぶうえで基本となるチェックポイントを整理しておきましょう。
立地条件
□人通りの多さ:昼夜の動線や人の流れはどうか
□ターゲット層との一致:ファミリー、ビジネス層、若者など
□競合店舗の有無と強さ:同業態が近くにあるか、差別化可能か
建物・外観条件
□1階路面店かどうか:視認性が高く、入りやすい印象を持たれる
□看板やファサードが設置可能か:集客に大きな影響を与える
□築年数や建物の管理状態:古い建物だと設備対応が難しいことも
賃料とコスト感
□月額賃料の目安は売上の10%以下
たとえば、月商200万円を目指すなら、家賃は20万円程度に抑えるのが理想です。
「重飲食」と「軽飲食」の違いと、物件への影響
飲食店物件で最も重要なポイントの一つが、「重飲食可」か「軽飲食のみ可」かという区分です。
軽飲食
主な業態:カフェ、バー、ベーカリー、スイーツ、サンドイッチなど
特徴:においや煙が少ない料理を提供する業態。排気や防火設備が最小限で済む。
重飲食
主な業態:焼肉、中華、ラーメン、鉄板焼き、揚げ物など
特徴:強いにおい・煙・油を伴う業態。高度な排気・防火・防音対策が必要。
注意:「重飲食不可」の物件で無理に営業すると…
排気ダクトを無理に設置して近隣トラブルに発展することもあります。設備が整っていないビルでは消防法や建築基準法に抵触し、営業停止や訴訟リスクが生じる場合もあります。
店舗物件の種類と特徴:スケルトンと居抜きの比較
物件には主に「スケルトン物件」と「居抜き物件」があります。
スケルトン物件
- 内装・設備なしの状態。自由なレイアウトが可能。
- 開業費用は400〜800万円が相場(工事費が大部分を占める)。
- 自由度が高い一方、工事期間・コスト・申請手続きも多くなる。
居抜き物件
- 前テナントの内装や設備が残っている。
- 厨房機器付きで初期投資を大幅に抑えられる(100〜300万円程度)。
- ただし、設備の老朽化やレイアウトの汎用性には注意が必要。
※造作譲渡契約によって、居抜き物件の譲渡価格は大きく変わります。設備の状態や市場価値をよく見極めましょう。
関連記事:飲食店を開業する人必見!居抜き物件にかかる開業資金とは?
店舗選びでチェックすべき厨房・インフラ設備

どんなに立地が良くても、厨房やインフラが業態に合わなければ営業に支障が出ます。
確認すべき設備項目
□ガス容量(都市ガスorプロパン、使用可能量)
□電気容量(三相200V対応か)
□水道・排水の配管径・処理能力
□排気ダクトの位置と風量、屋外への排気経路
□グリーストラップ・防火設備の有無
※厨房機器の選定や配置は、物件が決まった段階で専門業者に現場調査を依頼するのがベストです。
開業資金に大きく影響する!店舗タイプ別の初期費用シミュレーション

スケルトン
- 内装・工事費用:300〜700万
- 厨房機器関連:200〜300万円
- 合計費用(目安):500〜1,000万円
居抜き(状態良)
- 内装・工事費用:50〜150万円
- 厨房機器関連:50〜100万円
- 合計費用(目安):150〜300万円
居抜き(一部改修)
- 内装・工事費用:100〜300万円
- 厨房機器関連:100〜200万円
- 合計費用(目安):300〜500万円
【ポイント】
厨房機器の状態が悪い場合や、業態と合わない場合は入れ替えコストが追加されます。
開業者がよく失敗する物件選びの落とし穴と成功事例

失敗例
失敗例①:「重飲食不可」なのに焼肉店を開業
排気トラブル → 近隣住民からクレーム → 強制退去に。契約前に用途確認を怠った結果。
失敗例②:厨房機器が古すぎて買い直しに
表面上は使えそうでも、実際に電源を入れると動作不良。修理も不可で新品購入→想定外の出費に。
成功事例
成功事例①:駅近の軽飲食居抜きで開業資金200万円
前テナントがカフェだった物件をほぼそのまま活用。小規模な改修とサイン工事のみで開業。
成功事例②:1階路面・重飲食可の焼き鳥店
重飲食OKの店舗を選び、厨房ダクト・防火も完備。出店直後から集客成功し、短期間で黒字化。
賃貸契約のポイント:開業後に後悔しないために
契約内容のチェックも重要です。あとで「こんなはずじゃなかった」とならないよう、以下の点は特に注意しましょう。
- 契約形態:定期借家契約は再契約不可のケースもある
- 原状回復義務:スケルトン返しが義務づけられているかどうか
- 造作譲渡の取り決め:退去時の扱いや残置物の所有権
- 解約予告期間と更新料:事業計画に支障をきたす可能性あり
飲食店物件にまつわる豆知識&よくあるQ&A
豆知識
豆知識①:居抜き物件の「造作譲渡代」とは?
居抜き物件の引き継ぎ時にかかる「造作譲渡代」は、内装や厨房機器などの設備をそのまま引き継ぐための費用です。相場は数十万円〜200万円程度。ただし交渉次第でゼロになることもあります。
▶ POINT:金額だけでなく「設備の状態」「耐用年数」も要チェック!
関連記事:飲食店居抜き物件を造作譲渡する際のよくあるトラブルと注意点を解説!
豆知識②:ビルイン物件でも重飲食OKなことがある
一見「ビルイン=軽飲食限定」と思われがちですが、しっかりした排気設備や排煙経路が確保されていれば重飲食可能なケースもあります。
▶ POINT:管理会社やオーナーの事前確認がカギ。あとからトラブルになることも…!
豆知識③:原状回復義務は契約で変わる
賃貸契約書に「原状回復義務あり」と記載されている場合、退去時にスケルトンに戻す必要があります。これにより100万円以上の費用がかかるケースもあります。
▶ POINT:退去費用も含めて物件を選ぶのがプロの考え方!
よくある質問(Q&A)
Q1.「重飲食不可」の物件でも、あとから重飲食に変えることはできますか?
A. 原則不可です。物理的に工事が可能でも、建物全体の管理規約や近隣住民への影響がネックになります。無断で営業を始めると強制退去・訴訟トラブルになることもあります。
Q2. 居抜き物件の厨房機器が古い…買い替えた方がいいですか?
A. 状態と機種によりますが、省エネ性能や衛生基準を満たしていないものは要交換です。特に冷蔵庫やフライヤーなどは寿命を見極めて検討しましょう。
Q3. 地下物件でも飲食店ってできるんですか?
A. できますが、排煙・排水設備に制限があるため、重飲食には不向きな場合が多いです。法令上の制限や消防法も関係します。カフェやバーなどに向いています。
Q4. 立地はどこが正解?駅前?住宅街?
A. 業態によります。
朝食・ランチメイン → オフィス街
ファミリー層ターゲット → 住宅街
テイクアウト中心 → 駅前・繁華街
関連記事:飲食店を成功させるには立地が最重要!最適な立地の見つけ方
補足:物件選びに迷ったら、業態・厨房・インフラの「三位一体」で考える
「この物件、家賃安いし広さもいいな!」と思っても、厨房機器が入らなかったり、業種に向いてなかったりするケースは多々あります。
プロは“物件ありき”ではなく“業態+設備+資金”のバランスで物件を選びます。
まとめ|“安い物件”より“使える物件”を選ぶことが成功の第一歩
飲食店開業では、「家賃の安さ」や「駅近」という表面的な条件よりも、「どんな業態ができるか」「どんな設備が整っているか」「初期費用はどれくらいかかるか」をトータルで見極める必要があります。
居抜き物件は初期投資を抑えるチャンスですが、状態の見極めが鍵です。また、厨房機器の選定や導線計画は、開業後の業務効率や利益に直結します。
【ポイント】
プロが選ぶのは「安い物件」ではなく「目的に合った物件」です。
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