【ラーメン店・ストライク軒】初めてのラーメンは「おばあちゃん」と食べた出前のラーメン。ラーメンの美味しさの虜になった店主が、思い出の地、甲子園に店を持つようになるまでの成功を収めた秘訣とは?

出店・開業

地下鉄堺筋線または谷町線/天神橋筋六丁目駅12番出口から徒歩約2分、カウンター5席・テーブル1席(4人掛け)と、行列覚悟の人気店。甲子園にも店舗を構え、食べログ100名店に6年連続で入賞し、★3.76を獲得。ラーメンデータベースでも93.243ポイント(2024年2月26日現在)を獲得するほどの人気店となりました。

店主の芦田雅俊さんは、ラーメンDJのAssyとしても大活躍中。
そんな『ストライク軒』の開業までの経緯や苦労したことや失敗したことなど、そして成功に至るまでの秘話をお聞きしました。

開業までの経緯

おばあちゃんと食べた想いでの味

芦田さんが初めてラーメンを食べたのは小学生の頃、おばあちゃんのお家でした。
出前のラーメンではありましたが、その時のとてもいい香りやフォルムは今でも忘れられないのだそう。

そんな芦田さんが飲食業界に入ったのは学生の頃でした。
学生時代のアルバイトからみっちり接客業というものを学んで、20年前に「居酒屋天六マッシュアップ」を開業しました。

ラーメンが好きで、高校生の時から東京まで行って食べ歩きしたほどだそう。
開業したお店でラーメンを出すようになると、ラーメン好きが高じて。食べログで「6年連続100名店入賞」の快挙を果たしました。

すると、「色んなところからラーメン店主や、アーティストさんが食べに来るようになったんです。」と芦田さんは語ります。

そんな中、グルメ誌や全国紙などにもお店の紹介が載るようになって、そこからは「居酒屋でラーメン好きが自作ラーメンを提供している」という状況だったのですが、有名ラーメン店主とかも集うようになったので、「何かのお導きかな」と思い、2012年5月8日『ぬんぽこ』っていうラーメン屋を出したんです。

最初は、「居酒屋天六マッシュアップ」の昼の時間を利用した店舗でした。
全国でも有名なラーメンブロガーが来たり、いきなり雑誌の紙面の表紙になったりして。

満を期して「ちゃんとした店舗でやろう」ということになって、近くで知り合いの店舗が空いたので、2013年8月8日、夏の甲子園開幕の日に「ストライク軒」を開業するに至ったんです。と芦田さんは力強く語ります。

甲子園への出店

2013年の開業当時は注目を浴びました。
「ストレート」っていうラーメン(ストレートな中華そば)と「シンカー」という進化系のラーメン(はまぐりと鳥白湯)で勝負して。

当時、大阪のラーメンは全国で認知されてないので、東京ラーメンショーに出ないかと誘われて大阪のラーメンを広めようということで、全国のラーメンイベントに出るようになりました。
そのおかげで全国のさまざまなラーメン店主さんと知り合いになり、全国でも名前を知ってもらえるようになりました。

そのうちに、全国でカップラーメンを販売するようにもなって、よりいろんな方々に知ってもらえるようになりましたね。

一番人気メニュー:ストレート(並)900円(税込)

オーソドックスなトッピングがうれしいどストレートな一品

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苦労したこと、失敗したこと、それらを乗り越えたエピソード

立地選びは慎重に

失敗は、居酒屋さんを始めた時から立地の大事さを痛感したことですね。
レンガ通りというところで出店していたんですけれど、あまり人が寄り付かなかったんです。
なかなか人が来てくれない中、夕方5時から朝5時まで開けていたんですが、そのうち近くにあったストリップ劇場のお姉さんとかが来てくれるようになって。

徐々に音楽好き、アニメ好き、いろんな方が来てくれるようになって、しっかり認知してもらえるようになるまで5年の歳月がかかりました。

食べ歩きでブログを書いているようなブロガーが人気を博すようになって、そういう人たちがお店について書いてくれるようになり、2008年くらいに一気に店が多くの人に認知されるようになりました。
そして、病院の先生、同業の飲食店ラーメン店主なども来るようになったんです。

10年目にしてまた一苦労

特殊な立地での苦しみ

「今、10年目にして一番苦労しています」と芦田さん。
2年前に甲子園球場に声をかけてもらい、レフトスタンドに大きい店が出来たのですが、売店ではなくお店というのにまずびっくりしましたね。

厨房も広く、店より4倍くらいの客席になりました。
苦労としては、試合開催日と試合がない日の客足のアップダウンがすごいことですね。
バイトが30人もいるので人材管理をする大変さを今痛感しています。

1号店は9席で月商600万、1日200~300杯は売れるんですが、甲子園ではそうもいかない。
1号店では「地元に根付いた商売が出来た」っていうのが大きいですね。と芦田さんは語ります。

人材育成、人材確保の難しさ

ストライク軒は、スタッフが去年ゼロになってしまいました。
さまざまな理由がありましたけれども、人材育成の苦しみがありました。
個人店から、会社としての苦しみが生まれるようになって。

個人店の時とは違って、有給とか週休二日制がないといけない時代になりましたね。
大企業に求められるようなことが、個人店にも求められるようになったといいますか。
時代に合わせて会社としての責任を持たなきゃいけない。

その上で人件費の高騰もありつつ、人材を確保しなきゃいけない。そこへ食材費や原材料費が上がっていっているので、「会社としてのあり方と、個人店としてのあり方で今現在も戦っている」という状況です。と芦田さん。
「時代に合わせて乗り越えていかなきゃいけない」これが大事ですね、とも力強く語ってくれました。

店内はカウンター5席・テーブル1席(4人掛け) 野球ボールがかわいい看板

開業してみてはじめてわかったこと

地元に根付いたお店作りを

引っ越すなら徒歩圏内のところに引っ越さないと、「その街に根付いた」ということがあるのでビジネスとして成り立たないのではないかと思いました。
あと、やはり駅に近くないと苦しいかもしれませんね。

従業員も来るのが大変じゃなく、お客さんもアクセスしやすい、というのが大事だと思います。
商売として飲食店をやるのであれば、「家賃が10万高くても妥協せず、ケチらず選びたい」ですね。
それが大事だと思います。と芦田さんは真っすぐ語ってくれました。

ラーメンと聞いて思い浮かぶトッピングが全部のっているようなストレートな一杯

店主の芦田さんはラーメンDJとしても大活躍中

テンポスとのかかわり

マッシュアップ開業の時からお世話になっています。
20年以上のお付き合いですね。東大阪の店舗に行っています。
行くとお店が大きくて、発見がある。細かいものもいろんなものが売っているので、予算に合わせて中古を見ることができるのが良いですね。

もちろん新品も色々と観ます。
イスやテーブルも買いました。
店舗を作るうえでの骨組みをそろえさせてもらいました。

ストライク軒の厨房機器もテンポスで揃えました。消耗品とかもあるので便利ですね。
あと、都内のイベントに出ている時なんかは新宿店も利用していますね。

今後の展望・開業する方へのメッセージ

ラーメンに品格を

3月から、とは考えているんですが次の目標として、月曜日が定休日なので、お休みを利用した「新しい2000円くらいのラーメン」を提供しようと調整しています。

ラーメンの品位を上げるというか。「ラーメンはこんなこともできるんですよ」というのを作り上げようとしています。と芦田さんは誇らしげに語る。

開業は目的ではなく目標

「開業するのが始まりです!」と芦田さんは強く訴えます。
僕もそうだったけれど、「自分の店をやるために」が目的になっちゃっていて、開業がゴールになっちゃってる人が結構いると思うんです。

「開業は目的ではなく目標」なんです。
オープンしてからが「スタート!」です。次の目標はお客さんに来てもらうこと。
オープンしてからどうしたいか、をしっかり持っておかないとダメ。

集客につなげる仕組みまでを考えていかないと、これからの飲食業界は生き残っていけないと思いますね。
いざやってみてから見えることもありますし、やってみて「これは違うな」とか、断捨離したりすることもできるんです。

また、社長業と個人事業主というのは違うので、社長業としての現場を社員と一緒に作っていく、というのを今やっています。

現在はDJとしての活動も精力的に行っているそう。
「DJとの二本柱でやっています」と芦田さんは語ります。
渋谷でデビューをして、現在では大阪でも月5本はやるようになっているのだそう。

飲食店もそうですが音楽もそう、「やり続けることが大事」。
「ラーメンDJはあいつだ!」と思ってもらえるようにやっています。と明るく語る芦田さん。
甲子園の店舗ではここから新しいことを発信していこうと日々奮闘中なのだそうです。

また現在、東京のミシュラン店で働いていた子や、大阪の名のある名店で3年の修行を経た子が、うちの門をたたいてきたり、半年後の開業を目標にして、地元、愛媛県宇和島市の同級生が修行に来ているといった状況です。今後も、同じ志を持った若き猛者たちをジャンルを問わず絶賛募集中です。

甲子園に併設された2号店

まとめ

「ストライク軒店主」と「DJAssy」としての顔を持つ芦田さん。

甲子園の店舗を舞台に、「昔ながら」と「新しさ」の融合を果たす発信基地としての役割を担っていく心構えは、二つの顔を持つ芦田さんだからこそ生まれるラーメン店の新しい形、なのかもしれませんね。

そして、立地や人員確保に大変ご苦労されたというお話は、今後開店を目指す皆さんへのいい教訓となったのではないでしょうか。
また、「開店がゴールになってしまわないように」という言葉もしっかり頭に入れておきたいところですね。

テンポスドットコムでは、物件のお悩みや、人材不足解消へのお手伝いなど、様々なサービスを承っております。
また、様々な視点からラーメン店の開業成功を全力で応援します。
自分のお店の業態に合わせて必要なものは何があるのか、詳細を確認することができますので是非ご覧ください!

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開業に関するお問い合わせはこちら

#取材協力
店名:ストライク軒
店主:芦田 雅俊 氏
住所:大阪府大阪市北区天神橋5-8-8
TEL:06-6352-0633(予約不可)

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