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開業の手引き物件探し

物件探し

ご自身の店舗の「どんなお店にしたいのか(コンセプト)」や事業計画書と実物件の乖離を防ぐためには、事前の商圏調査をしっかりと行いましょう。
理想とする優良物件をいち早く紹介して貰うためには、事業計画書作成前の早い段階から不動産業者に足を運び、良好な関係や人脈を作ることが、成功のための第一歩となります。

但し、あくまで事業計画作成前においては、不動産会社との関係性を築き、エリア賃料相場観等の情報収集のみに努めるべきです。むやみやたらに物件を勧められないよう注意してください。

月商の目標は家賃の7~10倍程度が適正ですので、事業計画で設定した目標月商の1/10以内の物件を選ぶようにしましょう。

本ページでは、立地別の特徴や居抜き物件とスケルトン物件についても記載してます。
それぞれに良し悪しがありますので、よくお考えのうえ物件探しの判断材料としてご活用ください。

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開業スケジュール

前準備物件申し込みから引き渡し
約1〜2か月
内装・外装工事期間
約2、3週間〜2か月
工事引き渡し後
約1週間
オープン後
不動産物件探し・内見物件申し込み / 契約締結物件引き渡し※家賃発生
※大方の目安です。大型物件や一からの建設の場合は該当しません。

立地調査

物件探しで、重要なのは「立地」です。
立地は、ターゲットによって適している場所は異なります。
どのくらいの売り上げ規模のお店にするのか、どんなお店にしたいのか(コンセプト)がニーズに合っているか、店前通りの人流について男性・女性・ファミリー比率、年齢層等、考えたコンセプトに合ってるか、そもそもお店の存在する街のカラーがコンセプトやニーズに合っているか、など計画するお店に適合する物件なのかを見極めましょう。
家賃は投資金額が大きく、変更が効きません。安易に安さで選んで集客に失敗したり、好立地の高額な物件を選んで経営を圧迫したりすることがないよう、慎重に選んでください。

立地調査

立地調査は、その物件の「集客力」を調べるために行います。立地は、事業の成功を左右する重要な部分ですので、必ずご自身の足で立地調査や聞き込み調査を行うようにしましょう。

集客力を計るためには、「通行量」を調べることですが、肝心なのは、「ターゲット層」の割合です。
物件のある建物の前を実際に通行している人数や、どういった店に入っているか、どのような看板を見ているかなどの行動調査をします。

昼間と夜間、平日・休日など時間帯や曜日による通行量の違いや、通っている年齢層や性別、天候による変化なども調べるようにしてください。
また、近隣の競合店の集客、営業時間や単価設定なども調べておくと良いでしょう。

立地調査は何度も通うことで、徹底的にリサーチすることができます。策定した事業計画に基づき、売り上げを確保するために【客単価を上げるか】【回転数を上げるか】、どちらの方向に進むかはこの立地調査次第です。

物件は、入店し易い場所か、看板は目につきやすく目立つ場所に設置可能かといこうこともふまえて選んでください。
ただ、当然に入店し易い場所(=路面店)は賃料が高い傾向なので、その分の売り上げ確保が可能ならば問題ないですが、ご自身の事業計画と相談の上、場合によっては地下や空中階の選択肢もあり得ます。

車での来店も見込んでいる場合

物件の駐車場前の車通りを調べます。車がたくさん通るだけでなく、車で入りやすいことも多くのお客様に来てもらうには欠かせない条件です。

大きな道路沿いに飲食店がたくさんある区間は、その区間は車で立ち寄りやすい立地といえます。ただし、中央分離帯のある大きな国道等の幹線道路は、容易に車の出入りが出来ないのはもちろん、分離帯によりエリアが分断されている傾向もあるので、道路自体の形状にも注意が必要です。車通りを重視するならば、中央分離帯のない比較的大きな幹線道路沿いがお勧めです。

商圏調査については
【2.事業計画】市場調査をご覧ください。

競合店

ライバルとなるのは、同業種の店舗だけではありません。
同じ商圏であれば、他業種の飲食店や、コンビニエンスストアであっても競合店となります。

立地別の特徴

繁華街

特徴

  • 電車、バスなどの公共交通機関が充実している
  • スーパーやデパートなど大型の商業施設が集まっている
  • ハイリスク・ハイリターンの立地

メリット

  • 昼夜問わず多くの人が集う
  • 商圏規模が大きい
  • 平日・休日共に集客しやすい
  • ターゲット層が広い
  • 購買人口、昼間人口が多いため外食傾向が高い
    (滞在時間が半日以上あるため1食はすることになり、購買やレジャーといった非日常空間では外食傾向が高くなる)

デメリット

  • 物件取得費、家賃、保証金が高い
  • 人件費が高くなりがち
  • 人気の立地なため、競合となる店が多い

ポイント

  • 事前の競合店リサーチと差別化
  • インパクトのある見た目とおいしさ
  • 興味を引く外観(個性的、店前看板メニューをしずる感で訴求など)
  • 入店しやすい外観(清潔感、店前看板メニューに価格を表示、ガラス張りにして店内の様子がわかるようにするなど)
  • ターゲット層の行動調査

駅前・駅近

特徴

  • 電車を利用するお客様が多いため、アルコールが出やすい
  • 通学通勤での利用者が多い
  • フリー客が取り込める

メリット

  • 人が集まりやすく、集客がしやすい
  • 視認性が高く、宣伝効果も高まる
  • ターゲット層が広い

デメリット

  • 店舗の家賃や敷金・補償金などが高くなる
  • 人件費も高くなりがち

ポイント

  • 競合店のリサーチと差別化
  • インパクトのある見た目とおいしさ
  • 興味を引く外観(個性的、店前看板メニューをしずる感で訴求など)
  • 入店しやすい外観(清潔感、店前看板メニューに価格を表示、ガラス張りにして店内の様子がわかるようにするなど)
  • ターゲット層の行動調査

ビジネス街・オフィス街

特徴

  • 会社員がランチとして利用
  • 短時間で提供できること(早さ)が求められる
  • 財布に優しい価格設定(安さ)が求められる
  • 夕方以降は気軽に飲める使い勝手の良さが必要
  • テイクアウトの需要もある

メリット

  • ランチの需要がずば抜けて高い
  • 夕方以降の飲みの需要も見込める
  • ターミナル駅や近くに居酒屋の多い場所では夜の需要も見込める

デメリット

  • 土日や休日の集客が難しい
  • 行列や提供までの時間がかかると敬遠されがち
  • 競合が多い
  • 駅によっては夜の営業に強くない

ポイント

  • サラリーマンやOLの休憩時間は1時間(特に12時から13時に集中)のため、いかに短時間で回転率をよくするか
  • 昼間と夕方以降で営業の仕方を変え、夕方以降の飲みの需要をうまく取り込む
  • テイクアウト需要への対応

学生街

特徴

  • 安さを重視されやすい
  • ボリューム感があると喜ばれやすい
  • 季節によって商圏人口が変わる

メリット

  • リピートにつながりやすい
  • ピーク時間がばらけやすい

デメリット

  • 同じ形態の競合店が多い(学食という最大の競合あり)
  • 大学の長期休暇中は人が減る
  • 客単価が低くなりがち
  • 騒音(顧客による)が問題になることもある

ポイント

  • ターゲットを学生のみではなく、社会人まで広げた戦略を立てる
  • 学食をチェックし、差別化を図る
  • サークルやゼミでの飲み会などグループでの利用を促す施策を打つ

住宅街

特徴

  • 家族連れが多い傾向がある
  • 土日や休日のほうが集客が増えやすい

メリット

  • 家賃が安い
  • 単身者用の1ルームが多い立地では需要増の可能性あり

デメリット

  • 住宅街の立地は、相対的に外食傾向が低い
  • 大きな集客は難しい

ポイント

  • 地域の行事には積極的に参加する
  • テイクアウトやデリバリーに対応する(ファミリー層が多く見込める場合は、テーブルや座敷、バリアフリーなどに対応する)
  • お子様用のメニューやイスの用意
  • お客様とは地域性を掴み、最適な距離感で接する

商店街

特徴

  • メインターゲットは地元住民や中高年層になりがち
  • 商店会などの店舗同士の横のつながりが強い
  • 良い噂も悪い噂も広がりやすい

メリット

  • 商工会と協力して施策を講じることができる
  • 閉店した店舗が多い場合、賃料が安い
  • シャッター通り化している場合、競合が少ないため、成功したら地元住民から多くの支持を受けることができる

デメリット

  • 想定していたターゲット層と異なる場合がある
    (周辺人口は多くても、実際に商店街を利用する人口や年齢層が想定と異なる場合がある)
  • シャッター通りと化して古い商品街の場合は集客に苦戦しがち
  • 大手ショッピングモールに押されて縮小傾向が高い

ポイント

  • 人通りは多くても、コンセプトのターゲット層と異なる場合があるため、事前のリサーチを怠らない
  • 商店会などに積極的に参加・協力し、付き合いを深める
  • 少し高めの年齢層も取り込めるメニュー設定にする

路面店

特徴

  • 通りに面した1階の店舗なので、通りから直接店内に入ることができる
  • 目に留まりやすい

メリット

  • 集客力が高い
  • 視認性が高く宣伝効果が高い
  • テイクアウト販売もしやすい

デメリット

  • 初期費用が高い
  • 賃料が高く、ランニングコストが大きくなる
  • なかなか物件が出てこない

ポイント

  • 間口は広いほど、入店してもらいやすい
  • 初期費用、ランニングコストが高くなる分、それをまかなうだけの売上・利益を生み出す戦略が必要

ロードサイド

特徴

  • 基本的に自家用車やトラック、オートバイなどで来店する
  • トラック運転手、タクシードライバーなど車を使った仕事の利用者がメインとなる
  • ショッピングセンターに近い生活道路沿いの場合、ファミリー層もターゲットとなる
  • 24時間営業の店舗が多い

メリット

  • ファミリー層も取り込みやすい
  • 郊外に立地することが多いため、激戦区などと比べて家賃や保証金、仲介手数料など費用などが安い
  • 駐車場台数が多く、駐車がしやすい

デメリット

  • 有名チェーン店が競合になりやすい
  • 郊外に位置することが多く、人口密度が低いため開店初期の集客が難しい

ポイント

  • 遠くからでも目立つ看板、視認性の高いデザインにする
    (路上駐車が発生した場合、クレームとなったり、警察から注意されることもあるため、駐車場は広めに)
  • 建物の向きや入口の位置やデザインにも留意する
  • 広い客層を取り込めるメニュー構成
  • 単独客、家族連れどちらにも柔軟に対応できるレイアウト
  • 大手チェーン店との差別化

その他の立地

飲み屋街や居酒屋の近く

お酒のシメとして利用される可能性が高まります。
居酒屋から駅までの通り道にあるのがベストです。
・24時間営業の店舗が多い

裏通りなどの二等立地

物件が見つけやすい、家賃が安いというメリットがあります。費用を抑えられるため、売上目標額も低く設定できます。
しかし、視認性の低さから集客は一筋縄ではいきません。
売上・利益確保には、事前に十分なリサーチをし、常連客や予約客中心の戦略を立てるなど、コンセプトには、より一層高い独自性が求められます。

郊外、丘陵地

車での来店が基本となるため、広めの駐車場が必要です。
店舗規模との駐車場台数に留意してください。
立ち寄ってみたくなるようなコンセプトを打ち立て、客単価でまかなうようにします。

ショップインショップ

百貨店やショッピングモールなどの商業施設内にある独立店舗のことをいいます。
集客力が高い、立地の良さ、広告費が節約できるなどのメリットがあります。
内外装の制約があったり、大型店舗への支払いや加盟金などの料金が発生、集客が見込めなくなった場合は入れ替わるなどがデメリットと考えらえます。

1階~2階の店舗

雑居ビルに出店する場合、できるだけ1階~2階の目につきやすいテナントを選びましょう。路面店であれば視認性が高く、集客率も格段に上がることが見込まれます。

物件探しの方法

探し方

1.WEBサイト

家賃相場観を把握するためには、まずはWEBサイトなどで多くの物件情報を見ておきましょう。
そうすることで、ある程度相場観を養うことができます。相場観を養うことにより、即決が必要な場合の判断の手助けとなります。

例えばエリア毎に家賃のプロット図を作成しますと視覚的に分かりやすいです。その結果例えば駅から遠い場所なのにこのエリアだけ賃料が高い、という傾向があれば、足を運んでそのエリアに何があるのか、ご自身の目で確認することが重要です。その近くに大型の商業施設が存在し、日夜問わず人が集まっている、など何かしらの理由が存在します。

2.出店エリアの不動産会社を訪れる

実際の物件探しでは、WEBサイトで探すと同時に出店エリアの不動産会社に直接出向くようにしましょう。
その際は、貸店舗物件を多く扱っている不動産会社を選ぶこともポイントです。
ネットには出回っていない物件を紹介してもらえる場合も少なくありません。
また、不動産会社の担当者から、物件探しに有益な情報を得られたり、アドバイスをもらえる可能性もあります。
なお、不動産会社と対峙する際はこちらも真剣に探してます!とアピールすることも重要です。冷やかし半分のお客さんだなと不動産会社の担当者に判断されれば、そういう扱いを受けます。

3.出店エリアを歩いて回る

出店希望エリアを歩いてみることは、競合店のチェックや、生活している人のライフスタイルも確認できます。
そして、テナントを募集している空き物件にも出会える可能性もあります。必ず地図に落とし込むなど、履歴を残すようにしましょう。

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内見

物件探しを始めて、気になる物件がでてきた場合は内見予約をして「内見」をします。気に入った場合は2回目の内見の際に内装工事業者に同行してもらい現地調査をしてもらいます。

内見

内見では、残された設備などを細かくチェックすることが大切です。
一般的に、内装工事よりも費用がかかるのが、インフラの工事です。
契約後に、予定外の出費が増えるということがないよう、以下の点をチェックするようにしておきましょう。

チェック内容

  • 実際の譲渡対象物がどれか(前オーナーの私物が残っている場合もあります)
  • リース品の有無(リース品が残される場合、リース残債を引き継がないといけない可能性があります)
  • 譲渡の対象物厨房設備などが正常に使えるかの動作確認
  • ガスや電気の容量(足りない場合は希望する機器が設置できなかったり、別途工事が必要となります)
  • 排気・排水の立ち上がりの位置(排気・排水の位置によってレイアウトに制約がかかります)

内装工事業者による現調

内見の際には、内装工事業者に同席してもらい現調をし、見積もりを出してもらいましょう。
見積もりを知ることによって、出店コストを把握することができます。
物件取得費、内外装工事費用、必要な機器取得費用を確認したうえで、事業計画で立てた予算内の物件なのかどうかを判断しましょう。

内装会社からのワンポイントアドバイス

カスタムアート様

物件探しの時には既存設備(電気/ガス/水回りなど)にお気を付け下さい。
物件をお探しの際、家賃・立地・広さ・店内配置を気にされるお客様は多いと思います。
その点を真っ先に確認するのは私たちも同様です。
それに加えて私たちは物件に備わっている既存設備の能力や容量なども必ずチェックします。
意外と既存設備の能力を見落としていたり、ちゃんと把握出来ていないまま物件を借りてしまったりするお客様がいらっしゃいます。
その結果、行いたい事業内容と物件の設備が釣り合わず後々余計な費用や工期がかかってしまうケースは多々ございます。
最悪物件を変えることになってしまったという方も実際にいらっしゃいました。
そのため、物件の設備能力が伴っているか賃貸契約前に必ずご確認下さい。

コンサルタントからのワンポイントアドバイス

DEF様

物件探しのポイントは、ずばり「完璧を求めすぎない」ことです。
東京駅近くで30坪賃料5万円はあり得ないため、自分の中でなにが譲れないかを決めましょう。
駅近や路面店、駐車場の有無、坪家賃の上限、スケルトンか居抜きなどたくさん選択肢がありますが絞りましょう。
また、繁盛店における家賃の売上比率は10%以下です。したがって3日間で家賃分の売上を上げる事ができるのかを考えて物件選びを考えましょう。

居抜きとスケルトン

居抜き物件

「居抜き物件」とは、前テナントの設備や内装が残っている物件のことです。
前のお店で使っていた物は無償もしくは有償で譲渡されます。
スケルトン物件よりも、市場に多く出回っています。

居抜き物件のメリット

改装費・設備費の大幅なコストダウンが可能
前店舗が残していった設備(壁、天井、パテーションなどの造作、テーブル、椅子などの什器、空調設備、厨房機器など)を利用できます。
前店舗が同業種の店で、厨房設備も状態が良ければそのまま使用することができるため、改装費・設備費の大幅なコストダウンができ、できるだけ多くの自己資金を手元に残して開店することができます。

工事期間・開店までの期間の短縮
設備の状態が良くそのまま使用ができるのであれば、工事期間も短くできます。
物件引渡後からは家賃が発生するため、開店までの期間を短くできることは大きなメリットでしょう。

前店舗のイメージの引継ぎ(プラスに働く場合)
前テナントが評判の良い店舗であった場合、前テナント時の顧客の取り込みも可能になります。

市場には多くの居抜き物件がある
賃貸借契約上は、原状回復(スケルトン戻し)義務を負うのが一般的ですが、 貸主の了解が取れれば居抜きで退去が可能となります。
前テナントにとっても解体に要する金額を安く抑えられることになるため好都合です。そのため、市場には多くの居抜き物件が存在します。

居抜き物件のデメリット

設備・内装の柔軟性が低い
すでに決まっているレイアウトで店舗づくりをする必要があります。
間仕切りを変更したり内装や設備レイアウトを大幅に変更する際は撤去費用もかかり、場合によってはスケルトン物件よりも費用がかさんでしまいます。

残された設備が使えない可能性がある
経年劣化などで、前の設備が使えないことがあります。
契約後に設備不良が発覚した場合、修理メンテナンスまたは撤去にかかる費用はすべて自己負担となります。

立地・集客・賃料などで極端にリスクがある場合がある
前の店舗が閉店した理由が営業不振の場合は、立地・集客・賃料などで極端に不利な理由があることもあります。

前店舗のイメージ(マイナスの場合)
前店舗のイメージが付いていており、マイナスに作用する場合があります。

居抜き物件の注意点

前テナントのイメージの払拭がしづらい
内装もそのまま使用できる状態の場合がありますが、内装や業種が前店舗と同じままだと「前店舗から変わっていない」「リニューアルしただけ」という印象を持たれ、マイナスに影響してしまう場合が考えられます。
面積の広い部分を変更することで、視覚的に「新しいお店」と認識してもらえます。そのため、天井・壁・床などのデザインだけでも変更するほうがよいでしょう。

前テナントが閉店した理由は必ず確認
居抜き物件の場合はどうして前オーナーが辞めたのか理由をしっかりと探ることも重要です。
前テナントの閉店理由が経営悪化だった場合、同じ業態での出店は注意が必要です。同業態での出店の場合は、失敗するリスクが高いということがいえます。そのため、必ず収益が得られるような戦略を立てることが重要です。
万が一、閉店理由が近隣住民とのトラブルなどのマイナス要因であった場合、その悪いイメージまで引き継いでしまうことも考えられます。
反対に同業態で評判の良い店であった場合は、前店舗の顧客を取り込むことができるなどのメリットとなり得ます。

大幅なレイアウトの変更には注意
大幅にレイアウトを変更するとなると、一度全てを壊してやり直すことになり、その場合はスケルトンより費用がかさんでしまいます。
居抜き物件を探す場合は、なるべく理想に近いレイアウトの物件を探しましょう。

残された設備の確認
残っている設備が古かったり壊れていたりして使えない場合やそこまで必要のない設備である場合もあります。
契約後に設備不良が発覚した場合、修理メンテナンスや廃棄費用はすべてご自身が負担することになります。

造作譲渡目録を作成し、譲渡実施の際には前所有者立ち合いの元、空調や厨房機器などの設備の動作確認をしておくとよいでしょう。

異業種の居抜き物件
元が異業種の物件であっても、店舗規模やレイアウトが希望に合致している場合、改装費用を抑えられる可能性があります。
ただし、必要とするガス容量と排気が大きく違いますので注意しておきましょう。
足りない分は大掛かりな工事をせずプロパンガスで補うことができます。
排気はダクトの増設と有圧扇などの力の強いものをつけることは必須となります。

造作譲渡費用

造作譲渡費用とは、居抜き物件の店舗にある内装や設備などのいわゆる造作物を、新しい借主が買い取る際の費用です。
造作譲渡費用とは、設備などの造作物の費用や使用年数ではなく、立地や集客力といった物件の価値によって設定されます。

居抜き物件の場合、造作譲渡費用がかかる場合が多いのでその費用もしっかりと確認しましょう。

各種設備を新品で購入する費用に比べれば安く抑えることができる場合が多いですが、例外もあるので注意が必要です。
古くて使い物にならない設備の物件でも、立地が良ければ造作譲渡料が高額になる場合も考えられます。
その場合、使い物にならない設備を買い取ったうえ、処分して買い替えるという費用が余分にかかってしまいます。
反対に、持ち主が高く売ることよりも早く売ることを優先している場合など、低めの価格、もしくは無償譲渡となる場合などもあります。

造作譲渡料は、造作譲渡料一式で見積もりが出るので、内見で確認した譲渡対象物の内容と金額が見合わない場合は、値下げ交渉も可能です。
ただし、良い条件の物件であればライバルがいる可能性もあるので、あまり無理な交渉は避けた方が無難でしょう。
また、造作譲渡に関しては、売主と買主の間の契約になるので、大家さんや不動産会社ではなく、売主(前テナントオーナーなど)との交渉になります。

安さだけで判断するのではなく、「相場」や「物件の有益性」もよく鑑みるようにしましょう。

スケルトン物件

スケルトン物件とは、原状回復工事済みで前店舗の設備や内装がすべて撤去されている物件のことです。
建物の躯体がむき出しで、コンクリートの打ちっぱなしの状態となっています。

スケルトン物件のメリット

設備レイアウト・内装デザインの自由度が高い
設備レイアウトや内装デザインを自由にでき、理想のお店作りができる点が一番のメリットといえるでしょう。
明確なコンセプトがあり、オリジナリティをしっかり出したい場合には向いています。
物件の形状によって、スタッフやお客様の動線を無駄のないように設計でき、集客導線を考えた店構えを講じることもできます。

新しい需要を獲得できる可能性がある
居抜き物件のように、前店舗のイメージを引き継ぐこともなく、集客が可能です。
また、飲食店ではなかったところに作る場合もあり、新しい需要を獲得できる可能性があります。

居抜き物件よりも低コストになる場合もある
ベースの雰囲気を活かした空間づくりを行う場合、居抜き物件よりもコストを抑えられる場合もあります。

設備の管理がしやすい
設備機器を自身で用意しているため、機器や設備に関するする情報が全て手元にあります。
そのため、メンテナンス時期の把握や、機器のトラブル時にも連絡先や保証期間の把握ができており管理がしやすいです。

物件情報が豊富
物件情報が豊富なため、選択肢が広がり物件選びがしやすくなります。

スケルトン物件のデメリット

初期費用が高くなる
居抜き物件と比べると、ライフライン(水道・ガス・電気)やグリストラップ、ダクト等の設備費や内外装工事費のコストが高くなりがちです。
また、排煙設備のダクトや、廃油を処理するグリーストラップ、また大きな厨房機器を入れるための電気関係の工事などインフラの整備が整っていない場合は工事が必要になります。工事費用は賃借側の負担となり、大きな費用がかかります。

工事期間に時間を要する
内装工事だけではなく、電気工事や空調工事から始めなければならない場合が多く、居抜き物件と比べると、工事期間が長くなりオープンまでに時間がかかります。
物件引渡後から賃料は発生するため、空家賃を払う期間も長くなってしまいます。

また、スケルトン物件は撤退時の原状復帰が義務付けられているケースが一般的なため、そのためのコストについても考えておかなければなりません。

店舗の周知に時間がかかる
店舗を認知してもらうためには時間がかかります。
新規オープンで短期間で集客するためには、ある程度の費用をかけて、オープンを告知するWeb広告、折込チラシなどの販促を行う必要があります。

凝った内装の場合、原状回復費用が余計にかかる
仮に閉店、撤退の場合は、賃借契約上は原状回復(スケルトン戻し)が一般的です。費用をかけて凝った内装にしてしまうと、それを取り壊してスケルトンにする場合も、造作した時と同じように余計に費用がかかってしまいます。

半スケルトン・半居抜き・一部居抜き物件

造作施設は残っているが、イステーブルは撤去されている状態や、トイレ・吸換気は残っているが他はスケルトン状態など
完全なスケルトンではなく一部の内装設備が残っている状態の物件のことを「半スケルトン」「半居抜き」「一部居抜き」などと表現されることがあります。

この半居抜き物件に穴場の物件が隠れてることがあります。

デメリットは初期費用が高くなることと、設備が万全ではない場合があることです。
また、グリーストラップがなかったり、換気扇のダクトが近くの住宅のほうを向いていたりした場合、改めて工事が必要となりますので、居抜きでは設備面をしっかり確認するようにしましょう。

物件取得費

物件取得費

初回家賃、保証金、仲介手数料など以下のような費用が必要です。
地域や地価にもよるため、開店予定のエリアの相場を確認するようにしてください。

物件取得費の目安

  1. 初月分の賃料
  2. 初月分の管理費
  3. 敷金/保証金: 家賃3~10ヶ月分
  4. 礼金: 家賃0~2か月分
  5. 仲介手数料: 家賃1か月
  6. その他: 造作譲渡代(居抜きの場合)、家賃保証委託料(その他)

※1~5が必要です。6は場合によります。

物件取得費用とは、店舗物件を契約する際に必要な費用のことです。この物件取得費用の内、最も金額が大きいのが、「保証金」です。
敷金と言う場合もありますが、店舗保証金は、月額家賃の3~10ヶ月程度です。
保証金10ヶ月・償却2ヶ月という場合は、解約時に8ヶ月分の保証金が返金されるということです。

その他、不動産屋への仲介手数料、礼金、造作譲渡代(居抜き物件の場合の設備代など)、前家賃などが必要となります。
物件によっては、さらに保証会社への加入が必須というものもあります。この場合は、加入時に家賃の0.5~1ヶ月分を保証会社に支払います。

家賃

売上の10%以内が目安と言われています。
仮に家賃が20万円であれば、目標月商は200万程、年商目標は2400万円程となります。
賃貸物件を借りる場合、毎月の家賃は大きなコストになります。家賃を支払えずに閉店する店舗も多いので、特に店舗の立地は慎重に選ぶべきでしょう。
重要なポイントは、長期間家賃を払っても負担にならないかどうかです。家賃は固定費であり、経営が悪化しても変動しません。1カ月だけの家賃で計算するのではなく、1年を通した固定費として管理する必要があります。出店スケジュールを検討する際に予想する売上金は、最も高い時、平均、下がった時と3つのパターンを算出し、 1年間を通してしっかりスケジュールを練りましょう。

簡単な売上計画を立ててから、毎月の採算シミュレーションをした上で、適正な家賃を見極めることが大切です。
一般的に飲食店経営の指標として食材原価・人件費・家賃の合計で売り上げに対し70%以下に抑えることが1つの目標となります。これを上回るとご自身の人件費を削るなどの対応が必要となりかねません。

不動産契約のスケジュール

手付契約

手付契約は、賃貸借契約を締結しますが、
特約条項に
借主が貸主に手付金を○○円支払う
〇月〇日までに借主が残金を支払えない場合は、契約は解約となり手付金は没収
貸主側の都合で契約を解約する場合は、手付金の倍額を借主に支払う

という内容を入れてもらうように交渉するようにしましょう。

この内容は、融資がないと開業できない場合、気に入った物件をいち早く押さえたいときに有効です。

定期借家契約

賃貸借契約について、「借地借家法」では普通借家契約と定期借家契約の2つの契約について規定しています。普通借家契約は、契約期間を2年~3年位で取り決めて期間満了になると契約更新をして引き続き契約を継続することができます。

定期借家契約は、契約期間を5年~10年位で取り決めて期間満了で契約は終了します。貸主と借主で合意をした場合は、新規に契約をして引き続き借りることができます。この場合、新たな定期借家契約になります。逆に新契約が締結できない場合は、契約書の定めによりお店の営業は終了となり、どんなに繁盛していても退店することになります。

不動産に関するサービス

店舗探しなら、わたしたちテンポスにお任せください。
路面・ロードサイドからビルトイン、ショッピングセンター物件まで幅広く物件をお預かりしております。

物件情報はローコストとなる居抜き物件から駅ビルやショピングセンターなどワンランク上の物件情報、さらに市場には出回りにくい極秘物件までご案内しております。

店舗運営のための様々な相談もお受けしておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

損害保険
お店選びの際に、つい見落としがちなのが損害保険です。飲食店と言えばまず火災のことを考えてしまいますが、そのほかにも「ガス爆発を起こし近隣に被害を与えた」「看板が落下し、通行人にケガをさせてしまった」「トイレ詰りで階下に損害を与えてしまった」などの思わぬ事故が発生する危険とつねに隣り合わせなのです。

同じように見える保険でもお客さまの状況によって必要・最適な保険商品は変わってきます。さまざまな可能性を視野に入れて、本当に必要な保険に加入することが大切です。

損害保険・生命保険のプロ代理店「JIC」は、企業・個人にかかわらず、様々なマネジメントからアフターサービスにいたるまで、一貫したサポート体制を確立しています。万一の保険事故発生時には、顧客保全はもちろん、保険会社・顧客・事故クレーム先との解決にお客さまが安心していただけるよう迅速かつ丁寧に全力で対応させていただきます。