「あの吉野家がラーメン事業を始める？」とニュースや新聞で拝見したという方も多いのではないでしょうか。
2025年5月1に「吉野家」を運営する吉野家ホールディングスが、ラーメン事業の拡大を宣言しました。
同社によると、ラーメン事業の売上高を今後5年で5倍に引き上げるという報告がされています。
「牛丼の吉野家がラーメン？ 本業の牛丼にもっと力を入れてほしい！」「牛丼屋がラーメン事業なんてうまくいくはずがない」と思う方もいるでしょう。
実際に、今後の事業転換として正しいのでしょうか。
今回は、吉野家がラーメン事業で世界一を目指す！？新戦略の狙いについて紹介していきます。
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目次
吉野家の歴史
吉野家は、日本を代表する牛丼チェーン店の一つであり、その歴史は明治時代にまでさかのぼります。
創業は1899年（明治32年）、東京・日本橋の魚市場（現在の築地市場の前身）にて、創業者・松田栄吉によって開業されました。
忙しい市場関係者に手早く安価で提供できる「牛丼」が注目され、吉野家は次第に人気を集めていったのです。
関東大震災や、戦災などの困難を乗り越えながらも、吉野家は戦後復興とともに再び発展を遂げ、1968年には初のフランチャイズ店舗を東京都・中野区にオープンを果たします。
その後、全国展開が本格化し、手頃な価格とスピーディーなサービスで「早い・安い・うまい」をキャッチフレーズに多くのファンを獲得しました。
2000年代に入ると、BSE（牛海綿状脳症）問題によりアメリカ産牛肉の輸入が停止され、吉野家も牛丼の販売を一時中止するという危機に直面しました。
しかし、その間も豚丼や新メニューで営業を続け、2006年には牛丼販売を再開します。
現在では国内外に多数の店舗を展開しており、アメリカ、中国、東南アジアなどにも進出しています。
吉野家は、単なる牛丼チェーンにとどまらず、日本の外食文化を象徴する存在として、今もなお進化を続けているのです。
吉野家がラーメン事業で世界一を目指す！？
吉野家ホールディングスは、牛丼チェーンの枠を超え、ラーメン事業で世界一を目指すという大胆な戦略を打ち出しました。
2025年5月に発表された中期経営計画では、2029年度までにラーメン事業の売上高を現在の5倍となる400億円に拡大し、2034年度にはラーメン提供食数で世界No.1を達成することを目標としています。
（出典元：2025.5.20日経新聞より）
この戦略の背景には、牛丼事業への依存からの脱却と、収益の多角化を図る狙いがあります。
現在、吉野家ホールディングスの売上高の約67%を牛丼事業が占めていますが、2029年度にはこの比率を61%に下げ、ラーメン事業の比率を13%に引き上げることを目指しています。
吉野家ホールディングスは、ラーメン事業の拡大に向けて積極的なM&A（合併・買収）を進めています。
2016年には「せたが屋」を、2019年には「ばり嗎（ばりうま）」を展開するウィズリンクを買収し、2024年にはラーメン店向けに麺やスープを製造する宝産業を子会社化しました。
さらに、2024年12月には関西を中心にラーメン店「キラメキノトリ」を展開するキラメキノ未来株式会社を子会社化し、ラーメン事業の強化を図っています。
これらの取り組みにより、吉野家ホールディングスはラーメン業態の店舗数を現在の130店舗から、2029年度までに500店舗へと約4倍に増やす計画です。
また、ラーメン事業は牛丼よりも高単価であり、海外展開もしやすいことから、収益性の向上が期待されています。
吉野家ホールディングスのラーメン事業への本格的な参入は、外食業界における新たな挑戦として注目されています。
今後、同社がどのようにしてラーメン提供食数世界一を達成するのか、その動向が注目されるでしょう。
新戦略の狙いとは？
吉野家ホールディングスが打ち出した「ラーメン事業で世界一を目指す」という新戦略には、明確な狙いがあります。
ここでは、吉野家ホールディングスが打ち出した「ラーメン事業で世界一を目指す」という新戦略の狙いについて紹介していきます。
主に以下のことがあげられます。
収益源の多角化と牛丼依存からの脱却
吉野家は長年にわたり、牛丼という単一業態に強く依存してきました。現在でも、売上の約67%が牛丼関連事業で構成されており、原材料価格の高騰やお客様の好み変化などにより業績が大きく左右される状況にあります。
ラーメンという新たな業態を主力の一つに育てることで、収益構造の安定化を図りたいという狙いが背景にあります。
2029年度にはラーメンの売上比率を13%まで引き上げる目標が掲げられており、全体のバランスを整える意図がうかがえます。
ラーメン市場の成長性と高単価ビジネス
ラーメンは、日本国内外で人気が高く、特に海外市場では「ジャパニーズ・ヌードル」として広く認知され、一定のブランド価値を持っています。
さらに、牛丼に比べて平均客単価が高く、原価率のコントロールがしやすいことから、収益性の面でも魅力的な業態です。
ラーメンは、カスタマイズの自由度が高く、店舗ごとの個性や地域性も出せるため、他業態との差別化も可能です。
M&Aによる即時拡大とノウハウの獲得
吉野家ホールディングスは、すでに複数のラーメンブランドを傘下に持ち、M&Aを通じて事業基盤を拡大しています。
2016年に「せたが屋」、2019年に「ばり嗎」、2024年には「宝産業」、さらに2024年末には関西で人気の「キラメキノトリ」を展開する企業を買収しました。
これにより、多様なラーメンスタイルや製造・物流のノウハウ、人材資源を一気に獲得し、短期間で事業を本格化させる足がかりを築いているのです。
海外展開の推進と「世界一」ブランドの構築
吉野家は、すでにアジアやアメリカを中心に海外店舗を展開していますが、牛丼の受容には文化的な壁もあるのが現状です。
その点、ラーメンは海外でも食文化として受け入れられやすく、現地化も比較的容易です。
「ラーメン提供食数で世界一」という明確な目標を掲げることで、ブランドイメージの刷新とともに、海外市場での存在感を高める狙いがあります。
海外フランチャイズの拡大により、グローバルな外食企業としての地位をさらに確固たるものにすることが期待されています。
（これらの戦略は、テンポスフードメディア独自の視点で分析し作成しました。）
このように、吉野家のラーメン事業強化は単なる新規業態開拓ではなく、企業全体の将来を見据えた戦略的な展開と言えます。
今後の進捗と成果は、外食業界の枠を超えて注目を集めることになるでしょう。
飲食店で使う調理器具や食器
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ラーメン丼 明珠
まとめ
今回は、吉野家がラーメン事業で世界一を目指す！？新戦略の狙いについて紹介してきました。
吉野家ホールディングスは、牛丼チェーンの枠を超え、ラーメン事業で世界一を目指すという大胆な戦略を打ち出しました。
新戦略の狙いとして、収益源の多角化と牛丼依存からの脱却やラーメン市場の成長性と高単価ビジネスなどがあげられます。
今後、吉野家が更なる成長ができるかどうか注目が集まります。
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