飲食店にとって、冷蔵庫は食材を保管する場所であると同時に、利益を守る“金庫”でもあります。
しかし実際には、冷蔵庫の奥で使われないまま賞味期限が切れ、気づかないうちに廃棄されている食材が多いのではないでしょうか。
「冷蔵庫を開けるたびに、現金を捨てているようなもの」と言われるほど、廃棄ロスは経営を直撃します。
本記事では、廃棄ロスを数字で見える化する方法、冷蔵庫の棚割り改善によるロス削減の成功事例、そして「在庫は現金」という意識をスタッフに浸透させる実践法をご紹介します。

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目次
廃棄ロスを“感覚”ではなく“数字”で見る方法

廃棄ロスは「なんとなく多い気がする」「最近もったいない」といった感覚に頼っていると、改善の糸口をつかみにくいものです。
ロスを減らすには、まず現状を数字で“見える化”することが不可欠です。
以下のようなステップで取り組むと効果的です。
廃棄記録を残す仕組みをつくる
最初のステップは「記録」です。どの食材を、いつ、どのくらい廃棄したのかを残しましょう。
ノートに簡単にメモする
食材名・数量・廃棄理由を書くだけでもOKです。
エクセルやスプレッドシートで管理
日付ごとに集計しやすくなります。
専用アプリを利用
スマートフォンで撮影して登録するだけで廃棄記録が残るものもあります。
「面倒くさい」と感じる仕組みは続きません。
店舗の規模に合った方法を選ぶことが大切です。
廃棄率を算出する
記録した廃棄データを活用して「廃棄率」を算出します。
廃棄率は、以下の計算式で求められます。
廃棄率(%)= 廃棄金額 ÷ 仕入総額 × 100
たとえば1か月の仕入額が50万円で、そのうち廃棄が3万円あった場合
3万円 ÷ 50万円 × 100 = 6%
このように数値化することで、どのくらいのロスが出ているのかを具体的に把握できます。
目安となる廃棄率を知る
一般的に、廃棄率が5%を超えると改善が必要といわれます。
◎1日あたり1,000円の廃棄 → 1か月で約3万円、年間で約36万円
◎1日あたり3,000円の廃棄 → 1年で100万円を超える
数字に置き換えると、いかに廃棄が経営にダメージを与えるかが一目でわかります。
廃棄の原因を分類する
数字を取ったら、次は「なぜ廃棄になったのか」を考えます。
発注ミス
必要以上に仕入れてしまった
保管ミス
冷蔵庫内で劣化や期限切れ
調理ミス
仕込みすぎ、作り置きの過多
客数予測の誤り
来客数を読み違えた
原因を分類することで、次の発注や仕込みにすぐに活かせます。
数字をスタッフと共有する
最後に、出した廃棄率や金額をスタッフ全員に共有します。
「今月の廃棄は2万円=ランチ20人分」など、具体的に換算すると実感がわきやすくなります。
数字を共有することで、経営者だけでなくスタッフ全員が「ロス削減はお店の利益につながる」と理解できるのです。
▶ このように、廃棄ロスを感覚ではなく数字で把握することが、改善の第一歩になります。
冷蔵庫の棚割りがロスを左右する

冷蔵庫の中の食材配置、いわゆる「棚割り」を工夫することで、廃棄ロスは大きく減らせます。
逆に、整理されていない冷蔵庫は、使える食材を眠らせ、気づかないうちに廃棄物を増やしてしまいます。
ここでは、実際に効果のある棚割りの工夫を詳しくご紹介します。
使用頻度の高い食材を「目線の高さ」に置く
毎日のように使う食材を、取り出しやすい高さに配置することは基本です。
調理のスピードが上がり、探す時間が減ります。
スタッフ全員の視界に入りやすく、存在を忘れにくくなります。
「いつも同じ位置にある」状態をつくることで、使い忘れによるロスを防ぎます。
消費期限の短い食材を「手前」に置く
冷蔵庫管理の鉄則は、FIFO(First In, First Out=先入れ先出し)です。
先に入れた食材を手前に置き、新しい食材は奥に収納します。
誰が見ても「次に使うべき食材」が一目でわかるようになります。
これにより、古い食材を奥に追いやって期限切れにしてしまう事態を防げます。
食材をカテゴリーごとに分ける
冷蔵庫の中を「ゾーニング」することで、整理と探しやすさが同時に実現します。
肉類 → 汚染リスクがあるため最下段へ
魚介類 → 肉類と分けて清潔に管理
野菜 → 専用ケースで鮮度を保つ
調味料や加工品 → 上段やドアポケットへ
「決まった場所に戻す」ルールをつくると、誰が作業しても冷蔵庫が乱れません。
ラベルと日付シールで“見える化”する
どの食材がいつ仕入れられたか、いつまで使えるかを誰でも判断できるようにしましょう。
・日付シールを貼って「仕込み日」「消費期限」を明確にする
・色分けラベルで「仕込みから◯日経過」をひと目で把握できるようにする
この工夫を徹底すると、「あれはもう古いのでは?」と迷う時間が減り、判断がスピーディーになります。
冷蔵庫内を“詰め込みすぎない”
食材をぎゅうぎゅうに詰め込むと、奥の食材が見えなくなり、使い忘れが増えます。
さらに、冷気の循環が悪くなり劣化スピードも早まります。
・適度に空間を確保して「見える収納」を心がける
・棚板の高さを調整して、使いやすいスペースを作る
「隙間を残す」ことが、結果的に食材を長持ちさせ、廃棄を防ぐのです。
ルールをスタッフ全員で共有する
棚割りは一人が工夫しても効果が長続きしません。
・棚割りルールを明文化して掲示する
・新人教育の段階で「冷蔵庫の使い方」を必ず教える
・定期的に整理・清掃の時間を設ける
全員が同じルールで動くことで、冷蔵庫は常に「利益を守る状態」に保てます。
▶ このように、冷蔵庫の棚割りは単なる整理整頓ではなく、経営を支える「ロス削減の仕組み」になります。
成功事例 ― 棚割り改善でロス率が半減

冷蔵庫の棚割り改善は、小さな工夫で大きな効果を生みます。
ここでは、実際に棚割りを見直すことでロス率を大きく下げた店舗の事例をご紹介します。
A店 ― 冷蔵庫を「見える化」で月3万円のロス削減
個人経営のカフェを営むA店では、仕込みの食材が冷蔵庫の奥に眠り、気づかないうちに消費期限を迎えて廃棄することが多くありました。
そこで、スタッフ全員で冷蔵庫の中を整理し、以下のルールを導入しました。
・食材をジャンルごとに配置
・ラベルシールで仕入れ日と消費期限を明記
・毎日閉店後に「余りチェックリスト」を確認
この取り組みを始めたところ、月に約3万円の廃棄ロスが削減できました。
数字が見えるようになったことで、スタッフも「冷蔵庫の中が売上に直結する」と実感し、日常業務として定着しました。
B店 ― 廃棄率7%から3%へ、年間50万円の利益改善
郊外で居酒屋を経営するB店では、月ごとの廃棄率が平均7%に達していました。
原因を調べると、
・食材を奥に押し込んでしまう習慣
・在庫の重複仕入れ
・消費期限切れの見落とし
がロスの主な要因でした。
改善策として、以下を徹底しました。
・「使用期限の短いものは必ず手前に置く」FIFOルール
・冷蔵庫の中にエリアマップを掲示して配置を固定化
・スタッフ全員で週1回の在庫チェックを実施
これにより、半年後には廃棄率が7%から3%へ改善。
年間換算で約50万円の利益増加につながりました。
成功のポイント ― スタッフ全員で取り組むこと
両店舗に共通していたのは、経営者一人が努力するのではなく、スタッフ全員が同じルールで冷蔵庫を管理したことです。
・数字で「効果」を共有する
・作業をシンプルにして習慣化する
・成果をスタッフに還元する
この3つを意識したことで、取り組みが一時的なものではなく、継続的な改善につながりました。
▶ このような成功事例は、規模の大小にかかわらず応用できます。
棚割りの工夫はすぐに始められ、翌月から効果を実感できる実践的な改善策なのです。
「在庫は現金」意識をスタッフに浸透させる方法
在庫管理を経営者だけが意識していても、現場の行動が変わらなければロス削減は進みません。
大切なのは、スタッフ一人ひとりが「在庫はお金そのもの」という感覚を持つことです。
そのために効果的な方法をいくつかご紹介します。
廃棄金額を“現金換算”で共有する
「今月の廃棄は2万円」では、スタッフには実感がわきにくいものです。
そこで、廃棄額を現金や売上に置き換えて伝える工夫をします。
例
「今月の廃棄=ランチ30食分」
「廃棄3万円=時給1,000円のスタッフ30時間分」
こうして数字を具体的なイメージに変えると、スタッフは廃棄の大きさを肌で感じやすくなります。
売上ではなく“粗利”で伝える
売上ではなく、利益(粗利)ベースで伝えることも重要です。
例えば、仕入れに1,000円かけた食材を廃棄した場合、それを取り戻すには売上で3,000円〜4,000円が必要になることがあります。
「1,000円の廃棄=売上3,000円分が消えた」と伝えると、数字のインパクトが強まり、廃棄削減の重要性を実感してもらえます。
定期的に“見える化”してミーティングで共有する
廃棄金額や廃棄率を毎月まとめ、スタッフミーティングで共有する習慣をつけましょう。
・冷蔵庫の在庫写真を見せながら「この食材が残っていた」など具体例を挙げる
・廃棄の原因をみんなで考える
・改善策をスタッフの声から拾う
ただ注意点として、責める場にしないことが大切です。
改善に前向きになれるよう「次はどうするか」に焦点を当てて話すことが効果的です。
仕組み化で意識を日常業務に落とし込む
意識改革を続けるには「仕組み化」が欠かせません。
・仕込みや開店準備時に在庫チェックをルーティン化する
・廃棄が出たら必ず記録する仕組みを設ける
・棚割りルールをマニュアル化して新人教育に組み込む
日常業務の一部に組み込むことで、特別な意識をしなくても「在庫=現金」という考え方が自然に根づきます。
成果をスタッフに還元する
ロス削減で得られた利益をスタッフに還元する仕組みをつくると、さらにモチベーションが高まります。
・廃棄削減分を一部スタッフ還元(報奨金・食事会など)
・「今月はロス削減に成功したから新しい機材を購入できた」と具体的に伝える
努力が「お店の利益」だけでなく「自分たちの働きやすさや楽しさ」にもつながるとわかれば、廃棄削減は継続されやすくなります。
まとめ
「在庫は現金」という意識をスタッフ全員が持つことは、単なるスローガンではなく経営改善の第一歩です。
数字を現実的に伝え、日常業務に仕組み化し、成果を共有することで、現場に意識が浸透していきます。
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まとめ ― 冷蔵庫管理は“すぐに利益が出る投資”
冷蔵庫管理はコスト削減の最短ルートです
飲食店経営において、冷蔵庫の中は「利益の源泉」といっても過言ではありません。
棚割りを見直すだけで廃棄ロスが減り、仕入れの精度も上がります。
特別な投資をしなくても、冷蔵庫管理の改善はすぐに利益につながるのです。
小さな改善が即効性のある成果を生みます
たとえば、仕入れた食材の定位置を決める、期限が近い商品を目立つ位置に置くといった小さな工夫でも、結果として廃棄率は大きく下がります。
数%のロス削減が、そのまま利益率改善につながるため「効果の見える改革」といえるでしょう。
スタッフ全員で取り組むから成果が持続します
冷蔵庫管理は店長やオーナーだけでなく、スタッフ全員が関わる日常業務です。
ルールをシンプルにし、習慣化させることで継続的な成果を出すことができます。
結果として「在庫を守る=利益を守る」という意識がチーム全体に浸透します。
冷蔵庫は経営のバロメーターです
冷蔵庫を開けた瞬間に整理整頓されているかどうかは、そのお店の経営状態を映す鏡でもあります。
乱雑であればロスやムダが多い可能性が高く、整然としていれば利益管理が徹底されている証拠です。
▶ 冷蔵庫管理は「コスト削減の地味な作業」ではなく、「即効性のある投資」です。
日々のチェックと改善を続けることで、店舗の利益体質を強化する大きな一歩となります。
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