五感に訴える!飲食店の空間を演出するうえで抑えるべきポイント

経営ノウハウ

『視覚』、『聴覚』、『触覚』、『味覚』、『嗅覚』・・・五感。

五感に訴えるというと大げさに聞こえますが、今回は五感それぞれにわけて飲食店の空間演出について考えていきたいと思います。

 

視覚に訴える

五感のなかで一番情報量が多いのが視覚ではないでしょうか。調べでは人間の五感による情報判断のなかで視覚が8割以上といわれています。(実際にはそれを全て脳にまで情報として伝達しているかどうかは別のお話ですが)
ここでは目から入る視覚情報の話です。

外装で訴える

通常、最初にお客さまの視覚に入るのが看板や店舗の外装です。
積極的にお店の売りをアピールしていきましょう。

見せたい・アピールしたい

まずはお客様に注意を向けてもらうため、選んでもらうために集中します。
『何を提供している店なのか?』『おすすめメニューは何なのか?』『今は営業しているのか?』・・・等をシンプルに伝える必要があります。

看板は遠くからお店がそこにあって何を提供しているのかを認識してもらうために設置します。
周辺に立てるのぼりなどもこれと同じ役目です。のぼりは同じ種類や同系色を複数本設置すると効果があります。
またシンプルに営業していることだけを伝えたりできます。(暖簾だけでは正面方向だけしかアピールできません)

のぼり『居酒屋』
のぼり『ラーメン』
のぼり『営業中』

店舗入り口では店内の雰囲気を外に伝えて中への入りやすさをアピールします。
店内の雰囲気がわからないと一見ではなかなか入りづらいものです。

ガラスの開口を大きく採ったり、出入口を開け放ったり、場合によっては店内の様子がわかる写真を設置したりして店内の雰囲気を伝えます。

見せたくない・隠したい

逆に店外で見せたくないところとはどういうところでしょうか?

・余分な情報

街を歩いていてガラス面や壁全部にこれでもかとメニューを貼っているお店がありますが、本当にお客様に伝わっているのでしょうか?あれもこれもでは焦点がぼやけてしまって結局なにも伝えることができないかもしれません。店外向けにはシンプルで絞り切った情報で勝負しましょう。

・衛生的でないところ

飲食店である以上は衛生的であることは必須です。お客様の目に付く範囲に汚れたままの部分などが無いかチェックして衛生的に問題があれば清掃したり見えないように隠したりします。

内装で訴える

内装はお客さまへの視覚印象のなかでもっとも大きな比率を占める部分ではないでしょうか?

新型コロナ下にあってお客様の重要視するポイントは大きく変化しました。
店内の解放感、感染対策、非日常な空間・・・などにシフトしています。

店内の解放感

『空間の量=ぜいたく』というのは昔からかわりませんが、新型コロナ下になってより一層感じるようになりました。
しかし飲食店で考えるとむやみに床面積を広げるわけにもいきません。
広く見えるための工夫でしのぎたいものです。

・床の露出を増やす→席数のコントロール

・高さを抑えて圧迫感を減らす

・仕切り過ぎない

・天井を高くみせる(スケルトンにする)

・鏡をうまく使って奥行を出す

などでしょうか。

ライティングを工夫してみる

店内の照明も視覚イメージに大きく影響する部分です。
逆に言えば内装工事のように大きなお金をかけなくても少な目の費用で大きく雰囲気をかえることができるとうメリットがあります。

明るさ(lux)

 一般の飲食店の客席の明るさは、400~750luxといわれています。
ファミリーレストランやファーストフードなどは明るめの700lux前後、カフェや高級なレストランなどは少しおとしめの400~500luxくらいが適しています。

時間帯ではランチは明るめ、ディナーは少し照明をおとして暗めにすると落ち着いた感じを演出できます。ディナータイムのテーブルキャンドルなども効果的な演出です。
昼間⇔夜で明るさを変える場合は調光スイッチや照明の間引きなどでコントロールします。

色温度(K ケルビン)

数値が低いほど暖かい感じの色となり数値が高いと涼しげな色の光となります。
白熱電球やろうそくの光は2,000~3,000K、昼間の太陽の光は5,000K、白色の蛍光灯で5,500K、昼光色の蛍光灯で6,500Kくらいです。

お客様が食事をする客席は2,000~3,000Kくらいがよいとされます。料理がおいしそうなのはもちろん、くつろいだ雰囲気を演出できます。
ただしこれは客単価がある程度高めのお店の話であり低単価で回転を重視するお店では色温度を上げると注文も活性化され回転率が上がる傾向にあります。

聴覚に訴える

飲食店で目をつぶって耳を澄ませたときに聞こえる音ってどんな音でしょうか?隣のテーブルの話声、注文する客の声、注文を取る従業員の声、調理する厨房の音・・・

大衆酒場や大衆中華、ラーメン屋だったらこれ自体がBGMになりそうな組合せですね。

逆に高級な店舗やカフェなどではすべてが邪魔な要素になってしまいそうです。

BGM

上記の邪魔な要素からお客様の気持ちをそらさせるためにBGMを活用されると思います。
BGMには3つの効果があると言われます。

一つ目が上記のような周りの音を覆い隠してお客様が食事を楽しむことができるようにする効果です。

二つ目はお客様の感情を誘導します。アップテンポな曲では食事は早く、スローテンポな曲は穏やかにゆっくり食事ができます。意図的に誘導して客席をコントロールしましょう。

三つ目はイメージです。内装やコンセプトにあった曲を流すことによってお店のトータルコンセプトを伝えることができます。

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それでも聞きたくない音

飲食店の書き込みで『聴覚』に絞ってみていくとマイナス評価の代表は『従業員の話声(悪口)』、『店員が他のスタッフを叱る声』でした。お客様には聞こえています。絶対やめたいですね。

触覚に訴える

触覚?そんなに触ることないだろう。いいえあります。皮膚感覚です。
暑い、寒いはこの皮膚感覚なのです。

室温

室内の適温は夏28℃ 冬20℃(環境省すすめ)といわれますが、飲食業においてはこのかぎりではありません。

実は業種によって変えるといい結果が出ます。

居酒屋などアルコールを提供する業態では温度設定を少し高めにてドリンクの注文を稼ぎます。 

カフェ・喫茶などくつろぎを提供する場合は居心地のいい家庭の設定温度と同じくらいにします。

中華料理・焼肉・ラーメンなど温度の高いメニューを提供する業態では低めの設定にするようにこころがけるといいでしょう。

しかし、せっかく設定温度をこまめにコントロールしても客席内の温度が均一でないと意味がありません。例えばエアコンの下は冷えているのに奥の席にいくと温度が高いとかです。

冬に足元が冷えるとかも温度が均一でないために起こる現象と言えます。

『サーキュレーター』などを活用して空気を循環させることで温度を一定に近づけるようにしましょう。

また新型コロナで換気が奨励されるようになって空調機器にスペック以上の負荷がかかっている場合があります。そして結果冷えにくい、暖まりにくいといったことが起こっています。

実際にお客様が座られる席で体感温度や実温度をチェックしましょう。

あと働いている側としては設定温度を下げがちですのでこちらもご注意ください。

サーキュレーター アイ

家具

『肌ざわり』といったところでしょうか? 手触りのいいカウンター、座りごごちのいいイス、

  

嗅覚に訴える

 『におい』でも漢字の『匂い』と『臭い』は真逆のニュアンスではないでしょうか?

飲食店での『におい』についてみてみましょう。

いい匂い

『においで客を呼ぶ』というと真っ先に思い浮かぶのがウナギや焼鳥、焼肉ではないでしょうか? タレのにおいは客を吸い付ける力があります。今原稿を書いていても食べたくなってきました。『匂いだけでご飯3杯はいける・・・ 』とかいうやつですね。

ここでも注意したいポイントがあります。実際に店内に入ってしまうとその匂いが邪魔になってしまうということです。食べる時までその匂いがしてしまうと冷めてしまう人がほとんどではないでしょうか。

悪い臭い

上記の例もありますが食事中に臭いがすると最悪な気分になりますよね。臭いって鼻をふさぐわけにもいかず避け難いものです。

先日、入ったダイニングでなんとアロマ焚かれてました。食事中もずっと・・・。そこのオーナーはその香りに慣れきってしまってるのでしょう。辛かったです。

店外へのダクトの臭い、食材からでる臭い、トイレからの臭いは言わずもがなですが、意外と見落とされがちなのが従業員の制服、身につけている香水、店内のファブリックに染み付いた臭いなど従業員は慣れてしまいなかなか気づきにくいものです。外部の人などに協力してもらい確認してもらいましょう。

フレッシュブリーズ
エステー サニティー

飲食店全般の臭気に関する内容はこちらのマニュアルをご覧ください。

参考資料:環境省『臭気対策マニュアル 』  

味覚に訴える

 飲食店ですから‥‥私などから申し上げることは何もございません。

まとめ

五感に分けてまとめていきました。飲食店に来られるお客様は料理に対して真剣に向き合おうと感度高くアンテナを張りがちでいつも以上に感受性が高くなります。お客様目線に視点をおいてみていきたいですね。

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