パンや惣菜をおいしそうに保温・陳列できる「ホットショーケース」。
見た目の美しさだけでなく、“乾燥しすぎないこと”も売上を左右する大切なポイントです。
最近は「加湿機能付き」「加湿バットあり」など、乾燥を防ぐためのタイプも増えていますが、実際のところどちらが良いのでしょうか?
今回は、加湿機能の有無による違いをわかりやすく比較し、実際の現場で起きたトラブル例も交えながら、最適な選び方を解説します。

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目次
■ 加湿機能の有無でどう違う?

― 加湿機能の役割とは ―
ホットショーケースにおける「加湿機能」とは、庫内に水を入れたタンクやバットを設け、ヒーターで温めて蒸気を発生させることで、一定の湿度を保つ仕組みです。
この加湿により、パンや惣菜の表面が乾くのを防ぎ、時間が経っても見た目と風味を保ちやすくなります。
特に、菓子パンやロールパン、焼き立て後のデリ系惣菜などは乾燥しやすいため、加湿機能付きのモデルが効果を発揮します。
一方、非加湿タイプは、庫内をドライな環境に保つことで「サクッとした食感」や「香ばしさ」を維持しやすいのが特徴です。
フライドチキンや天ぷらなど、湿気に弱い商品にはこちらが向いています。
つまり、加湿機能の有無で“おいしさの方向性”が変わると言っても過言ではありません。
― 加湿タイプのメリット・デメリット ―
加湿機能付きの最大の利点は、「時間が経っても見た目が変わらない」ことです。
乾燥によるパンの硬化や、惣菜のパサつきを防げるため、陳列時間が長くても品質を保ちやすいです。
また、ショーケース内の温度ムラを緩和する効果もあり、庫内全体を安定した環境に保ちます。
ただし、デメリットも存在します。
加湿量が多すぎると庫内が結露しやすく、ガラスが曇ってしまうことがあります。
とくに冬場や梅雨時期は湿度が高いため、「加湿を強くしすぎない」微調整が必要になります。
また、水タンクの清掃やバットの補充といったメンテナンスが欠かせない点も注意が必要です。
― 非加湿タイプのメリット・デメリット ―
非加湿タイプは構造がシンプルで、掃除や水管理の手間が少ないのが魅力です。
庫内に水を使わないため、内部結露や水垢の心配もなく、衛生管理が容易です。
また、電力消費も比較的少なく、省エネ運用がしやすい傾向にあります。
一方で、長時間の展示には弱点があります。
乾燥しやすい環境のため、パンの表面が硬くなったり、惣菜がパサついたりすることがあります。
特に、開閉が多い店舗やエアコン風が当たる設置場所では、乾燥スピードがさらに早まるため注意が必要です。
― どちらを選ぶべきか? ―
「加湿付き」か「非加湿」かを決める際は、“扱う商品の特性”が判断基準になります。
パン屋・ベーカリー系
乾燥対策が重要なため、加湿機能付きが有利。
揚げ物中心の惣菜店
サクサク感を守るため、非加湿または弱加湿タイプが最適。
複数ジャンルを扱う店舗
加湿バットを取り外せるタイプを選ぶと柔軟に対応できます。
加湿機能の有無は、単なるスペックの違いではなく、「商品の魅せ方」「作業のしやすさ」「維持コスト」に直結する要素です。
導入前に、自店のメニュー構成と陳列時間を見極めて選ぶことが、長く使える1台を見つけるポイントになります。
■ 実際にあった現場の声

ホットショーケースを導入した飲食店では、加湿機能の有無によって思わぬトラブルや改善点が見えてくることがあります。
ここでは、実際に現場であった代表的な事例をご紹介します。
加湿が効きすぎて結露が出た事例
ある惣菜店では、加湿機能付きのホットショーケースを導入しました。
導入当初は乾燥対策として非常に好評でしたが、冬場や梅雨時期になると庫内やガラス面に結露が発生。
ガラスが曇って中の商品が見えにくくなり、お客様から「見えづらい」という声が上がりました。
このケースでは、加湿量の調整機能がない機種だったため、季節や天候によって加湿設定を変えることができませんでした。
結果として、結露を防ぐために加湿機能を切る場面もあり、使い勝手に影響が出ました。
→対策
季節や湿度に応じて加湿量を調整できる機種、もしくは排気機能を備えたタイプを選ぶことが重要です。
奥行きが深すぎて補充が大変だった事例
別のパン屋では、奥行きが深い大型の2段式ホットショーケースを導入しました。
見た目の陳列量は増えましたが、奥の棚の商品を補充する際に手が届きにくく、作業効率が低下。
スタッフからは「補充に時間がかかりすぎる」という不満が出ました。
さらに、補充がしづらいことで販売タイミングが遅れ、商品が冷えてしまうこともありました。
→対策
設置スペースや補充の頻度を踏まえて、奥行きが浅めのモデルや1段式ショーケースを検討することが有効です。
省エネモードで温度ムラが生じた事例
あるベーカリーでは、省エネ機能付きのホットショーケースを導入しました。
電気代削減には成功しましたが、省エネモードでは加熱サイクルが抑えられ、庫内の温度ムラが発生しました。
その結果、一部の商品は乾燥してしまい、品質低下につながったのです。
→対策
温度センサーが複数搭載され、均一に温度を保てるタイプやファン循環式モデルを選ぶと、ムラを減らせます。
■ 現場の声から学ぶポイント

これらの事例から見えてくるのは、ホットショーケース選びには「加湿機能の有無」だけでなく、設置環境・使い方・メンテナンス性を含めた総合的な判断が必要だということです。
・加湿量調整機能や排気機能の有無
・奥行きや段数などの補充性
・温度制御機能の精度
これらを事前に確認し、自店の営業スタイルに合った機種を選ぶことが、長く快適に使えるホットショーケース選びのカギとなります。
■ パン・惣菜別のおすすめタイプ
ホットショーケースは、加湿機能や構造によって商品の鮮度や食感に大きく影響します。
扱う商品によって最適なタイプは異なるため、自店のメニュー構成に合わせて選ぶことが大切です。
ここでは、パンと惣菜それぞれのケースでおすすめのタイプをご紹介します。
パン屋・ベーカリー系
パンは乾燥に弱く、時間が経つと表面が硬くなり風味も落ちやすくなります。
そのため、パン屋やベーカリーでは加湿機能付きのホットショーケースがおすすめです。
加湿機能によって庫内の湿度を一定に保てるため、焼き立ての香りや食感を長時間維持できます。
特に菓子パン、ロールパン、クロワッサンなどは加湿効果が顕著に現れます。
注意点としては、加湿しすぎると結露やカビの原因になるため、加湿量の調整ができる機種を選ぶことが重要です。
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惣菜・揚げ物店
惣菜や揚げ物は、湿度が高いと衣がしんなりし、食感や香ばしさが失われることがあります。
特にフライドチキンや天ぷらなどは、非加湿タイプまたは弱加湿タイプのショーケースが適しています。
こうしたタイプでは庫内が乾燥しやすく、サクサク感や食感を長く保てます。
また、惣菜の場合は温度管理が重要になるため、加湿機能よりも温度の均一性やファン循環機能のある機種を優先すると良いでしょう。
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複数ジャンルを扱う店舗(パン+惣菜など)
パンと惣菜を同時に扱う業態では、加湿機能の有無だけでは対応しきれないケースがあります。
こうした店舗には、加湿バット取り外し可タイプや段ごとに湿度を調整できるタイプのホットショーケースが便利です。
段ごとに湿度を変えられる機種なら、パンは加湿、揚げ物はドライに保つといった使い分けが可能です。
このタイプを選ぶことで、商品の種類ごとに最適な環境を作ることができ、品質の低下を防ぎながら売上アップにもつながります。
ホットショーケース選びは、「加湿機能の有無」だけで判断するのではなく、扱う商品特性・設置環境・店舗の営業スタイルを総合的に見極めることが大切です。
これによって、お客様に魅力的な商品を提供し、長く使える1台を選ぶことができます。
■ まとめ:加湿は“万能”ではない
ホットショーケースの加湿機能は、乾燥しやすいパンや惣菜の鮮度維持に効果的ですが、万能ではありません。
加湿が強すぎると結露や作業効率の低下を招く場合があり、逆に加湿が足りないと商品が乾燥して魅力が損なわれます。
重要なのは、加湿機能の有無だけで判断せず、自店の営業環境や扱う商品に合わせた選択をすることです。
加湿のメリットと注意点
加湿機能の最大のメリットは、庫内の湿度を一定に保つことで、時間が経っても商品の見た目や食感を保てる点です。
特にパン屋では、その効果を強く実感できます。
しかし、加湿しすぎると庫内に結露が発生し、ガラスの曇りや商品への水滴付着といった問題が起きます。
こうした課題を避けるためには、加湿量を調整できる機種や排気機能があるモデルを選ぶことが大切です。
商品特性に合わせた選択
パン、惣菜、揚げ物など商品によって加湿の必要性は異なります。
パン屋では加湿機能付きが向いていますが、揚げ物中心の惣菜店では非加湿や弱加湿タイプが適しています。
また、両方を扱う店舗では、加湿バットが取り外せたり、段ごとに湿度を変えられたりする機種が理想的です。
こうした機能は、商品の鮮度と食感を同時に守るうえで有効です。
導入前に考えるべきポイント
ホットショーケースを導入する際は、加湿機能の有無だけでなく、以下の点を確認することが重要です。
・店舗の湿度・温度環境
・扱う商品の種類や特徴
・作業動線や補充のしやすさ
・メンテナンス性や清掃のしやすさ
これらを踏まえ、自店に最適な機種を選ぶことで、乾燥対策と運用効率の両方を実現できます。
加湿はあくまで“品質を守るための手段”です。自店の営業スタイルや扱う商品の特性に合わせ、適切に機能を活かすことが、失敗しないホットショーケース選びの鍵となります。
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