どんなお店にしたいのか -コンセプトの重要性-
💡 3分でわかる!コンセプト設計の基本
コンセプトとは、概念、すなわち首尾一貫した基本的な考え方のことです。
簡単に言うと「どんな飲食店にするか」ということであり、お客様から見たら「そのお店がどんな価値を提供してくれるのか」ということです。
📊 飲食業界の現実(公的機関データより)
廃業・倒産の実態:
・全業種の廃業率:3.3%(2022年度)
・宿泊業・飲食サービス業の廃業率が全業種中最高
・2024年の飲食業倒産件数:894件(過去最多記録)
出典:中小企業庁「2024年版中小企業白書」
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2024/chusho/b1_3_5.html
出典:東京商工リサーチ「2024年度飲食業倒産分析」
https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1201142_1527.html
開業の実態:
・飲食店・宿泊業の開業割合:14.5%(新規開業全体に占める割合)
・開業時平均従業者数:2.9人
・主な開業動機:「仕事の経験・知識を生かしたかった」46.0%
出典:日本政策金融公庫総合研究所「2024年度新規開業実態調査」
https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/kaigyo_241127_1.pdf
この軸であるコンセプトがしっかりしていないと、開店する前も開店してからも迷走してしまいます。結果としてちぐはぐなお店となってしまい、お客様に価値を十分に伝えられず、失敗することになりかねません。
誰もがどんなお店かすぐにイメージでき、分かりやすい言葉にすることが大切です。他店との明確な差別化ができていると来店動機に繫がります。
アイデアは、コンセプトを決める上で重要な材料ですが、コンセプトは、そこから一歩踏み込んで「お客様がお店に訪れたくなる理由」を考え決定します。
メインコンセプトを明確にすることで、価格帯、料理のジャンル、店内の雰囲気、場所などの方向性が決まっていきます。
出店方法は、独立して店舗を構える最も一般的な「店舗型」、自宅の一部を改築する「自宅型」、キッチンカーやフードトラックを使った「移動型」があります。
コンセプト次第で、コーヒーの美味しさを売りにした「自家焙煎タイプ」、カフェ飯やスイーツメニュー、お酒を充実させた「フードタイプ」、雑貨・ペット・コインランドリー・スポーツなど異業種と融合した「複合タイプ」などの営業形態が決まり、それぞれの特徴を踏まえた戦略が必要です。
また、大手カフェの特徴を把握し、大手カフェに負けない魅力を持つことが必要です。
飲食店におけるコンセプトは、「Why」「When」「Where」「Who」「Whom」「What」「Which」の7Wと「How」「Howmuch」の2Hから成る「7W2H」の観点から考えることができます。
ぶれのない、確固としたコンセプトを作り上げましょう。
開業スケジュール
前準備 | 物件申し込みから引き渡し 約1〜2か月 | 内装・外装工事期間 約2、3週間〜2か月 | 工事引き渡し後 約1週間 | オープン後 | |
コンセプト設定 | コンセプト |
7W2Hの観点
What(なにを)・・・提供する価値とメニュー
提供したいと考えている、メニュー・サービスの特徴を明確にします。
📊 成功するメニュー開発のデータ
日本政策金融公庫の調査によると、開業者の46.0%が「これまでの仕事の経験や技能を生かせるから」という理由で事業を決定しています。つまり、あなたの経験を活かしたメニュー・サービス設計が成功の近道です。
出典:日本政策金融公庫総合研究所「2024年度新規開業実態調査」
🎯 実践的メニュー設計3ステップ
Step1: 看板メニューの決定
- あなたの経験・スキルを最大限活かせる商品
- 「他店では味わえない」明確な理由
- 原価率25-30%での利益確保可能性
Step2: サービス差別化ポイント
- 面白み:他店にない独自のサービス
- サービス向上の仕組み:継続的な品質改善システム
- 他店との差別化:競合調査に基づく優位性
Step3: メニュー戦略の選択
- 味で勝負か価格で勝負かの明確な選択
- 斬新さか王道かのポジショニング戦略
- こだわりポイントの明文化(産地、ボリューム、安心安全、コミュニティ、健康、元気・活力、癒しなど)
📚 関連ガイド
🍽️ メニュー開発の詳細
Who(だれに)やWhere(どこで)もふまえてメニュー、サービスを考えます。
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Which(どれを)
Which ・・・どれを
看板となるメインメニューとお店のウリを明確にします。
決定したコンセプトは一行にまとめましょう。
長すぎるコンセプトは複雑になりすぎて、お店の趣旨が伝わりにくくなります。
立地条件やターゲットにしている客層、販売する商品(メニュー)を基にコンセプトに盛り込む内容を絞り込む作業を何度も繰り返しましょう。
そうすることで、シンプルで伝わりやすいコンセプトを作り上げることができます。
Whom(だれに)
Whom ・・・ だれに(ターゲット)
💡 業界で注目されている成功コンセプト例
🌅 朝活特化型カフェの成功要因
- 業界トレンド:朝活ブームに着目したコンセプト
- 差別化ポイント:早朝営業、ヘルシーメニュー、Wi-Fi完備
- 成功のカギ:ターゲットのライフスタイルに完全対応
👨👩👧👦 ファミリー向けカフェの成功要因
- 業界トレンド:子育て世代の外食ニーズ増加
- 差別化ポイント:キッズスペース、離乳食対応、バリアフリー
- 成功のカギ:安心・安全な環境づくり
🐕 ペット同伴カフェの成功要因
- 業界トレンド:ペット家族化による市場拡大
- 差別化ポイント:ペット専用メニュー、専用設備
- 成功のカギ:ペットオーナーのコミュニティ形成
これらは業界で一般的に成功しているとされるコンセプト例です
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メインターゲットがOLであれば女性受けしそうな健康志向のメニューにしたり、サラリーマンであればボリューム満点のこってりメニューにするなど、ターゲットに合わせた味、サービス、内装などの店舗作りをする必要があります。
Where(どこで)
Where ・・・ どこで(立地・物件状況)
出店する店舗の街(商圏)の決定と調査。
- 立地条件の設定。
- オフィス街・繁華街・住宅街・学生街など
- 沿線、最寄駅からの距離、最寄り駅の乗客数
- 建物、看板などの視認性
- 坪数・席数
- 店舗間口
- 営業時間:顧客動向による営業時間、定休日の設定
Whom(ターゲット)という要素が場所選びには絡んできますので、コンセプトの”Whom(だれに)”を踏まえて決定します。
ターゲットがOLならオフィス街、サラリーマンなら駅前などです。
競合店がやっていないポイントをあえて狙ってみるのもいいかもしれません。
Why(なぜ)
Why・・・なぜ
創業目的・目標・夢・開業理由 / お客様視点の来店動機
自身
- なぜ開業しようと思ったのか
- なぜそのメニューにしようと思ったのか
顧客視点
- なぜ来店するか
仕事帰り、通りがかり、料理のおいしさ、雰囲気、安さ、便利さ、話題性、知名度、クーポン、落ち着いて食事できる、素早く食事できる、女性でも入店しやすい、ファミリーでも利用しやすい、デートに、お祝い事に、歓迎会・送別会・結婚式二次会などのパーティーに、お酒を楽しむ時に…など
Who(だれが)
Who ・・・だれが
誰が開業に際して関わるのかを考えます。メンバーや、雇用する予定の従業員数。営業スタッフはプロかアルバイトかなど。
- 単独店かFC(フランチャイズチェーン)かVC(ボランタリーチェーン)か
- ビジネスパートナー
- 調理スタッフがプロの料理人かアルバイトか
- 社員として雇うかアルバイトとして雇うか
- 何人での営業になるか
How(どのように)
How ・・・ どのように
接客 / サービス
集客・販売促進・提供方法の手段
- 集客方法:ポイントカード、フリーペーパー、SNS、HPなど
- 販促方法:時間限定・時期限定商品、クーポンなど
- 提供方法:セルフサービス、テイクアウト可、落ち着いて食事できる店内環境、素早く食事できるなど
サービスレベル、アピールポイント
How much(いくらで)
How much(いくらで)・・・開業資金と価格戦略
📊 カフェ開業の実際の費用データ
開業資金の実態:
- 飲食店・宿泊業の平均開業費用:883万円(2023年版)
- 500万円未満での開業割合:40%(最多層)
- 自己資金平均割合:約60%
出典:日本政策金融公庫総合研究所「新規開業白書2023年版」
💰 開業資金の内訳目安
- 設備・機器費:200-500万円(全体の40-50%)
- 内装・工事費:150-300万円(全体の30-35%)
- 運転資金:100-200万円(全体の20-25%)
客単価・価格設定の戦略
開業にどのくらいの資金が必要なのか、そして適切な客単価設定を行います。
📊 価格設定の成功データ
- 原価率目安:25-30%が健全経営ライン
- 人件費率目安:30-35%以内で利益確保
- 家賃比率目安:売上の10%以下が理想
📋 資金調達サポート
💰 開業資金調達の詳細ガイド
✅ 資金計画で不安な方へ
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When(いつ)
When ・・・ いつ
開業時期 / 営業時間
開業までにかける時間、いつまでに開業するか。どんな時に利用してもらえるのか
- 開業する時期:資金集めのための時間、飲食店での経験値蓄積のための時間、歓送迎会・忘新年会の繁忙期などタイミングの考慮
営業時間・定休日の設定
コンサルタントからのワンポイントアドバイス

フードコンサルタント
紡ぎ屋様
出店前に「自分に何ができるか」をよく考えましょう!
どこでどんな規模でどんなサービスで店作りをするかで今後の動きが決まります。
物件探しも立地ありきではなく、「自分に何ができるか」により行っていくことで大きく変わるものです。
コンサルタントからのワンポイントアドバイス

渡邉 司様
利益を出すためには物語を作ることがポイント!
「物語を作って商品を売る」というのは提供するグラスや食器も含めた付加価値を生み出すことです。
そのためにしっかりと商品の知識などをスタッフに落とし込む必要があります。
儲けの出ない飲食店は必ずここがおろそかなことが多いため、ぜひ私にお任せください。お客様のお店に合った物語を作ります。
コンサルタントからのワンポイントアドバイス

栗田 宏和様
集客、売上が見込めるコンセプトづくりを徹底的に行うことが大切です。
行ってみたいと思えるコンセプト作りをした上で、web、SNSで集客を行う準備をしましょう。
その際、想いが詰まったお店ほど情報発信の内容が「伝えたいこと」の押し売りになってしまいがちです。
お客様が「知りたい」情報を発信できるようにして来店の動機づけの仕組みをつくりましょう。
コンサルタントからのワンポイントアドバイス

DEF様
まず飲食店を始めたいと思った時にどのような店にしたいかを決められる方が多いですが、その前に個人・会社でいくら稼ぎたいのかを決めましょう。
月30万円稼ぎたい方と月200万円稼ぎたい方とではそもそもの入りが違います。
前者であれば自分の技術を駆使して他社ではできない事をやってもいいですが、後者では1店舗で得るのか2店舗で得るのかでも変わってきます。
自身がなぜ独立して飲食店をやりたいのかどこまでいきたいのかを決めましょう。
まずは小さく始めてお金をつくり、そのお金で資産を増大することが王道です。