小さな厨房でも回せる!“2人以下”営業のための厨房レイアウト術

経営ノウハウ

近年、飲食業界では人手不足が深刻化し、ワンオペや夫婦二人での営業が増えています。
「厨房が狭くて動きづらい」「スタッフが少なくて料理提供が遅れる」と悩む店主も多いのではないでしょうか。

しかし、レイアウトを工夫すれば、少人数でも効率よく厨房を回すことができます。
動線を短縮し、作業を分担できる厨房は、オーダーミスや調理待ち時間を減らし、スタッフの疲労軽減にもつながります。

本記事では、狭小スペースでも効率よく営業できる厨房レイアウトのポイントをご紹介します。

※記事制作20年以上の担当者が、あなたのお店の良さをインタビューで聞き出して記事を作成します!あなたのお店を記事にして毎月6桁のユーザーが訪問する、全国の飲食店を応援するフードメディア「テンポスフードメディア」に掲載しませんか?上記ボタンをクリックし、詳細をぜひご覧ください

また、不明点などお気軽に下記ボタンからお問合せください!

お問合せはこちらからどうぞ

目次

1歩も動かずに作業できる動線設計

狭い厨房で少人数営業を行う場合、「いかに動かずに作業を完結できるか」が効率化の鍵となります。

一般的な厨房レイアウトでは、冷蔵庫・調理台・コンロを三角形に配置する「ワークトライアングル」が使われますが、2人以下での営業ではさらに動線を短くする必要があります。

ポイント1:ワークステーション型の配置

1人が立つスペースに、食材・調理器具・加熱調理機器がすべて手の届く範囲にある状態を作ります。

たとえば、調理台の右手に冷蔵庫、左手にIHコンロ、上部に調味料棚、下部にまな板やボウルを収納しておくと、ほとんど動かずに「カット → 調理 → 盛り付け」が行えます。

ポイント2:背面の活用

背中側には、よく使う調理器具や食器を収納できる棚やワゴンを設置しましょう。
振り向くだけで必要なものを取れるため、無駄な移動が減ります。
この配置は、提供までのスピードアップにもつながります。

ポイント3:下部収納とスライドワゴン

調理台の下部に引き出し式収納を設けることで、包丁やトング、計量カップなどをすぐ取り出せます。

また、キャスター付きのスライドワゴンを使えば、仕込み食材や盛り付け用食器を作業位置のすぐ横に置けます。

ポイント4:作業の高さを統一

調理台・コンロ・盛り付け台の高さをそろえると、作業中に手元が迷わずスムーズに動きます。
高さが揃っていると、ワゴンを横付けして作業スペースを拡張することもできます。

このように、動線を最小限に抑えるレイアウトを組むことで、少人数でもスピーディーかつ効率的な調理が可能になります。

特にワンオペ営業では、立ち位置を変えずに複数の作業が行えるかどうかが、厨房設計の重要なポイントです。

業務用板金類をお探しの際はこちら

ガステーブル・IHテーブルをお探しの際はこちら

ゾーニング例:ワンオペと2人営業で変わる最適配置

厨房のレイアウトを考える際には、「誰がどこで何をするのか」を明確にしてゾーニング(作業エリアの分け方)を決めることが重要です。
特に、ワンオペ営業と2人での営業では、効率的な動線や作業エリアの考え方が大きく異なります。

ワンオペ向けレイアウト

ワンオペ営業では、1人が調理から提供までを完結できる配置が必須です。
厨房が狭いほど、動線を短くすることが求められます。

扇状配置で視界と手の届く範囲を広げる

調理台を中心に、右手にコンロ、左手にシンク、正面に作業台を置くことで、立ち位置を変えずに下処理から加熱、盛り付け、洗浄まで行えます。

カウンターとの距離を最短に

調理台と客席カウンターの間に動線を確保することで、出来上がった料理をそのまま提供できます。

多機能機器で作業を集約

スチコンや多口IHコンロを導入することで、焼く・蒸す・煮るを1台でカバーし、機器の行き来を減らします。

この配置なら、“振り向く・一歩踏み出すだけ”で作業が完結し、ピーク時でもスムーズに料理提供が可能です。

夫婦・2人営業向けレイアウト

2人で営業する場合は、作業が重ならない分業型ゾーニングが効率的です。
同じ場所を行き来すると衝突やオペレーションの滞りが発生しやすくなるため、作業エリアをはっきり分けます。

調理ゾーンとドリンク・盛り付けゾーンを分離

片方が火を使うメイン調理、もう片方がサラダやデザート、ドリンクを担当できるよう配置します。

通路は60cm以上を目安に確保

狭すぎるとすれ違いが困難になり、作業効率が落ちます。

共用の食器棚や冷蔵庫は中央配置

どちらからでも取りやすい位置にすることで、動線が重なっても衝突を防げます。

提供口を1つにまとめる

厨房出口を1カ所にすると、ホールスタッフやお客様への料理提供がスムーズです。

このように分担を明確にすることで、2人が同時に作業してもスムーズに厨房を回すことができます。

ワンオペと2人営業では、動線やゾーニングの考え方がまったく異なります。
開業前にどちらの運営スタイルを採用するかを決め、レイアウト設計に反映させることで、少ない人数でも効率よく営業できる厨房になります。

多機能機器を使うべきか、分業機器で効率化するか

狭い厨房で2人以下の営業を行う場合、限られたスペースで最大の効率を出すために、厨房機器の選び方がとても重要です。

特に、「多機能機器を導入するか」「分業専用機器で作業を並行化するか」は、店舗の運営スタイルによって大きく変わります。

多機能機器の活用で作業を集約

多機能機器は、1台で複数の調理方法をこなせるため、スペースが限られている厨房に向いています。

スチームコンベクションオーブン(スチコン)
焼く・蒸す・煮るが1台で可能
タイマー機能で“ほったらかし調理”ができ、他の作業に集中できる

【定期点検3年サービス付き】iCombi Pro XS 6-2/3【ラショナル】スチームコンベクションオーブン電気式 幅655×奥行621×高さ567(mm)3相200V【業務用/新品】【送料無料】

商品はこちら

多機能フードプロセッサー
みじん切り、スライス、ペーストなど下ごしらえを1台でカバー
ワンオペでも仕込み時間を短縮

FMI ロボクープ マジミックス ベーシックモデル VDシリーズ 容量2.6L [RM-3200VD] 幅190×奥行230×高さ365【業務用/新品】【送料無料】

商品はこちら

IH多口コンロ
狭いスペースに複数の加熱口を配置でき、火加減の管理も容易

TET-90 【タニコー】 電気レンジ/電気テーブルレンジ/電気ローレンジ (50/60Hz) 幅900×奥行600×高さ850mm 【業務用/新品】【送料無料】

商品はこちら

これらの機器を活用すれば、作業動線を短縮し、調理時間を削減できます。
また、1台で複数の役割を果たすため、購入台数が減り、通路を広く確保できる点もメリットです。

分業機器で同時作業を可能に

一方で、メニューや提供スタイルによっては、あえて専用機器を導入することで効率化できる場合もあります。

フライヤー
揚げ物の注文が多い場合、コンロで代用せず専用機器を使うことで調理スピードが向上

【導入実績 9,000台突破!】【スピード出荷】電気フライヤー 7.0L 卓上 単相100V 幅27×奥行38×高さ33cm TBEF-7/業務用/送料無料 一年保証/テンポス

商品はこちら

業務用炊飯器
大量のご飯を安定した品質で炊けるため、ランチタイムに備えやすい

炊飯器をお探しの際はこちら

食洗機
調理後の洗浄を時短でき、スタッフの負担を軽減

業務用食器洗浄機をお探しの際はこちら

分業機器は、同時に複数の作業を進められるため、2人営業の際に特に有効です。
例えば、1人がフライヤーで揚げ物、もう1人がコンロでソテー料理を同時に進行できれば、ピークタイムの提供スピードが上がります。

選び方のポイント

ワンオペ中心

多機能機器を優先し、動線と作業負担を最小化

2人以上での営業

分業機器を導入して同時調理を可能にする

メニュー数が多い店舗

多機能機器で仕込みや仕上げを集約

専門料理が多い店舗

専用機器で品質とスピードを確保

厨房の広さ、スタッフの人数、メニュー構成を総合的に判断し、「作業を集約するか」「分散して並行化するか」を決めることで、少人数でも効率的に回せる厨房が作れます。

収納と下ごしらえの工夫で狭小厨房を広く使う

限られた厨房スペースを最大限に活用するには、収納の工夫と仕込みの効率化が欠かせません。
動線をいくら工夫しても、調理器具や食材が散乱していてはスムーズな作業はできません。
ここでは、狭小厨房でも広々と使える収納・下ごしらえのポイントをご紹介します。

収納の工夫

縦のスペースを使う

壁面に吊り棚やマグネットラックを設置し、調理器具や調味料を上方向に収納します。
使用頻度が高い道具を目線の高さに、軽いものを上段、重いものを下段に配置すると取り出しやすく安全です。

シンク下や作業台下を有効活用

引き出し式収納やスライド棚を導入することで、奥のスペースまでムダなく使えます。
食器や鍋、ボウルをカテゴリごとに分けて収納し、調理中に探す時間を削減します。

キャスター付きワゴンを導入

仕込み済みの食材や調理器具をまとめて移動でき、必要な場所にすぐ持っていけます。
ピークタイムには作業台横にワゴンを置き、オフタイムには端に寄せて動線を確保できます。

下ごしらえの工夫

仕込みの一括作業

営業前に野菜のカットやソースの仕込みをまとめて行い、調理中の手間を減らします。
多機能フードプロセッサーを活用すると、みじん切りやスライスが短時間で終わります。

下味付きの冷蔵・冷凍ストック

肉や魚は下味をつけて真空パックし、冷蔵庫や冷凍庫で保存することで、調理時にそのまま焼くだけで提供できます。
スペースを節約でき、調味料や調理器具をその都度取り出す手間も省けます。

仕込み食材の定位置管理

カット野菜やソースを専用のコンテナで保存し、冷蔵庫内で棚ごとにゾーニングします。
「同じ作業を同じ場所でできる状態」を作ることで、狭い厨房でも効率的に動けます。

収納と下ごしらえを工夫することで、狭い厨房でも作業スペースをしっかり確保でき、調理中の混雑や探し物のストレスが大幅に減ります。

特に2人以下での営業では、「1アクションで取り出せる」「必要なものがすぐ届く」という環境づくりが、厨房の広さ以上の効率を生み出します。

実例紹介:2人以下で人気店を回す厨房レイアウト

実際に、2人以下で営業しながらも高い評価を得ている飲食店では、どのような厨房レイアウトを採用しているのでしょうか。
ここでは、ワンオペと夫婦経営の2つの事例を紹介し、成功のポイントを解説します。

実例1:ワンオペで回すカウンター中心のラーメン店

店舗規模:6坪(厨房3坪+客席3坪)
スタッフ:店主1人
特徴:仕込みから調理、提供、片付けまでをすべて1人で対応

レイアウトの工夫

カウンター一体型厨房
調理台が客席カウンターと一体化しており、振り返らずにそのまま料理を提供できる導線を採用。

扇状配置の機器配置

左手に麺ゆで機、正面にスープ鍋、右手に盛り付け台と食器棚を配置し、1歩も動かず作業可能。

多機能機器の導入

スチコンとIHコンロを組み合わせ、トッピングや副菜を効率的に仕込めるよう工夫。

成功ポイント

・「片手で調理、もう片手で提供」という最短動線を徹底
・仕込みを前日に終わらせ、営業中は提供に集中できる環境を作った

実例2:夫婦2人で切り盛りする小規模ビストロ

店舗規模:12坪(厨房4坪+客席8坪)
スタッフ:シェフ(夫)+サービス・調理補助(妻)
特徴:ディナー中心でアラカルトとコース料理を提供

レイアウトの工夫

分業型ゾーニング
厨房を2つのゾーンに分け、夫が加熱調理、妻がサラダ・デザート・ドリンクを担当。

中央に共用冷蔵庫

どちらからも取りやすい位置に冷蔵庫を配置し、動線が交差しないように設計。

食洗機とパススルー台

提供後の食器はすぐに食洗機に入れられる動線を確保し、洗い物がたまらないよう工夫。

成功ポイント

・お互いの動線が重ならない配置で衝突を回避
・ピーク時も並行して調理・盛り付けができ、提供スピードが安定

これらの事例に共通するのは、「調理動線を最小限にする」ことと「作業を明確に分担する」ことです。
厨房の広さや形状に関係なく、作業導線を最適化すれば、2人以下でも人気店を安定的に運営できます。

少人数でも売上を最大化できる厨房設計チェックリスト

厨房レイアウトを考えるとき、「狭いから仕方ない」と諦めてしまう店主も少なくありません。
しかし、ポイントを押さえて設計すれば、少人数でも十分に売上を最大化できます。
ここでは、開業前や改装時にチェックしておきたい項目を整理しました。

■動線チェック

□作業中に1歩で手が届く範囲に主要機器(コンロ、シンク、冷蔵庫)が配置されているか
□調理・盛り付け・提供・洗浄の流れがU字またはL字型でスムーズにつながっているか
□ピーク時に2人が作業してもすれ違いが発生しない通路幅(最低60cm以上)が確保されているか

ゾーニングチェック

□加熱調理ゾーンと冷蔵・下ごしらえゾーンが交差せず並行作業できるか
□食器や食材の保管場所が、それぞれの作業場所に近接して配置されているか
□提供口やパス台が客席から最短距離にあり、サービススタッフが厨房内を移動せず提供できるか

機器選定チェック

□多機能機器を導入することで、設置台数と作業動線を減らせるか
□専用機器を導入すべきメニュー(例:揚げ物、焼き物)が明確になっているか
□冷蔵・冷凍庫は必要量+αの容量を確保し、ストック切れや詰め込みによる作業ロスが起きないか

収納・仕込みチェック

□壁面や吊り棚を活用し、調理器具がワンアクションで取り出せるようになっているか
□営業前の仕込み作業を一括で行えるスペースや機器が整っているか
□下味冷凍やカット済み野菜など、時短オペレーションの仕組みが導入されているか

清掃・衛生チェック

□排水口、シンク下、調理台下など、日々の清掃がしやすい設計になっているか
□動線に余計な段差や障害物がなく、転倒や事故を防げる安全設計になっているか
□ゴミや廃油を処理するスペースが確保され、作業中にゴミが溜まらない導線になっているか

売上最大化の視点

□少人数でも1時間あたりの提供皿数を増やせる配置になっているか
□提供スピードを上げるために、盛り付け台やパス台の幅が十分に確保されているか
□ドリンクやデザートなど、追加売上を作りやすい動線が設計されているか

このチェックリストを使って厨房を見直すことで、
「狭いから仕方ない」ではなく、「少人数でも売上を最大化できる設計」に変えることができます。

開業前の設計段階はもちろん、既存店舗でも小規模なレイアウト変更で大きな効果が出るケースがあります。

まとめ

少人数での営業は、スタッフの動きや作業効率が直接売上や顧客満足度に影響するため、厨房レイアウトが成功の鍵を握ります。
特に2人以下で営業する店舗では、「1歩も動かずに作業が完結する動線」や、「役割分担を明確にしたゾーニング」が重要です。

また、限られたスペースを有効活用するためには、多機能機器の導入、収納の工夫、仕込みの効率化が欠かせません。

今回ご紹介した実例からもわかるように、厨房の広さに関係なく、設計や配置の工夫次第でオペレーションは大きく改善できます。

チェックリストを活用して動線・ゾーニング・収納・衛生面を見直せば、少人数でも忙しい時間帯をスムーズに乗り切り、提供スピードと客単価を高めることが可能です。

厨房レイアウトは一度決めると大きく変えにくい部分だからこそ、開業前にしっかりと考え、必要であれば専門家のアドバイスも取り入れることをおすすめします。

効率的な厨房は、オペレーション負担を減らすだけでなく、スタッフの働きやすさと顧客満足度を両立し、結果として売上アップにもつながります。

テンポスでは、これから開業を目指す方、飲食店の経営についてお悩みの方に向けてさまざまな情報を発信しています。
是非ご活用ください。

はじめての開業を徹底サポート

開業前・開業後のお悩みにお答えする情報が盛りだくさん!

業務用調理機器や小物、食器から家具に至るまで、多数取り揃えております。
是非テンポスへご注文からご相談まで、お気軽にお問い合わせください。

テンポスドットコムはこちら


#飲食店 #厨房 #オペレーション #狭小厨房 #ゾーニング #ルール
#アレルギー対応 #再発防止 #交差汚染 #二重チェック #洗浄ルール

タグ:

関連記事

「会員登録」で受けられる
3つの特典はこちら

下記「おトク」な情報をメールでお届けします
新商品・限定商品
中古商品の入荷情報
「タメになる」セミナー情報など
無料で開業相談が受けられます
物件情報のお問合せが可能です

最近の記事

  1. “入りたくなる店”はここが違う!飲食店の看板・ファサード(外観)設計術

  2. メニューの写真、どこまで“加工”していい?― 飲食店オーナーが知らない集客と法的リスク ―

  3. 独特の苦みと甘みが特徴的!長野県発祥「戸隠そば」について解説!

Xで最新記事を配信中

twitter
TOP
新規登録