ガス or IH?次世代厨房の選び方と向いてる業態:前編

経営ノウハウ

開業準備中の皆さま、「厨房機器はガスにすべきか、IHにすべきか」で迷っていませんか?

見た目や予算だけで決めてしまうと、後々「調理しづらい」「電気代が高い」「厨房が暑すぎる」といった問題に直面することもあります。

前編の記事では、ガスとIHの特徴やコスト面の違いに加え、業態ごとにどちらが向いているのかを詳しく解説いたします。

環境負荷や補助金制度にも触れながら、今後の飲食店経営に役立つ“厨房選びの正解”を一緒に考えていきましょう。

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目次

なぜ「ガス or IH」問題が今注目されているのか?

近年、飲食店を開業・改装するにあたり、「厨房機器はガスにすべきか、IHにすべきか」という問いが以前にも増して重要視されるようになっています。
その背景には、いくつかの社会的・経営的な変化が影響しています。

エネルギー価格の変動とコスト意識の高まり

ガスも電気も、ここ数年でエネルギー単価が大きく変動しており、月々の光熱費は経営にとって無視できない負担となっています。

特に光熱費は、人件費と並んで「削減が難しい固定費」のひとつであり、厨房機器の選択が経営の収支に直結します。
そのため、初期費用だけでなくランニングコストを重視する経営者が増えているのです。

脱炭素社会に向けた動きと補助金の充実

カーボンニュートラルへの流れを受けて、国や自治体ではCO₂排出量の少ない調理環境への転換を後押しする動きが活発化しています。

IH機器は排気がなく、再生可能エネルギーとの相性も良いため、「環境配慮型店舗」としてのPRや補助金の対象になりやすいというメリットもあります。

厨房スタッフの高齢化・人手不足

業界全体で人手不足が深刻化する中、調理現場では「誰でも使いやすい」「安全で疲れにくい」設備が求められるようになっています。

IH機器は火を使わないため火傷や火災リスクが低く、掃除もしやすいため、高齢のスタッフや調理未経験者でも安心して扱える点が注目されています。

厨房環境への配慮と労働環境の改善

ガス厨房では、火を使うことで厨房内の温度が上昇しやすく、夏場は特に過酷な労働環境になります。

これに対してIHは、熱が鍋にだけ伝わる構造のため、厨房全体の温度上昇を抑えることができ、空調負荷の軽減や熱中症対策にも有効です。
働きやすい厨房環境を整えることは、スタッフの定着や募集にもつながります。

このように、厨房設備の選択は単なる「火力の問題」ではなく、経営コスト・働きやすさ・環境対応・安全性といったさまざまな観点から判断が求められる時代になっています。

だからこそ、「ガス or IH」の選択は今、開業準備の中で最も重要なポイントのひとつとして注目されているのです。

まずはおさらい!ガスとIH、それぞれの特徴

厨房機器を選ぶ際、多くの方が「ガスは火力が強くて安心」「IHは新しいけど実際どうなの?」という印象をお持ちではないでしょうか?

ここでは、ガスとIHの基本的な仕組みから、それぞれのメリット・デメリットを整理してご紹介します。

◆ ガス調理機器の特徴

ガス機器は、直接火を使って調理するタイプの機器です。
プロの厨房で長年使用されてきた実績があり、操作に慣れている方も多いです。

主なメリット

高火力での瞬間加熱が可能

強い火力で一気に加熱できるため、炒め物や中華料理、鉄板焼きなど、スピードや「鍋をあおる」動作が求められる調理に向いています。

機器の価格が比較的安価

一般的なコンロやレンジ、オーブンなど、ガス機器は種類も多く、IHに比べて初期費用が抑えられる傾向にあります。

停電時も使用可能(都市ガス・LPガス)

特にLPガスを使用する場合は、災害時にも一定の調理機能を維持できるため、事業継続性の面でも安心です。

主なデメリット

厨房の温度が上がりやすい

火を使うため厨房が熱くなり、夏場は空調が効きにくくなります。
空調費がかさむ原因にもなります。

排煙・換気設備が必須

燃焼による一酸化炭素や油煙が発生するため、排気ダクトやグリスフィルターの設置が必要です。
これが初期設計コストや清掃負担につながります。

火災やガス漏れのリスクがある

ガス特有のリスク管理が必要であり、安全管理マニュアルの整備やスタッフへの教育が求められます。

◆ IH調理機器の特徴

IH(電磁調理器)は、電気を使って鍋そのものを発熱させる仕組みです。
プレートが熱くならないため、火災リスクが低く、近年飲食店でも導入が進んでいます。

主なメリット

火を使わないので厨房が暑くなりにくい

熱は鍋の底にのみ伝わり、周囲への放熱が少ないため、厨房環境が快適になります。
これにより空調の負担も軽減されます。

清掃がしやすく、衛生的

フラットなプレート構造のため、吹きこぼれや油汚れもサッと拭くだけで済みます。
飲食店にとって日々の清掃効率は大きなメリットです。

安全性が高い

火を使わないため、火傷や火災のリスクが低減されます。
高齢者や未経験者でも安心して操作できる点は、人手不足の店舗にとって強みです。

CO₂排出が少なく、環境にやさしい

電気は再生可能エネルギーとの相性が良く、IH導入は脱炭素の観点からも高く評価されています。

主なデメリット

初期投資が高くなる傾向がある

IH本体の価格に加え、電気工事費(契約容量の増設など)が必要になる場合があります。

対応調理器具の制限がある

IHは鉄やステンレスなどの磁性を持つ鍋しか使用できません。
銅やアルミ製の鍋は基本的に非対応です。

高火力調理に制限がある場合も

特に大量の炒め物や、強火での煮込みが必要な場面では、ガスほどの立ち上がりスピードが得られないことがあります。

このように、ガスもIHも一長一短があり、どちらが「絶対に正解」というものではありません。
大切なのは、お店の業態やオペレーションに合った設備を選ぶことです。

プロ目線で解説!業態別のおすすめ調理熱源

ガスとIH、どちらが優れているかは一概に言えません。
大切なのは、お店の業態やメニュー、厨房環境に合っているかどうかです。

ここでは、飲食店でよくある業態を例に、どちらの熱源がより適しているかをプロ目線で解説いたします。

◆ 中華料理・ラーメン店 → ガスがおすすめ

中華料理やラーメンの調理では、強火力での短時間加熱や鍋の振りが必要となるため、従来通りのガス機器が有利です。

特に中華鍋を振って香りを立たせる「鍋振り」調理や、スープを長時間煮込む工程など、直火ならではの操作性と火力の安定性が求められます。

また、業務用中華レンジには、火力の強さに加え、火口の形状や排気の工夫など専門的な機能が搭載されているため、IHではまだ代替が難しい部分が多いです。

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◆ カフェ・ベーカリー・デリ系店舗 → IHがおすすめ

ドリップコーヒーやスープの温め、軽食の調理が中心のカフェやデリ業態では、調理の激しさよりも「安全性」「清潔さ」「オペレーション効率」が重視されます。

IHは火を使わず、空間の温度上昇も抑えられるため、冷房が効きにくい小規模店舗でも快適な厨房環境を保てます。
また、調理スタッフが多様化する中で、誰でも簡単・安全に扱えるという点も魅力です。

さらに、IHはトッププレートがフラットなので、開店前・閉店後の清掃が簡単になり、衛生管理の効率も上がります。
女性スタッフ中心の現場でも導入しやすい熱源です。

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◆ 洋食・フレンチ・イタリアン → ガスとIHのハイブリッドが◎

ソテー、グリル、煮込みといった多様な調理法を使う洋食業態では、加熱手法に応じてガスとIHを使い分けるハイブリッド構成が最も合理的です。

例えば、

・メインの火力にはガスを使用(ステーキやソテーなど)
・ソースやスープの保温・仕上げにIHを使用
・パスタ釜や温蔵庫はIH対応タイプを選択 など

IHの精密な温度調整と、ガスのスピーディーな火力を調理内容ごとに最適化することで、業務効率とコストバランスの両立が図れます。

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◆ 天ぷら・鉄板焼き・焼肉店 → 用途に応じて選定が必要

揚げ物や鉄板焼き、焼肉といった“熱を演出する”業態では、調理パフォーマンスや雰囲気づくりも重視されます。

天ぷら店:細かな温度調整が重要なため、高性能なIHフライヤーも増えていますが、職人の感覚や油の反応を重視するならガスに軍配が上がります。

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鉄板焼き:高温で一気に焼き上げる工程にはガスが適している一方、お客様の目の前での調理をする場合に、煙を抑えたい場合はIH鉄板も有効です。

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焼肉店:テーブル設置型のIHグリルや電気ロースターが進化していますが、炭火やガス火による香ばしさを重視する業態ではガスの需要も根強いです。
演出性や顧客満足度を重視しつつ、安全性や煙・臭い対策をどこまで機械で補えるかが選定のポイントになります。

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◆ 給食・セントラルキッチン・ゴーストキッチン → IH(電化厨房)が有利

大量調理・反復作業が中心となる業態では、IHのもつ省エネ性・温度管理の安定性・安全性が大きなメリットになります。

特にセントラルキッチンでは、調理室全体の室温や空調コストを抑える必要があるため、排熱の少ないIH導入が推奨されるケースが増えています。

また、給食施設などでは法的にも火気使用制限がある施設も多く、最初からIH・スチームコンベクションオーブンなどの電化機器が前提になっている場合もあります。

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業態に合った熱源選びが、働きやすさと利益を変える

調理スタイルや業態によって、「火力が必要か」「衛生性が優先か」「誰が扱うか」といった条件は異なります。

大切なのは、メニューとオペレーションにフィットした熱源を選び、スタッフが快適に、かつ安全に働ける環境を整えることです。

環境面と補助制度から見る「次世代厨房」の流れ

近年、「ガス or IH」の選択が単なる調理性能の比較だけでなく、環境配慮や補助金対象かどうかといった広い視点で考えられるようになってきました。

これは、飲食業界における「脱炭素」「省エネ」「災害対応」といった社会的な要請が背景にあるためです。

では、なぜ“次世代厨房”という考え方が注目されているのか。
その理由と、活用できる補助制度について、詳しくご紹介いたします。

◆ 厨房も“脱炭素”の時代へ。環境配慮が求められる背景

日本政府は「2050年カーボンニュートラル」を掲げ、さまざまな産業に対して温室効果ガスの削減を求めています。
これは飲食店も例外ではありません。

特に厨房は、店舗の中でもエネルギー消費の大きい場所です。
冷蔵庫・冷凍庫・フライヤー・調理器・食洗機などが常時稼働しており、ガス機器を多用している場合はCO₂排出量も高くなる傾向にあります。

そのため、IH調理機器や電化厨房への移行は、「脱炭素」に向けた前向きな取り組みと位置づけられつつあります。
IHは燃焼による排出がゼロで、再生可能エネルギーの活用もしやすい点が評価されています。

◆ 電化厨房=厨房の省エネ化と人材確保にもつながる

IHを中心とした電化厨房は、環境にやさしいだけでなく、省エネ性にも優れているのが特長です。

・排熱が少ないため、空調負荷が軽減される
・フラットで清掃しやすく、衛生管理がしやすい
・機器によっては、熱効率が90%以上に達するモデルも

こうしたメリットにより、電化厨房は「人が集まりやすい職場環境づくり」にも貢献します。
厨房内の暑さ・汚れ・危険といった“3K”を軽減できることで、調理スタッフの確保や定着率向上にもつながるのです。

◆ 使わなきゃ損?IH・電化厨房に使える補助制度とは

飲食店が電化厨房にシフトするにあたり、高額な初期投資がネックと感じている方も多いかもしれません。

しかし、近年は「脱炭素経営」「省エネ設備導入」を後押しするための各種補助制度や助成金が整いつつあります。
代表的な制度には以下のようなものがあります

省エネ補助金(経産省・環境省)

高効率な厨房機器や、エネルギー制御システムの導入に対して補助されます。

中小企業省力化投資補助金

人手不足を背景に、省力化設備(IH調理器含む)への投資を支援する制度です。

地方自治体の独自助成

東京都や神奈川県などでは、電化厨房化や排熱対策に対する助成金を設けている地域もあります。

また、補助金対象の厨房機器は「省エネ認定機種」である必要があるケースも多いため、購入前に仕様書の確認や業者への相談が重要です。

◆ “環境配慮 × 経営効率”という視点で考える厨房設計

かつて厨房は「調理のしやすさ」や「火力の強さ」が第一に考えられてきました。
しかし今後は、「環境にやさしく、スタッフにやさしく、コストパフォーマンスが良い」ことが選定基準となっていくでしょう。

IHをはじめとする電化厨房は、こうした次世代的なニーズにマッチした選択肢です。
厨房の「省エネ化」は単なる設備投資ではなく、ブランディングや働き方改革にもつながる重要な経営戦略といえます。

まとめ:ガスとIH、どちらを選ぶかは「業態・環境・経営」を総合的に考えることが大切です

ガスとIH、それぞれにメリット・デメリットがあり、一概にどちらが正解とは言えません。
大切なのは、お店の業態や調理スタイル、スタッフのスキルや人数、厨房の環境、さらにランニングコストや安全性、環境負荷など多角的な視点から総合的に判断することです。

特に近年は、省エネや脱炭素の流れが強まり、環境にやさしい電化厨房への注目が高まっています。
また、補助金制度の活用によって初期投資の負担を軽減できる場合もあり、経営計画において無視できないポイントです。

加えて、厨房の暑さや火災リスクの軽減、安全性の向上はスタッフの働きやすさや定着率に直結します。

つまり、調理機器の選択は「料理をつくるため」だけでなく、「持続可能な経営を支えるため」の重要な決断なのです。

これから開業やリニューアルをされる皆さまは、単なる見た目や初期費用の安さだけでなく、長期的な視点でガスかIHかを選び、快適で効率的な厨房環境を目指しましょう。

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