「若者のアルコール離れ」が叫ばれていますが、実際に日本人の飲酒習慣率は低下傾向にあります。
ある調査を見てみると、週に3回以上飲酒する習慣飲酒者は、男性では1989年に51.5％だったのに対し、2019年では33.9％まで下がっています。
（出典元：「厚生労働省による飲酒習慣率調査」）
男性の飲酒習慣は、全年代で低下しており、特に20代は男女ともに低下傾向にあります。
なぜ、若者のお酒離れが深刻化しているのでしょうか。
今回は、若者のお酒離れは深刻化しているのか？その理由について紹介していきます。
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目次
酒類消費数は減少傾向にある？
結論から言うと、近年日本における酒類の消費量は全体的に減少傾向にあります。特に、ビールや日本酒などの伝統的なアルコール飲料の消費量は顕著に減っており、これはさまざまな社会的・経済的要因が影響しています。
まず、若年層を中心に「酒離れ」が進んでいるのです。健康志向の高まりや、節約志向、また飲酒によるトラブル回避の意識が強くなっていることが背景にあります。
かつては、仕事終わりの「飲みニケーション」が当たり前だった企業文化も、働き方改革や、リモートワークの普及によって薄れつつあり、外での飲酒の機会が減少しました。
また、人口減少と高齢化も影響しています。アルコールを多く消費する年齢層が減る一方で、高齢者は健康上の理由から飲酒量を控える傾向が強くなっています。
さらに、コロナ禍による飲食店の営業自粛や外出制限も、家庭内での飲酒にシフトはしたものの、全体の消費量減少に拍車をかけました。
一方で、クラフトビールやナチュラルワイン、ノンアルコール飲料など、多様化したニーズに対応する商品は人気を集めています。
酒類業界は、こうした新たな市場への対応を模索しており、若者向けの軽めの酒類やおしゃれなパッケージの商品を展開する動きも見られます。
つまり、日本の酒類消費は量より質、従来の習慣よりも個人の価値観へとシフトしており、単なる減少ではなく「変化の時代」にあると言えるでしょう。
若者のお酒離れが深刻化している理由とは？
若者のお酒離れが深刻化している背景には、現代社会ならではの価値観の変化や、ライフスタイルの多様化が大きく関わっています。
ここでは、若者のお酒離れが深刻化している理由について紹介していきます。
主に以下のことがあげられます。
健康志向と自己管理意識の高まり
現代の若者は、過去の世代に比べて健康意識が非常に高く、食生活や運動、メンタルヘルスに対して積極的に情報を取り入れ、実践しています。
飲酒が健康に与える悪影響（肝臓への負担、肥満、睡眠障害など）をよく理解しており、日常的な飲酒を避ける傾向にあります。
また、美容への影響を気にする若い世代、特に女性の間では「肌荒れ」「むくみ」を理由に、お酒を控える人も多く見られます。
このように、健康的な生活を維持するために、自らの意思で飲酒を控える若者が増えているのです。
飲み会文化の衰退と人間関係の変化
かつて日本では、職場の飲み会や大学のサークルなどでの飲酒が人間関係を深める手段とされてきました。
しかし、近年は「強制的な飲み会」に対する反発や、「無理して付き合う」ことに価値を感じない若者が増加しています。
SNSの普及により、リアルな場での付き合いよりもオンラインでのつながりを重視する傾向が強まり、人付き合いのスタイルが大きく変化しているのです。
また、リモートワークや一人時間を重視する風潮も、飲酒の機会を減らす要因となっています。
経済的な事情と価値観の多様化
若者の可処分所得（自由に使えるお金）は、年々減少傾向にあります。非正規雇用や物価上昇の影響もあり、外食やお酒にお金を使う余裕がない若者も少なくありません。
その一方で、趣味や推し活、旅行、ガジェット、美容など、お金をかけたい対象が多様化しており、酒に対する優先順位が下がっています。
また、アルコールを飲まなくても楽しめるノンアルドリンクやカフェ文化の発展も、「飲まない選択」を後押ししているのです。
このように、若者のお酒離れは一時的な流行ではなく、健康・人間関係・経済という側面から見た、社会全体の価値観の変化が背景にあるといえます。
今後もこの傾向は続くと考えられ、酒類業界は新しいニーズにどう対応するかが問われています。
居酒屋の需要は低下していくのか？
近年、若者を中心とした「お酒離れ」が進行しており、居酒屋の需要は将来的に低下していく可能性が考えられます。
特に、20代・30代の若年層では、健康志向や飲酒によるトラブル回避、コスト意識の高まりから、お酒を日常的に飲まない人が増えています。
また、リモートワークの普及により職場での飲み会文化が薄れたことも、居酒屋の来客数減少に影響しているのです。
さらに、飲食業界全体が人手不足や、原材料費の高騰といった構造的な課題に直面しており、居酒屋もその影響を大きく受けています。
コロナ禍で打撃を受けた後、回復の兆しはあるものの、従来のような「仕事帰りに皆で一杯」というスタイルは確実に減少傾向にあります。
一方で、完全な需要消失ではなく、スタイルの変化も見られます。ノンアルコールドリンクの充実や、料理重視の「食べる居酒屋」、個室型の静かな空間を提供する店など、新たなニーズに対応する業態への転換が進んでいます。
今後は、単なる「酒を飲む場」ではなく、食事や空間の価値を提供する多機能型の居酒屋が求められてくるでしょう。
つまり、お酒離れが進む中で、従来型の居酒屋は苦境に立たされる可能性がありますが、柔軟に変化に対応する店舗には、依然として一定の需要が残ると考えられます。
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まとめ
今回は、若者のお酒離れは深刻化しているのか？その理由について紹介してきました。
近年、日本における酒類の消費量は全体的に減少傾向にあり、若者の間でお酒離れは深刻化しています。
その背景には、健康志向と自己管理意識の高まりや、飲み会文化の衰退と人間関係の変化などがあげられます。
今後の居酒屋需要がどうなっていくのか、気になるところでしょう。
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