飲食店の新しいビジネスモデル「クラウドキッチン」とは?メリットとデメリットを解説!

外食トレンド

最近よく耳にするようになった「クラウドキッチン」。コロナの影響で、営業スタイルを変えて営業を始めた方、または今後変えようと思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は、新たなビジネスモデルとして注目されているクラウドキッチンの仕組みを解説します。また、メリットやデメリットもご紹介するので、自分お店がクラウドキッチンに適しているのかを考えてみてください。

クラウドキッチンとは?

クラウドキッチンとは、主にデリバリー用の料理を作るために設計された施設の事です。1つのレンタルスペースの厨房を複数の店舗オーナー・料理人が共同利用し、デリバリー販売のみを行う「シェアキッチン」もクラウドキッチンと呼ばれることがあります。
店内に飲食スペースがなく、ユーザーが店舗を見れないことから、GmailやGoogleドライブのようなクラウドサービスに似ているという理由で「クラウドキッチン」と名付けられました。

クラウドキッチンの特徴

クラウドキッチンでは、内壁により調理専用スペースと保管スペースに分けられています。通常のレストランと同じく業務用の厨房設備が備えられ、デリバリーに適した配置となっているため、大量のデリバリー注文を効率よく処理できるようになっています。

ゴーストレストランと何が違うの?

クラウドキッチンは、「ゴーストレストラン」や「仮想キッチン(バーチャルキッチン)」、「ダークキッチン」といった名前で呼ばれることもあります。いずれも実店舗を持たないことから名付けられたもので、同様の意味として用いられています。
細かく分けると、クラウドキッチンやシェアキッチンは、調理環境を複数人でレンタルするシェアリング型の店鋪形態を表し、ゴーストレストラン等は店舗を持たずに営業している飲食店の総称であると言えます。

一つのレストランで複数の業態を展開できる!?

クラウドキッチンでは、一つのレストランが複数の業態を展開することができます。
例えば、「蕎麦屋〇〇」というお店と「カツ丼専門店〇〇」というお店を同時に営業することができるのです。通常のレストランでは「蕎麦屋〇〇」のメニューの中にカツ丼もあるという販売形態となるため、複数のブランドを同時に営業することはできません。
クラウドキッチンは、デリバリープラットフォーム上で営業を行うため、ブランドと店舗の結びつきが弱いのです。

クラウドキッチンのメリット

ここまでは、クラウドキッチンの概要を説明してきました。では、実際にクラウドキッチンを始めると何が良いのでしょうか?メリットをご紹介します。

初期費用を抑えられる

クラウドキッチンでは、初期費用を100万〜150万程度に抑えることができます。通常、飲食店を構えるためには家賃や内装費、インフラ、厨房設備などで初期費用は1000万を超えると言われています。つまり、通常の10分の1程度で飲食店を始めることができるのです。

人件費・家賃の削減ができる

クラウドキッチンでは、フロア業務がないため、人件費を削減できます。店内飲食を行う場合、席案内や注文受け、配膳、片付け、会計などの業務を行う必要があります。一般的には、厨房とフロアの人員の比率は厨房1人に対してフロア2人が適切だとされています。クラウドキッチンでは、その分の人件費を削減することができるので、大きなコストメリットになります。
また、一般的に飲食業界は離職率が高いと言われており、見えないコストとして採用や研修といった人材育成のコストも発生します。
アルバイトスタッフの時給や月額家賃・光熱費などの固定費を大幅に抑えて開業できるのが、クラウドキッチンの大きなメリットです。

準備期間が短い

クラウドキッチンでは、飲食業に必要な設備が揃っているため、すぐに営業許可を申請することができます。ただし、各デリバリープラットフォームの登録審査には1ヶ月〜3ヶ月程度かかる場合があります。
このような場合、デリバリーだけでなくテイクアウトの販売を併用することも有効です。しかし、一般的なクラウドキッチンではデリバリーに特化していることが弊害となり、テイクアウト需要がない場所に立地しているケースがあるので注意が必要です。

クラウドキッチンは飲食店営業の新たな可能性を秘めている

現在、通常の営業形態で営業しているお店でも、クラウドキッチンを利用することで販売チャネルを増やすことができます。
クラウドキッチンは、飲食店を営業する上でのメリットや可能性を秘めています。SNSの活用や、お店をシェアするという特徴を活かして他店舗または企業とのコラボでPR戦略を図ることも可能なので、リスクを抑えて飲食業を営みたい方にとって最適なビジネスモデルです。

クラウドキッチンのデメリット

次は、クラウドキッチンのデメリットをご紹介します。メリットとデメリットを見た上で、クラウドキッチンで営業をするのが適切かどうかを考えましょう。

手数料が高い

クラウドキッチン最大のデメリットは、デリバリープラットフォームに支払う手数料が高いことです。売上の35%程度を支払う必要があり、非常に高額です。しかし、最近では通常営業に加えてデリバリーを行う飲食店も多く、その場合は店舗での価格にデリバリー手数料を上乗せした価格設定をするのが通常となっています。お店に行くための時間を節約でき、利便性が高いことから、このような価格設定でもユーザーからの需要は高くなります。

また、デリバリープラットフォームが集客を行ってくれるため、手数料をマーケティングコストの一部として捉えることもできます。手数料がデメリットとなるかどうかは、価格設定を上手くできるかどうかにかかっていると言えます。

ユーザーと接する機会がない

これは、クラウドキッチンのメリットの裏返しであるとも言えます。ユーザーと顔を合わせる機会がないため、直接料理の感想や食べている時の表情を見ることができません。
したがって、自分の料理の感想や食べているお客様の姿を見たい方には、店舗を持たないクラウドキッチンという営業形態は向かないでしょう。

デリバリーアプリを使ってデータを分析

お客様から直接感想をもらってマーケティングやメニュー開発に活かすことは難しいですが、デリバリープラットフォームを使ってデータの分析をすることは可能です。
デリバリーアプリに蓄積された過去の注文や顧客情報から、地域ごとのニーズや価格帯などを分析できます。直接お客様と接することができない分、このようなデータから分析をすることが重要です。

なぜクラウドキッチンが飲食店で注目されているのか

クラウドキッチンは、コロナ対策や外出自粛ムードによるデリバリーニーズだけでなく中食需要の顧客化につながる点が注目の理由と言えます。
では、なぜクラウドキッチンが注目されるようになったのか、その経緯を市場トレンドと巣ごもり消費の観点からご紹介します。
※中食=「外食」と家庭内で手作りして料理を食べる「内食」の中間のこと。

1年で約6%成長した出前・デリバリー市場

外食(イートイン)での売り上げは減少傾向にありますが、デリバリーや宅配を軸にした中食の市場規模は拡大傾向にあり、3年で14%の成長率、1年で約6%の成長率となっています。

デリバリー市場イメージ

コロナ対策・巣ごもり需要喚起による検索増加

上記のような市場のトレンドに加えて、緊急事態宣言による外出自粛に伴い、デリバリー関連のニーズ増加も追い風となっています。
1回目の緊急事態宣言が発令された2020年4月に注目度が高まり、2度目が発令された2021年1月にも改めて注目度が高まりました。これにより、人々のデリバリーやテイクアウトなどの中食に関する支出は増加しているのです。

まとめ

いかがでしたか?
クラウドキッチンの特徴やメリット、デメリットはお分かりいただけましたでしょうか。テンポスでは、クラウドキッチンのサービスもご紹介しています。新たな営業形態としてクラウドキッチンを考えている方はぜひ一度ご相談ください。

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