飲食店を始めたいけれど、「人件費がかかりすぎる…」「人が集まらない…」そんな悩みを抱える方が増えています。
特に個人での開業やスモールスタートを目指す場合、“一人営業”というスタイルは大きな選択肢になります。
前編では、「一人営業」を実現するための考え方や、厨房設計の重要性についてご紹介しました。
では実際に、一人でスムーズに店舗を回すためには、どのような厨房機器を選び、どのようなレイアウトを意識すればよいのでしょうか?
後編では、洗い場のストレスを減らす工夫や、仕込み・営業・片付けの時間配分とルールづくり、さらには実際に一人営業で成功した事例まで、より実践的な内容を掘り下げてご紹介いたします。
一人でも“効率よく・快適に”働ける厨房づくりのヒントを、ぜひ参考にしてください。
本記事でご紹介する商品は、2025年7月現在の情報です。ご了承ください。

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目次
洗い場のストレスを減らす工夫

一人営業において、意外と負担が大きくなるのが洗い物の作業です。
営業中はお客様対応や調理に集中しなければならず、洗い物がどんどん溜まってしまうと心理的なプレッシャーになります。
また、営業後に山のような食器を前にすると、疲労感が一気に押し寄せるものです。
そこで、洗い場のストレスを軽減するために、あらかじめ「洗い物が溜まりにくい仕組み」を作っておくことが重要です。
以下に、一人オペ厨房における洗い場ストレスを減らす具体的な工夫をいくつかご紹介します。
◆ 洗い物を減らすための「調理器具の選び方」
まず基本として、使う器具の数を最小限にする設計が大切です。
例えば、複数の調理工程をこなせる多機能フライパンや鍋、テフロン加工などで汚れがつきにくい器具を選べば、洗う手間も軽減されます。
また、「まな板を使わず、ハサミでカットする」といった方法も、洗い物を出さない工夫の一つです。
食材や調理方法に応じて「包丁+まな板が本当に必要か?」を見直してみるのもおすすめです。
◆ 食器は「耐久性」「スタッキング性」「洗いやすさ」で選ぶ
皿や器も「見た目」だけでなく、一人営業でも扱いやすいかどうかが重要です。おすすめの選び方は以下の通りです。
丸皿より角皿や楕円皿
水切れがよく、スタックしやすい
軽くて割れにくい素材(メラミンや強化磁器など)
洗いやすく、扱いやすい
同じ形状で統一する
洗い場で重ねやすく、省スペースになる
また、ソースが落ちにくい凹凸のある食器は避けることで、洗い時間を短縮できます。
◆ 洗い物が出る前提で「仕分け動線」を作る
洗い物の負担は、「溜まってからまとめて洗う」ことにあります。
そこで、営業中に無理なく洗い場へ流せるよう、以下のような仕組みをあらかじめ設けておくのが有効です。
・カウンターから直接返却できるスペースを作る(カウンター営業なら裏動線不要)
・洗浄前のプレエリア(シンク横の一時置き)を確保する
・「すすぎ→食洗機」までの動線を一歩で完結させる
このように、「食器が自然と洗い場に集まり、手が空いたときにすぐ洗える状態」を作っておくことが、ストレス軽減のカギとなります。
◆ コンパクトな業務用食洗機を活用する
やはり最大の効果を発揮するのは、小型の業務用食洗機の導入です。
特に「ドアタイプ」や「アンダーカウンタータイプ」は、一人営業の店舗にちょうど良いサイズ感で、90秒〜2分程度のスピード洗浄が可能なモデルもあります。
おすすめポイントは以下の通りです。
・高温洗浄で衛生面も安心
・営業中のタイミングで回せば、営業終了後の洗い物が激減
・洗い物のストレスが激減し、作業に集中できる
導入コストはかかりますが、精神的・時間的な負担を大きく減らす“投資価値の高い機器”といえるでしょう。
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洗い物対策も“厨房設計の一部”として考える
洗い場の工夫は、単なる片付け作業ではなく、営業中のリズムやストレスに直結する大切な設計ポイントです。
「汚れを減らす」「効率よく片付ける」「洗い物を出さない」この3つの視点から、自分のお店に合った工夫を取り入れていきましょう。
特に一人営業では、「自分の動線にストレスがないか?」という目線で、日々改善していく姿勢が成功のカギになります。
仕込み・営業・片付けの時間配分とルールづくり

一人オペレーションにおいては、厨房の動線や機器の選定と同じくらい重要なのが、「時間の使い方」と「自分ルールの設定」です。
スタッフがいない分、すべての業務を一人で管理する必要がありますから、業務の“流れ”を明確にして、日々のルーティン化を図ることが成功のカギとなります。
◆ 時間配分の基本は「分けて考える」
一人営業では、以下の3つの時間帯を切り分けて考えることが基本です。
■仕込み時間(開店前)
■営業時間(接客・調理)
■片付け時間(営業後)
この3つを“なんとなく”でこなしてしまうと、常に時間に追われる感覚になってしまいます。
そこで、それぞれの時間帯に明確な「開始時間」「終了時間」「やるべき作業」を定めておくと、気持ちにも余裕が生まれます。
◆ 仕込み時間は「やらないことを決める」のがコツ
仕込みは、ついあれもこれもと準備したくなりますが、一人営業では「仕込みすぎない」ことがとても大切です。
たとえば、以下のようなルールを設けると効率的です。
「冷凍・冷蔵保存できるものは、前日にまとめて仕込む」
「朝の仕込みは1時間以内で終わらせる」
「当日仕込みの食材は3品以内に限定する」
また、前述したようにフードプロセッサーやスチコンを活用することで、仕込みの手間を削減し、朝の時間に余裕を持たせることができます。
◆ 営業中は「無理しないメニュー設計」でリズムを守る
営業中の時間は最も体力・集中力を使う時間帯です。
ここでは“調理・提供・片付けを同時にこなす”必要があるため、リズムが崩れると一気に疲労がたまります。
以下のような工夫が、営業中の自分を守ってくれます。
・注文が集中しても慌てないよう、提供に時間差が出ないメニュー構成にする
・瞬時に手が空くタイミングで、食器の下げや軽い洗浄をルーティン化する
・混雑時でも最低限の片付けをこなせるよう、「1分間リセットルール」を設ける
┗ 例:お客様の入れ替え時に、必ず1分だけ洗い物に手をつけるなど
こうしたルールを決めておくことで、「考えずに体が動く」状態を作ることができ、ミスや抜け漏れを減らすことにもつながります。
◆ 片付けは「作業を最短化する工夫」と「やらない勇気」
営業後の片付けは、一人営業の中でも最も疲れが出やすい時間帯です。
そのため、営業中に「少しずつ片付けておく」仕組みを作っておくと、閉店後の作業が一気に楽になります。
例えば以下のような工夫があります。
・営業中に出た洗い物は、空き時間に先に回しておく(食洗機やプレ洗浄)
・「最後に洗う器具」は事前に決めておき、それ以外は随時洗う
・床掃除や排水口洗浄など、日次・週次でやるべきことを明確に分けておく
また、すべてを完璧にこなそうとすると負担が大きくなります。
「これは翌朝でもいい」と判断する作業をあらかじめリストアップしておき、自分を追い込みすぎないことも大切です。
◆ 「自分ルール」を持つことで、一人でも“ブレない営業”が可能に
人に指示されることがない一人営業では、「自分で決めたルール」こそが自分を助けてくれる仕組みになります。
・開店準備を始める時間
・メニューを見直す頻度
・洗い物の回数やタイミング
・クローズ作業のチェックリスト など
毎日少しずつルールを更新していくことで、より自分に合ったオペレーションが構築され、精神的にも安定して営業ができるようになります。
一人営業は大変な面もありますが、「時間」と「作業の流れ」を意識してルール化することで、驚くほど快適な運営が可能になります。
“働きやすいのに回る厨房”は、時間設計と仕組みづくりから生まれます。
無理せず、しかし着実に改善していけるよう、自分だけのオペレーション設計を少しずつ磨いていきましょう。
スケジュール例
8:30〜10:00 → 仕込み(前日準備の仕上げ)
10:00〜11:00 → 掃除・開店準備
11:00〜14:30 → 営業(ランチピーク)
14:30〜15:00 → 洗浄・仕込み・中締め
17:00〜20:00 → ディナー営業
20:00〜20:30 → 片付け・翌日準備
このように、時間に枠をつけることで作業効率が格段にアップします。
実際に一人営業で成功した事例

一人オペレーションで飲食店を成功させるのは難しいと思われがちですが、実際にはその「潔いスタイル」や「回転の良さ」が評価され、ファンを獲得しているお店も多く存在します。
ここでは、業態や戦略の異なる3つの成功事例をご紹介いたします。
◆ 事例①:立ち食い寿司店(東京都・30代男性)
【業態】:立ち食い寿司(6席)
【特徴】:完全予約制、昼と夜でメニュー切替
【成功のポイント】
この店主は「鮨屋=カウンターで握ってもらう贅沢」という常識を覆し、“一人で握る”ことを前提としたミニマルな店舗構成に仕上げました。
仕込みは前日と当日の朝で完結させ、営業中は冷蔵ネタケースから最短動線で握るだけ。
また、メニューをコース一本に絞ることで、接客・調理の負担を大幅に軽減。
カウンター越しのやり取りも“会話”ではなく“演出”として楽しませるスタイルに徹しています。
「一人でやっているからこその一貫性」に魅力を感じ、リピーターが多いお店です。
◆ 事例②:創作カレーとコーヒーの店(大阪府・40代女性)
【業態】:カレーとカフェメニューの2本柱(カウンター8席)
【特徴】:昼はカレーランチ、午後は自家焙煎コーヒーとスイーツ
【成功のポイント】
このお店では、調理オペレーションを極限まで単純化し、仕込み重視の営業スタイルを取っています。
カレーは一度に6〜8リットルをまとめて仕込み、1週間分を真空パックで保存。
ライスも保温ジャーで効率よく提供しています。
加えて、ドリンクやスイーツはすべて“ワンハンドで完結できる盛り付け”に統一。
片手で盛れる・注げるように器具や食器を選定し、洗い物も最小限になるよう工夫されています。
営業中はほぼ立ちっぱなしですが、無理のない提供数を設定し、完売次第クローズする“自分のペースを守るスタイル”で継続されています。
◆ 事例③:焼き菓子とスープのテイクアウト専門店(福岡県・50代男性)
【業態】:テイクアウト専門(販売は1〜2時間のみ)
【特徴】:週4日営業、予約優先制
【成功のポイント】
こちらは、サラリーマンを早期退職した方がスタートした一人営業のテイクアウト店です。
調理も販売も完全に一人でこなすことを前提に、仕込みに集中できるスタイルを選択。
営業日は木〜日曜の午後2時間のみで、基本は予約分で完売します。
焼き菓子やスープはすべて前日または当日の午前中に仕込み、冷蔵・冷凍管理でロスを抑えるよう設計。
接客をシンプルにするため、支払いはキャッシュレスのみ、受け渡しは“トレーでセルフ式”です。
この店主は「体に無理のない営業で、好きなことを続ける」ことを最優先にしており、店舗の稼働率よりも“継続性と利益率”を意識した設計が見事にハマっています。
一人営業に共通する成功のヒントとは?
これらの事例から分かるように、成功している一人営業の店舗には共通点があります。
◎業態や提供数を“無理なく回せる量”に絞っている
◎調理・接客・片付けを“分業ではなく流れ”で設計している
◎働く人(=自分)の体力・性格に合わせてルール化している
◎お客様にも“このスタイルだからこそ”の魅力を伝えている
つまり、「一人だからできない」ではなく、「一人だからこそ、この形ができる」という発想に切り替えることが、スモールスタートでの飲食経営を軌道に乗せる第一歩です。
まとめ
■ルールづくりや、厨房機器を賢く使うという選択
一人営業の飲食店は大変なことも多いですが、洗い場の工夫や時間管理のルール作りで、驚くほど快適に運営できるようになります。
今日ご紹介したポイントを参考に、ご自身のスタイルに合った仕組みを少しずつ取り入れてみてください。
無理なく、でも確実に改善していくことで、働きやすくて回る厨房が必ず実現します。
また、効率的な厨房作りには、適切な厨房機器の導入も欠かせません。
最新の業務用食洗機や多機能調理器具など、作業負担を軽減するアイテムを上手に活用して、一人営業のストレスをぐっと減らしましょう。
働きやすい厨房環境づくりの第一歩として、ぜひテンポスの厨房機器をご検討ください。
皆さまの快適な店舗運営を応援しています。
■ 自分の「やりたい形」を、現実的な形で実現する力
設計力とは、単なる時短術ではありません。
自分の夢やこだわりを、現実の制約の中でどう“実現可能な形”に落とし込むかという力です。
「本当はこんなお店をやりたい」という理想
「でも一人ではここまでが限界かも」という現実
このギャップを、レイアウト・オペレーション・導線設計・メニュー構成などで埋めていくことが、まさに“設計力”そのものです。
無理をして失敗するよりも、無理なく回るスタイルを作って成功体験を重ねるほうが、結果的に長く愛されるお店になります。
最後に
一人オペレーションの飲食店は、今後ますます注目されていく働き方のひとつです。
規模は小さくても、自分らしさを大切にした店づくりは、お客様にも深く伝わります。
だからこそ、「設計力=未来への投資」と考えて、開業前からしっかりと向き合ってみてください。
テンポスでは、これから開業を目指す方、飲食店の経営についてお悩みの方に向けてさまざまな情報を発信しています。
是非ご活用ください。
業務用調理機器や小物、食器から家具に至るまで、多数取り揃えております。
是非テンポスへご注文からご相談まで、お気軽にお問い合わせください。
前編記事はこちら
https://www.tenpos.com/foodmedia/management/41219
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