食品衛生法だけじゃない!“厨房内ルール”で事故とクレームを防ぐ方法

経営ノウハウ

飲食店の厨房では、保健所の指導をクリアして営業許可を得ることが第一歩です。
しかし、実際の営業現場では、法律を守るだけでは防ぎきれないトラブルが多く発生します。

例えば、原材料の取り違えによるアレルギー事故や、忙しい時間帯の機器の使い回しによる食中毒、異物混入によるクレームなどです。
これらを防ぐためには、保健所のチェック項目を超えた、現場独自の“厨房内ルール”づくりが重要です。

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目次

法律だけでは防げない現場トラブル

食品衛生法や保健所の指導は、飲食店を安全に運営するための最低限の基準です。
しかし、これらを守っているだけでは、実際の営業現場で発生するすべてのリスクを防ぎきれません。

厨房では、想定外のヒューマンエラーや作業上の“すき間リスク”が潜んでいます。
例えば、以下のようなトラブルがよく起こります。

原材料の取り違え

似たようなパッケージやボトルが並んでいると、忙しい時にソースや調味料を間違えて使用してしまうことがあります。
これにより、味のブレだけでなく、アレルギー事故につながる可能性があります。

アレルギー表示の伝達ミス

ホールスタッフから厨房に「卵アレルギー対応で」と伝えられても、ピーク時の混乱でその情報が共有されず、誤って卵を使用してしまうケースがあります。

交差汚染

生肉を切った包丁で、洗浄が不十分なまま生野菜をカットすると、サルモネラ菌やO-157などの食中毒原因菌が野菜に移ってしまいます。

異物混入

手袋やバンドエイド、調理器具の部品などが混入する事故は、保健所の衛生基準を守っていても発生することがあります。

冷蔵・冷凍保存の管理不足

食品衛生法では温度管理の基準はありますが、現場ではドアの開閉が多く、実際の庫内温度が基準を超えてしまうことがあり、細菌繁殖や食材の劣化につながります。

このように、法律だけではカバーしきれないトラブルが数多く存在します。
そこで必要になるのが、店舗ごとの厨房内ルールです。現場の動線やメニュー構成、スタッフ人数に合わせたオリジナルルールを整備することで、事故やクレームを事前に防ぐことができます。

うっかり原材料ミスを防ぐルール

厨房で起こるトラブルの中でも特に多いのが、原材料の取り違えや使用ミスです。
味の不一致だけでなく、アレルギー事故やクレームにも直結するため、現場で徹底したルールづくりが必要です。

■ 材料保管のラベル・色分け

仕入れた食材には、必ず仕入れ日・開封日・使用期限を記入したラベルを貼ります。
さらに、色分けラベルを活用することで、忙しい時でもひと目で判別できるようにします。

赤色:アレルギー食材(卵、乳、小麦など)
青色:生食材(生魚、生肉)
緑色:加熱済み食材
白色:その他の一般食材

ラベルは手書きではなく、印刷や専用のカラーラベルを使用すると、誰が見てもわかりやすくなります。

■ 専用調理器具の導入

アレルギー対応や特定メニュー用の調理器具は、専用化して混同を防ぎます。

まな板

赤色(生肉)、青色(魚)、緑色(野菜)

トング・包丁

用途別に色や形で分ける

フードプロセッサーやミキサーの容器

アレルギー用は専用で保管

器具の収納場所も明確に分け、戻すときに間違えないようにしましょう。

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カラー別に用途を変えてアレルギー対応などに使用できます。

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■ ダブルチェック体制

原材料を使用する際には、調理担当者だけでなく、別のスタッフが確認するダブルチェックを行います。

・仕込み段階でのチェックリスト活用
・盛り付け前に、アレルギー対応が必要な場合は声出し確認
・注文票にチェック欄を設け、対応が漏れない仕組みづくり

小規模店舗でスタッフが少ない場合でも、調理者自身が「指差し呼称」を行うだけでミスが減ります。
例:「卵なし、アレルギー対応OK」

■ 保管場所の固定化と写真掲示

冷蔵庫や棚の中で食材を固定の場所に置くことで、探す手間を減らし、間違いも防げます。
新人スタッフでも迷わないように、配置図や写真入りのラベルを棚に貼るとさらに効果的です。

・冷蔵庫の上段は生野菜、下段は肉類
・棚の左側はアレルギー食材、右側は通常食材
・実際の写真を貼って、誰でもすぐに理解できるようにする

このように、ラベル管理・専用器具・チェック体制・保管場所のルールを整備することで、原材料の取り違えをほぼゼロにできます。

特にアレルギー事故は重大なクレームや営業停止につながるため、厨房内で「誰が作っても同じ安全性を保てる仕組み」を作ることが重要です。

新人スタッフ教育に役立つ「厨房内ルール表」

飲食店では、どんなにしっかりルールを決めても、新人スタッフに浸透しなければ意味がありません。
特に厨房は作業スピードが求められるため、マニュアルだけを渡しても、現場で迷うケースが多くあります。

そこで役立つのが、厨房に掲示する「ルール表」です。

■ ルール表の役割

・忙しい時でも一目で確認できる
・新人スタッフが現場で迷わない
・ミスが起きた時に、すぐに振り返りができる

文字だけでなく、イラストや写真を使ったルール表にすることで、直感的に理解しやすくなります。

■ ルール表に盛り込む内容

新人スタッフがまず覚えるべきポイントを絞って掲示します。

衛生管理ルール

手洗いの回数・タイミング、手袋の使い方

器具洗浄ルール

使用後の包丁・まな板の洗浄順序

アレルギー対応ルール

調理前の声出し確認、専用器具の使用

作業フロー

仕込みから提供までの調理ステップ

食材の保管ルール

ラベル色分け、棚の配置図

※例えば、手洗いルールは文章ではなく、イラストで「手の洗い方6ステップ」を示すと理解が早まります。

■ 掲示場所と形式

ルール表は、スタッフが作業中に自然と目に入る場所に貼ります。

・調理台の上、食材保管棚の扉、食洗機付近
・ラミネート加工して水や油に強くする
・A3サイズで文字を大きく、誰でも読めるようにする

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■ 定期的なミニテストやロールプレイ

掲示するだけではなく、定期的にスタッフ全員でルールを確認する時間を作ります。

・開店前の朝礼で「指差し確認テスト」
・ロールプレイ形式でアレルギー対応を練習
・月に1回、チェックシートを使った理解度テスト

特に新人スタッフには、入社初日にルール表を使ったオリエンテーションを行い、すぐに現場で活かせるようにしましょう。

■ スタッフ参加型のルール改善

ルール表は一度作って終わりではなく、現場で使いにくい部分はスタッフから意見をもらい、一緒に改善していきます。
こうすることで、ルールが「押し付け」ではなく「自分たちで作ったもの」となり、守られやすくなります。

このように、見やすく、使いやすく、共有しやすい「厨房内ルール表」を整備することで、新人スタッフでも短期間で戦力化でき、事故やクレームを大幅に減らすことができます。

機器の使い回しや洗浄タイミングを明確化

飲食店の厨房では、フードプロセッサーやミキサー、包丁、まな板、トングなど、多くの調理器具や機器を複数のメニューで使い回します。

しかし、洗浄タイミングや使用ルールが曖昧なままでは、以下のようなトラブルが起きやすくなります。

・生肉を切った包丁で野菜をカット → 交差汚染で食中毒発生
・アレルギー対応メニューと通常メニューで同じトングを使用 → アレルギー事故
・機器の分解洗浄を怠る → 油脂や食材カスがたまり、異物混入や臭いの原因

こうしたトラブルを防ぐには、「使い回しルール」と「洗浄タイミング」を厨房全体で明確に決めることが重要です。

■ 機器・器具の専用化

交差汚染やアレルギー事故を防ぐため、できるだけ器具を専用化します。

・まな板・包丁は「生肉用」「魚用」「野菜用」で色分け
・アレルギー対応メニューには専用トング・鍋を使用
・フードプロセッサーの容器は、アレルギー食材を扱う場合は別容器を使用

専用化が難しい場合は、使用後すぐに洗浄・消毒する手順をルール化しましょう。

■ 洗浄タイミングの明文化

忙しい営業中でも誰が見ても判断できるよう、タイミングを具体的にルール化します。

・生肉や魚を切った後は、次の食材を扱う前に必ず洗浄
・トングやまな板は、一定時間(例:30分ごと)で必ず洗う
・業務用ミキサーやスライサーは、1メニューごとに分解洗浄
・食洗機は仕込み・営業中・営業後の3回以上稼働させ、菌や汚れをためない

壁や棚に「洗浄タイムスケジュール表」を貼っておくと、スタッフ全員が意識できます。

■ チェックリストで管理

「誰がいつ洗浄したか」を見える化することで、洗い忘れを防ぎます。

・洗浄が終わったら、チェックシートに日付・時間・担当者名を記入
・小型店舗ではホワイトボードを活用して、その場でマーカーで記入

月単位で洗浄履歴を残すことで、衛生指導にも対応できる

■ 定期的なメンテナンスルール

洗浄だけでなく、定期メンテナンスも忘れてはいけません。

・揚げ物用フライヤーの油は毎日ろ過、週1回は槽ごと洗浄
・製氷機や冷蔵庫の内部は月1回の分解清掃
・フードプロセッサーやミキサーの刃は、使用回数に応じて交換時期を管理

このように、「どの器具を、どのタイミングで、誰が洗うか」を明文化することで、現場の判断に頼らず、誰が入っても同じレベルの衛生管理が実現できます。

忙しい時間帯でも守れる「簡易ルール」

どんなに完璧なルールを作っても、ランチピークやディナーの混雑時には、つい手順が省略され、衛生管理や安全確認が後回しになりがちです。
そこで重要なのが、忙しくても最小限で守れる「簡易ルール」を決めておくことです。

■ 30秒でできる“手洗いショートカット”

通常は丁寧な手洗いが理想ですが、ピーク時に手を抜いてしまうと食中毒リスクが高まります。
そのため、忙しいとき用に30秒でできる簡易手洗い手順を厨房に掲示します。

・指先・爪・親指・手の甲だけを重点的に洗う
・アルコールスプレーを追加で噴霧
・手袋を使う際も必ずこの短縮手洗いを行う

■ ワンアクションでできる衛生チェック

繁忙時に器具の洗浄や食材管理を忘れないため、ワンアクションで確認できる工夫をします。

・トングや包丁は使ったら「赤いバケツ」に入れる → 洗浄が必要と一目で分かる
・ゴミ袋やふきんが満杯になったら、目印のテープを貼って即交換
・食材の取り違え防止に、盛り付け皿の縁にアレルギーラベルを貼る

これにより、作業を止めずに衛生状態を可視化できます。

■ ピーク時だけの“声かけルール”

慌ただしい中でも情報共有を簡単にするため、短い声かけフレーズを決めておきます。

「アレルギー対応入りまーす!」 → 他のスタッフが器具に注意
「手洗い済み!」 → ダブルチェック不要
「鍋、洗浄中!」 → 他の人が使わないよう回避

声を出すだけで事故や取り違えを防げるため、新人スタッフでもすぐ実践できます。

■ 優先順位の明文化

ピーク時に「何から手をつけるべきか」迷わないよう、必ず守るべき最優先ルールを決めておきます。

・アレルギー対応の安全確認(最優先)
・食材の温度管理(冷蔵庫・保温機チェック)
・生肉・生魚を扱った後の手洗い・器具洗浄
・ゴミ・ふきんの交換

最低限これだけを守れば、重大な事故やクレームは防げます。

■ 視覚的ルール掲示

忙しいときほど文字を読む余裕はありません。
そこで、ピクトグラムや色で直感的に分かるルール掲示が効果的です。

・手洗い場所に「30秒短縮手洗い」のイラスト
・赤いバケツ=洗浄待ち、青いバケツ=清潔済み
・作業エリアに「アレルギー注意マーク」を貼る

これにより、口頭での指示がなくても全員が同じルールで動けます。
このように、繁忙時に“完璧”を求めず、“最低限必ず守るルール”を設定することで、スピードと安全性を両立できます。

結果として、事故やクレームを防ぎつつ、忙しい時間帯の厨房オペレーションがスムーズになります。

クレーム発生時の対応フローと再発防止

どんなに衛生管理やルール作りを徹底しても、現場ではヒューマンエラーや予期せぬトラブルによってクレームが発生することがあります。

大切なのは、クレームをゼロにすることだけでなく、発生時に迅速かつ誠実に対応し、同じ問題を繰り返さない仕組みを作ることです。

■ 初動対応の基本ステップ

クレームを受けたときは、感情的にならず、冷静で誠実な対応が重要です。

◎お客様の話を最後まで聞く

言い訳をせず、まずはお客様の不安や不満を受け止めます。

◎すぐに謝罪と現状確認

「ご迷惑をおかけして申し訳ございません」と謝罪し、発生場所・時間・状況を確認します。

◎安全確保と原因調査

異物混入やアレルギー事故の場合は、まず他のお客様への被害拡大を防ぐため、該当メニューの提供をストップします。

◎迅速な補償や代替案を提示

メニューの作り直し、返金、ドリンクサービスなど、その場でできる対応を行います。

■ 厨房内での原因追及

初動対応後は、厨房内で詳細な原因分析を行います。

聞き取り調査

当時の調理担当者やホールスタッフからヒアリング

器具・設備確認

異物が混入した可能性がある機器や調理台をチェック

ルール逸脱の有無

洗浄・手洗い・アレルギー対応などで手順が守られていたかを確認

調査結果は紙やデジタルで記録し、保健所からの指導があった場合にも提出できるようにしておきます。

■ 再発防止の仕組みづくり

同じクレームを繰り返さないために、現場のルールやフローを改善します。

ルール表の修正

問題が発生した手順をわかりやすく書き直す

器具・備品の追加

専用トングやまな板の色分けを導入

スタッフ教育

朝礼やミニ研修で今回の事例を共有し、対策を周知

二重チェック体制

盛り付け時や出庫時に別スタッフが再確認する仕組み

特にアレルギー事故や異物混入の場合は、ルールを変更しただけでなく、実際にスタッフ全員が現場で手順を再実践することが重要です。

■ クレームデータの蓄積

クレーム対応が終わったら、発生日時・内容・対応結果・再発防止策を「クレーム管理シート」に記録します。

・どの時間帯・どのメニューでトラブルが起きやすいかを分析
・定期的に振り返り、重点対策エリアを特定
・新人教育に実例として活用できる

このように、クレームが発生したときのフローと再発防止策を明文化しておけば、現場が慌てず対応でき、同じ問題を繰り返すリスクを大幅に減らせます。

まとめ:守らせるルールから、守りたくなるルールへ

食品衛生法や保健所の指導は、飲食店が最低限守るべき基準です。
しかし、現場で事故やクレームを防ぐためには、それだけでは不十分で、お店独自の「厨房内ルール」が欠かせません。

これまで紹介したように、原材料ミスを防ぐ仕組み、機器の洗浄タイミング、繁忙時でも実行できる簡易ルール、そしてクレーム対応フローなど、実戦的なルールを作ることで、スタッフが迷わず安全に作業できます。

■ ルールは「押しつけ型」ではなく「参加型」に

ルールが形だけになってしまう最大の原因は、現場のスタッフが内容を理解せず、ただ“やらされている”状態になってしまうことです。

・スタッフ全員で話し合い、実際の作業に合ったルールを作る
・「なぜ必要か」を説明し、納得した上で守ってもらう
・新しいルールを試し、現場の声を反映して改善する

こうすることで、ルールが現場に自然に浸透し、誰かが監視しなくても自主的に守られるようになります。

■ 守りたくなるルールが厨房を強くする

「守らせるルール」ではなく「守りたくなるルール」を目指すことで、以下のようなメリットが生まれます。

・スタッフ同士が声をかけ合い、事故防止が習慣化する
・忙しい時間帯でもルールが形骸化せず、安定したサービスを提供できる
・衛生レベルが上がり、保健所の立ち入り検査にも安心して対応できる
・クレームが減り、リピーターが増えることで売上にもつながる

厨房で働く全員が「お客様の安全とお店の信頼を守るために、このルールが必要なんだ」と感じられる状態が理想です。
そのためには、トップダウンではなく、現場と一緒にルールを作り、育てていくことが重要です。

結果として、厨房全体が安全でスムーズに回り、スタッフもお客様も安心できるお店になります。

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