【ラーメン店・味噌ラーメン 雪ぐに】「新潟に対して、何かしらの恩返しをしていきたい。」郷土愛が紡いだ成功秘話とは?

店主の声

横浜市営地下鉄ブルーライン中田駅から徒歩5分の立地にある、ラーメン店『味噌ラーメン 雪ぐに』。
2015年にオープンして以来、確かな味が評価され、2017年にはラーメン業界最高権威「TRY」で新人優秀賞を受賞。
また、ラーメン界隈では超有名なYouTuber、SUSURUさんが選ぶ「2021年 SUSURU Ramen of the Year味噌部門」で「新潟妙高味噌ラーメン」が 選出されました。

店主は、新潟上越妙高にある味噌ラーメンの名店『食堂ミサ』で修業を積んだ柴田雅大(まさひろ)さん。生まれの地である新潟で修行され、ここまで来るには一筋縄ではいかない数多くの苦労があったのです。

開業までの経緯

ラーメン店開業を目指すまで

幼いころから飲食店のオーナーになることを目指していたわけではなかった柴田さん。
なんと学生を卒業してから働いたのは”旅行会社”でした。21歳から26歳までの5年間、法人営業を
していました。

旅行会社に就職した理由は、「誰かを喜ばせたり、楽しませたりすることを考えるのが好きな性格だから」。
法人営業という仕事を通して、様々な会社の人たちと出会いました。
特に中小企業の経営者の方々と毎日何人も会っていく中で、
「僕自身も、いつか何かしらの事業を起こしたい」
という思いが芽生えました。

当時は旅行会社での成績も良く、トップセールスを2年守ることができたそうです。
「そろそろかな」と思い始めた25歳の頃、次にやりたいことについて考えました。

どのような仕事をしようか考えた時、すぐに浮かんだのは、故郷である”新潟県”のことでした。

新潟県生まれ神奈川県育ち。新潟県のことがとても大好きで、郷土愛が強いという柴田さんは、新潟に関わる・携わる仕事、新潟をキーワードにした何かしらの仕事に就きたいと考えます。
そして行きついたのが、好きだった”ラーメン”と”新潟”に関する仕事。
「新潟の一番好きなラーメンの味を勉強して、関東に広めること」でした。

「ラーメン店をやりたい!」という目標があったわけではなく、
故郷である”新潟県”に何かしら関わる仕事がしたいという思いから始まった、ラーメン店開業の道でした。

『食堂ミサ』での修行

目標が決まればすぐに行動開始。
新潟県の有名ラーメン店『食堂ミサ』で修業を始めました。
ですが、修行は簡単に始められたわけではありませんでした。

そもそも、当時の『食堂ミサ』の店主は「レシピを広める気はない」と語っていました。
その言葉の背景には、男性社員を雇うと、すぐに味を盗んで辞めていってしまうという現実がありました。
そのため、スタッフの募集をしているか確認の電話をかけても、「独立希望は」という理由ですぐに断られてしまったそうです。

しかし、柴田さんは決して諦めませんでした。
何度も電話をかけては断られ続ける中で、「お願いだから、断る理由で会ってください」と伝えます。すると、「そんなに言うなら…」とやっと会うことを許されました。

やっと掴んだチャンスを逃すまいと、承諾を得てすぐ旅行会社に辞表を出し、新潟へ向かいました。

仕事を辞め、何もない状態でお店まで足を運びましたが、「お金もいらないので」と言い、本気度を伝えたといいます。その様子を見た『食堂ミサ』の店主は、「熱意に負けた」と柴田さんの入社を許可しました。

やはり弟子入りするには、覚悟が伝わらないとなかなか難しいということを身に染みて感じることができた経験でした。

縁が導いた開業までの道

念願であった『食堂ミサ』での修業が始まったものの、当初は「レシピだけ覚えたら辞め、1年ほどで神奈川に戻ろう」と考えていました。
しかし、修行をしていく中において新潟で学びたいことがどんどん増えていき、気が付けば約3年が経っていました。

スタッフも定着し、各々の技術も安定してきた頃、「20代のうちにお店を開きたい」と考えていた柴田さんは、ついに動き出します。

28歳で円満退社の末、元々住んでいた神奈川県へ戻りました。
戻ってしばらくは、昼はラーメン店、夜はバーのウェイターでアルバイトをしながら開業資金を貯める生活。忙しい日々の中でも、物件を毎日探すなどして、着々と開業へ準備を進めていました。

開業の準備が整い、2015年に念願の初出店を果たしました。
出店場所は、横浜市にある”中田”。
当時戸塚に住んでいたため、自宅からそこまで離れておらず、開業後に家族や友だちに支援してもらいやすいという理由から、戸塚に近い中田で、中華料理店の居抜き物件に出店を決めたそうです。

また上記の理由の他に、中田に出店した一番の決め手があったといいます。
それは、居抜き物件を経営していた方が、新潟の上越出身 ということでした。

ちなみに、柴田さんが修行をした『食堂ミサ』の社長の苗字が「中田さん」なのだそう…!
いくつか物件を見ていた中でも、これらの偶然に縁を感じ、出店場所を決定しました。

開業までの細かい準備の部分は、現在戸塚にある『自家製麺カミカゼ』(旧『中華そば 尋』)の店主、大山さんに助けてもらいました。
業界についてのアドバイス、物件探し、自家製麺の製麺方法や仕入先の紹介まで、開業するにあたって、大山さんに一番お世話になったといいます。

お店を開業する際、横のつながりがないと分からないことを解消しにくいため、
同じ業界の方との関係性を築いておくことが大切だと感じました。

「味噌ラーメン 雪ぐに」一番人気の看板メニュー「味噌ラーメン」950円(税込)

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苦労したこと、失敗したこと、それらを乗り越えたエピソード

「有名店である『食堂ミサ』のラーメンが関東に進出する」ということで、オープン時はメディアで話題になりました。
オープンすると、関東在住の『食堂ミサ』を知っている方が続々と来店。1ヵ月はお客様が途絶えませんでした。

しかし、数ヵ月経つと客数は激減する事態に。
今でこそ、1日約200人来店していただけるお店になれたものの、来客数が減った当時は、昼営業・夜営業含めて1日で20人以下も来ないという状況でした。
特に、気温の高い夏場の売上が悪かったといいます。

この事態に危機を感じ、「なぜここまで客数が落ちてしまったのだろう」と考えました。
自分なりに分析をしていく中で、ラーメンの味の質がまだまだ未熟だったというのはもちろんのこと、それ以上に、「新潟出身のお客様は味を懐かしんではくれるものの、”普段使い”をしてくれない」という点が気になりました。

そもそも中田は昼間人口がとても少なく、大きな商業施設もない地域。有名な駅の近くでご当地ラーメンをやるのとは全く状況が違います。
「このままではダメだ」と感じた柴田さんは、”首都圏に合わせた味づくり”をするのではなく、”地元に根付いた店舗を目指す”ことを決めました。以降、徐々にラーメンを研究していきます。

ラーメンの味を変えていくだけでなく、「お客さんの顔を徹底的に覚える」ことや、お店にお客様が1人もいない時は、「外に出て店前を通る人全員に挨拶する」など、人とのコミュニケーションに重きを置きました。
お友達にご協力いただき、中田駅の交差点で”ビラ配り”も実施。その甲斐あって、「何か頑張っている人たちがいる」と応援がてらご来店いただくお客様が増えていきました。

また、当時同時進行でラジオに出演したり、ラーメン雑誌に掲載されたりする機会があり、ジワジワと名が知られていったといいます。
これにより客足を取り戻し、常連の方をどんどん増やすことができました。
中田といった小規模な駅だったからこそ、柴田さん含むスタッフの方々の頑張りが周囲の人に伝わったのでしょう。
今では毎日来店してくださるお客様もおり、多い人では1日3回食べに来てくれる人もいるそうです。

『雪ぐに』では、ラーメンだけでなく、新潟県産の日本酒も提供していました。
そのため、夜はおつまみメニューがないものの、飲み屋として地元の1つのコミュニティのような場所となっていました
ちなみに、おつまみの代わりに提供していたのは野沢菜や味玉、メンマなど。ラーメンのトッピングだけで楽しんでもらえていたそうです。

このように、様々なアプローチによって売上を伸ばすことに成功。”ほぼ8割のお客様が常連の方”というようなお店に育っていきました。
お店の成長を通し、改めて「地元に根付き地域に密着した店舗」の面白さを知ることができました。

開業してみてはじめてわかったこと

「想像力」の大切さ

開業にあたりお店を決める際、”最悪1人で回せる店舗”を探していましたが、実際にやってみてわかったことは『大は小を兼ねる』ということでした。

例えば製麺機。1人でお店を回すことを考えたら、そこまで大きくなく、値段も張らない小さめのサイズの購入を検討しがちです。しかし、大きいサイズの方が出来ることの選択肢が広がり、作れるものの幅も広がるため、逆に効率が良くなります。

また、冷蔵庫に関しても同じことが言えます。当初購入した冷蔵庫のサイズが小さかったため、お店が繁盛するにつれ、もやしの収納スペースがなくなってしまいました。さらに、新潟から味噌を直送で仕入れていることを売りにしていたにもかかわらず、その味噌を収納するスペースがなくなってしまったこともありました。

これらの経験を通し、厨房機器を購入する際は「想像よりもワンサイズ大き目」なものを買った方が良いということを学びました。当時を振り返り、お店が忙しくなり、在庫を抱えてしまうところまできちんと考え、店舗の準備をしておくべきだったと反省しているとのこと。


また、駐車場に関しても気が付いたことがありました。
当初『雪ぐに』には駐車場がありませんでした。その理由は、「美味しいラーメンを作れば、お客様は公共交通機関を利用してでも訪れてくれるだろう」という考えがあったから。

しかし、この考えはどこでも通用するわけではなく、場所によるものだと後々気付くことになります。特に中田駅はブルーラインしか通っておらず、他に用事があって乗車する方は少ないイメージ。車で来店される方が圧倒的に多かったといいます。
その結果、路上駐車が増えてしまい、近所の方々からお叱りを受けてしまいました。これに関しても、「想像力が足りなかった」と反省しています。
2021年に同じ中田で、これまでの店舗の3~4倍の大きさ、駐車場付きの店舗に移転をし、何とか解決にいたりました。


開業してからわかったことは、
「美味しいラーメンをどうやって作っていこうか」という想像よりも
「繁盛した時のこと」を想像していた方が良い
ということでした。

お店が繁盛することは喜ばしいことですが、お客様が増えることによって出てくる弊害は必ずあります。その時の対応を間違えてしまうと、せっかく手に入れたお客様を手放してしまうといった最悪な事態にもなりかねません。

居抜き物件について

また中田に出店後、商店会にも加入しました。
さまざまな飲食店の方と仲良くなっていく中で、店舗の移転を相談していたといいます。
すると、新型コロナウイルスが流行した際、中華料理をやられていたマスターの方が、高齢やコロナの流行を理由に閉店を考えているとの情報が入りました。

共通の友人が繋げてくれたことで、前店舗のマスターの方と直接契約を結ぶことができたそう。不動産を介さない契約となり、手数料がかからずコスト削減に繋がりました。

居抜き物件に関して、漏水などの不備はやはりあったとのこと。そのため、居抜きを選ぶ際には余裕を持って考えることが大切だといいます。
また、最大人数を収容した時の想定も必要です。物件を見ているときと、最大人数を収容した時の店内の温度にはとても差が生まれてしまいます。そのため、満席時を想定した空調設備の設置が大切になります。
『雪ぐに』では、室内の待合室を設けていますが、お客様が最大人数入ってしまった際にとても気温が上がってしまったため、エアコンを買い替えた経験があるそうです。

何でも「大きめに想定しておくこと」が、開業後に後悔しない秘訣であるといいます。

テンポスとのかかわり

普段は戸塚店を利用しているとのこと。開業時の厨房機器もすべてここで揃えました。
しかし設置まではテンポスを利用せず、安い業者に頼んで失敗…。設置までテンポスに頼めばよかったと後悔しています。

来店の頻度は週に一度ほど。前を通ったら立ち寄るそうです。
担当の方とももう8年の仲だそうで、来店すると気さくに話しかけてくれるといいます。そこで、(言える範囲の)横の業界の話なども教えてもらえ、情報収集ができるのだとか。

このように、気軽にコミュニケーションをとれる、”人が良い”という点がテンポスの魅力だと感じるそうです。

今後の展望・開業する方へのメッセージ

今後の展望

今後に関しては、「〇年以内に〇店舗展開しよう」「ECを立ち上げよう」などの計画は立てていません。
店舗を移転して2年目、このお店でまだまだやりたいこと、やれていないことがたくさんあります。それらをスタッフ全員で、「一丸となって今できることをやっていこう」というのが共通の目標としてあります。

「ほぼ家族経営みたいなもの」だというスタッフの方々一同

現在在籍しているスタッフのうち、3人が何と元お客様なのだそう。自然と『雪ぐに』というお店に愛着を持った人が集まっているといいます。
今学生のスタッフが、後々『雪ぐに』での就職を希望しているという話も出ているため、スタッフが充分に育った後、ゆくゆくは店舗展開をしていけたらといった具合で、全く強制はしていないとのことです。今は「楽しくやっていきましょう」という気持ちです。

また、多店舗展開するようなレベルにはまだ達していないという考えもありました。

開業する方へのメッセージ

柴田さんは、休みが週に一度しかなかったり、労働時間が長かったりときつく大変な仕事ですが、楽しくやれているといいます。
それは、「新潟に対して、何かしらの恩返しをしていきたい」という揺るがない軸があったから。

頑張れる原動力が、ただお金を儲けたい人とは違います。そのため、働いているという感覚があまりなく、”自分にしか出来ないことをやっている”という使命感の方が強いのです。

実際にお店を初めてみると、簡単に儲かるものではないことがわかりました。素材にこだわり、従業員を抱えたら、どんどんコストはかかっていきます。

その職を通して自分は何をしたいのか、どんな影響を誰に与えたいのか、何がしたいのかという部分を明確に持つことで、強く経営していけるのだといいます。

まとめ

郷土愛から生まれたラーメン屋『味噌ラーメン 雪ぐに』は地域に深く根付き、今や多くの人の「地元の味」として親しまれています。
ここまでお店が成長したのは、研究に研究を重ねた”ラーメンの味”はもちろんのこと、
「誰かを楽しませたり、喜ばせたりするのが好き」という店主の柴田さんのお人柄が大きく影響していると感じました。

”新潟への恩返し”といったぶれない軸をもちながらお店を続ける姿勢は、今後開業を考えている方だけでなく、現在お店をやられている方にとっても、良い刺激になったのではないでしょうか。

強い信念を持っていれば、様々な苦労や困難を乗り越えていけるのかもしれません。


テンポスドットコムでは、様々な視点からラーメン店の開業成功を全力で応援します。
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#取材協力
店名:味噌ラーメン雪ぐに
店主:柴田雅大
住所:横浜市泉区中田東2-6-13
TEL:045-410-6988

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